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消雲堂綺談

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私は怪談奇談が好きで、身近な怪異を稚拙な文章にまとめております。
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#地獄横丁

地獄横丁「如月AIの冒険」がしゃ髑髏

地獄横丁「如月AIの冒険」がしゃ髑髏

如月AIが彷徨う地獄横丁に巨大な骸骨の妖怪「がしゃ髑髏」が現れた。

がしゃ髑髏は如月AIを探しているのだった。

「如月AIはどこだ? 出てこないとこの街をぶっ潰すぞ」と言って笑った。

「私はここにいるわよ」如月AIが現れた。
「お前が如月AIか? やっと見つけたぞ。俺はお前を殺すという命令を受けているんだ」
「私は、この街でgrimoire(グリモワール)を探しているのよ、あなたに構っている

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地獄横丁「如月AIの冒険」2

地獄横丁「如月AIの冒険」2

「グリモワール?」聞いたことがない。
「悪魔を呼び出す“悪魔召喚書”のことをそう呼んでいるんだよ」」

悪魔召喚や魔術に関連する書籍は、歴史を通じてさまざまな文化や伝承で言及されてきた。これらの書物はしばしば「魔術の書」や「グリモワール」と呼ばれ、古代から中世、近代に至るまでの知識や信仰、儀式が記されている。いくつかの有名な悪魔召喚書には以下のようなものがある。

ソロモンの鍵(Clavicula

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地獄横丁「如月AIの冒険」1

地獄横丁「如月AIの冒険」1

迷路のように入り組んだ地獄横丁は、迷い込んだ人間の魂を奪って成長するという話を聞いたことがあります。

今回、地獄横丁に迷い込んだのは日本人女子高生の如月AIちゃんです。

AIちゃんは高校からの帰り道に何者かに拉致されて気を失ってしまいました。目覚めるとそこは見知らぬ街でした。そう、地獄横丁でした。

血管のように複雑に絡み合った路地を彷徨っていると・・・。古書店ばかりが並んだ路地に辿り着きまし

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夢の風景「九龍地獄横丁」完

夢の風景「九龍地獄横丁」完

「お孫さんを連れて来ましたよ」
地獄横丁の喫茶店「ヘル」に戻ると厚化粧の婆さんに言った。
「ん?婆さん、化粧してないじゃん」

婆さん、化粧を落としたのか?まるで別人じゃないか?
「普段は化粧なんかしてないよ」
「婆ちゃん、ごめん」孫が泣いている。
「ありがとう。助かったよ。まったくお前は何をしていたんだい?」
孫の頭を叩きながら言った。
「同級生が模型屋の双子姉妹でさ・・・どっちかはわからないけ

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夢の風景「九龍地獄横丁」7

夢の風景「九龍地獄横丁」7

婆さん書店の「リーディングガールズ」に気づかれないように、書店の奥から隣町の土津への抜け道を歩く。

目の前が開けた。土津の街だ。模型店を目指す。

土津の街は地獄横丁と違って明るい。しかし、これも所詮表面上だけで、本質は地獄横丁と変わらない。人に聞きながら模型店を目指す。店名は地域名をそのままとって「土津」らしい。
女の子のフィギュアがシンボルということだった。しばらく街を歩くとすぐにわかった。

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夢の風景「九龍地獄横丁」6

夢の風景「九龍地獄横丁」6

「30年前までは九龍地獄横丁は、超高層ビル街だったのよ」
「ヘル」のママは寂しそうに言った。
「ここは教会だったのよ」
「教会?」
「うん、世界統一強制洗脳教会の建物だったのよ」
「聞いたことないな」
「発祥地はムー大陸だそうよ」
「ああ、太平洋にあったっていう幻の大陸?そんな大陸の人間がいるわきゃない。作り話でしょう」
「そうかねぇ・・・」

「これ、知ってるかい?」と言ってママがテーブルの上に

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夢の風景「九龍地獄横丁」5

夢の風景「九龍地獄横丁」5

奇妙な夢を見ていた。

何だこれは?僕は・・・夢の中にいるのか?

「あんたは気絶していたんだよ」気がついた。目の前には金色のミニスカートを穿いた若い女性たちがいた。
「あたいたちはコーラスグループの“黄金半分(ゴールデン・ハーフ)”だよ。そこのライブハウスでライブをやっているんだよ。大きな声がしたから外に出てみたらあんたが倒れていたんだよ」
「そうですか・・・ありがとう」
「こうしていると眠くな

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夢の風景「九龍地獄横丁」4

夢の風景「九龍地獄横丁」4

「あれ?」
黄泉がえり坂をのぼろうとしていたら目的の塔とは違う塔が目の前に見えた。目的の塔はどこなんだ?

「横丁の中から見上げているのでは皆目見当がつかない。ヘル・ナースの坂にのぼって上から見てみよう」
ぼんやりしていたら・・・。

「どけっ!」棺桶男に怒られた。

「バカだね、あんた・・・」声がする方を見るとオカッパの色白女性が立って笑っている。
「塔の主があんたをからかっていただけだと思うよ

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夢の風景「九龍地獄横丁」2

夢の風景「九龍地獄横丁」2

僕は九龍地獄横丁から山頂の塔

「やっとヘル・ナースの群れから抜け出せた。それにしても、もの凄い数のヘル・ナースだったな。ヘル・ナース除けスプレーを持っていたから助かった・・・」

地獄横丁にはこれまで見たことのない新しい建物ができていたりする。目の前にあるのは何だろう? バラック小屋のようなバランスの悪い建物に白衣の女性達が屯している。白衣といってもヘル・ナースたちではないようだ。何かの選挙運動

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夢の風景「九龍地獄横丁」

夢の風景「九龍地獄横丁」

昔、PlayStationに「クーロンズ・ゲート」というゲームの傑作がありました。僕はゲームが苦手なので、常に初っ端で挫折してしまうのです。このゲームも同じでしたが、ゲームをプレイすることよりも、ゲームに同梱されている陰鬱な香港の九龍の街並みの絵と、登場するキャラクターたちの絵が気持ちが悪くて僕の好みだったのです。ゲームの冒頭も陰鬱な路地(だったと思う)から始まっていたのが素晴らしかったのですが、

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孤独の食通 lonely foodie 地獄横丁

孤独の食通 lonely foodie 地獄横丁

僕は孤独なC級グルメである。当たり前の人間が食べるものは決して口にしないのだ。今日はあの地獄横丁の裏路地で見つけた食堂に行くのだ。

途中で綺麗なオネエサンたちがボッタクリバーに勧誘してくるが、酒は飲めないし女性にも興味がないので目的の食堂に向う。

それにしても「腹が減った・・・」。

腹が減っては戦ができぬ・・・ん、戦? 決まっているだろう、食戦だ。
早足で歩いていると、路地裏のまた裏の路地に

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