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『王妃の帰還』柚木麻子が描く、女子グループ間の戦い!スクールカーストの中の希望を描いた、後味良好な青春小説

あなたは学生時代、どんなグループ所属でしたか?

クラスの中心、キラキラグループ。
すこやか元気な、運動部グループ。
我が道を行く、オタクグループ。
はたまた、ひっそり仲良し地味グループ。

いろんなグループがありますが、だいたいこんな感じじゃない?
あとは、一人で過ごすかだと思うんだけど。

今回紹介する『王妃の帰還』は、そんなグループごとの棲み分けが崩壊して、地味グループにハチャメチャな事件が起きる、ある女子校でのお話です。


ある日、キラキラグループから追放者が?

物語の舞台は私立の女子校、聖鏡女学園中等部。2年生の範子は、俗に言う地味グループ所属です。そこで、のほほんと楽しく過ごす女の子。

だけど、そんなのほほんとした日もつかの間。

ある日、同じクラスのキラキラグループで、事件が起きます。その結果、滝沢さんというお姫様のような女の子が、キラキラグループから追放されてしまの。

なんだかんだで、範子の所属する地味グループが滝沢さんを引き取ることに。だけども、キラキラグループで好き勝手やっていた王妃のような滝沢さんのせいで、地味グループの結束はぐちゃぐちゃ。

このままではやばい!と、範子たちはある計画を練る――。

ささやかなハッピーエンドに、青春時代が恋しくなる!

ここまでのお話を見ると、なんだか嫌な気分になるお話?って思うかもしれないけど、ぜんぜんそんなことは無いの!

むしろ「あぁ、わたしにもこんな、自分をプリンセスみたいに特別な存在だと思っていた時期があったな」って、青春時代が恋しくなる。

クラス内のグループカーストが乱れたとき、登場人物の女の子たちが、今まで敵だと思っていた子の意外な一面を知ったりと、精神的に成長していく姿に、きっとなにか感じるところがあるはず。

物語はハッピーエンドだし、登場人物みんな愛おしくなるのは、著者の柚木さんの腕力なんだろうな。

ちょっとだけ、思春期が懐かしくなってしまった大人に読んでほしい、そんな優しくて可愛らしいお話です。


■この本が気に入った方にオススメの同じ作家さんの本

『王妃の帰還』と同じく、女子校を舞台にカーストを描いているのは『終点のあの子』。他にも、女性の社会を題材にした作品が多くあります。

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