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夢の風景「九龍地獄横丁」7
婆さん書店の「リーディングガールズ」に気づかれないように、書店の奥から隣町の土津への抜け道を歩く。
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目の前が開けた。土津の街だ。模型店を目指す。
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土津の街は地獄横丁と違って明るい。しかし、これも所詮表面上だけで、本質は地獄横丁と変わらない。人に聞きながら模型店を目指す。店名は地域名をそのままとって「土津」らしい。
女の子のフィギュアがシンボルということだった。しばらく街を歩くとすぐにわかった。巨大なフィギュアの頭部が屋根に載っかっている。
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「ここだ」
「何か御用かしら?」双子?の女子高生ふたりが睨みつけてきた。
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「喫茶店ヘルの婆さんの孫を探しているんです」
「・・・」
「いるんでしょう?」
「いないわよ。そんな奴知らないし・・・」
「そんなはずはない。確かにここに来ているはずだ」
「ん?」店内を見回すと美少年の大きなフィギュアがあった。近づいて見る。何か聞こえた。
「タスケテ・・・」
「君はヘルのママのお孫さんかい?」
「ソウ・・・デス」
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「くそ・・・美少年フィギュアにしたら高く売れるのに・・・」
模型店の双子姉妹は「人間を拉致してフィギュアにして売る」悪党だった。
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「仕方がない。返してやる。連れて帰りな」
「彼を元の姿に戻してくれ」
「これを彼の目に差してやりな」
そう言うと双子は小さな薬瓶をくれた。
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目薬を差すと、たちまちのうちに孫は人間に戻った。
「その目薬は、あんたにも効くんだよ」
「僕にも・・・?」
「塔に行きたいんだろう?」
「ああ」
「じゃあ、黄泉がえりの坂をのぼる前に、その目薬を差すんだな」
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「じゃあ帰るね」孫が手を振ると、
「フィギュアになりたくなったら、またおいで」双子姉妹が答えた。
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「戻るぞ」僕は孫の手を引いて模型店を出た。
土津の街を夕陽が照らしていた。
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もうすぐ終わります。
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