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『ひとり暮らし』詩人・谷川俊太郎がつづった、ユーモアたっぷりの飾らない等身大エッセイ

「ありゃ?谷川俊太郎さんって、詩人では?」って思った方が多いのでは。

わたしも、詩のイメージがありました。学生時代に受けた授業でも、詩人として教わった気がする。というわけで「どんなエッセイを書かれるのかしら?」と気になって、読んでみました。

寂しげな、でもどこか穏やかなペンギンの表紙。その雰囲気通り、収録されているエッセイも、淡々と日常をつづった落ち着きのある内容です。これまでの人生を振り返ったり、今の自分を見つめてみたり。

「詩人はどんなエッセイを書くんだろう」と気になる方。ぜひ、この機会にお手に取ってみてください。


「私」「ことばめぐり」「ある日」の3本立て

ひとりで暮らすようになってから人と会う機会が多くなり、新しい友人にも恵まれた。友人たちと旅をしたり映画を見たり、酒を飲んで馬鹿話をしたりするのは、ひとりでいるのとはまた違う楽しさだ。

この本を読むまで知らなかったのだけれど、谷川さんは御年89歳。これまで3回結婚を経験されているそう。

2010年に発売された、この『ひとり暮らし』には、戸籍上、家族がいなくなった現在の暮らしについてつづられています。あとは、その中でふと思い出した過去の記憶だったり。それが、「私」の章。

「ことばめぐり」は、「空」や「星」、「愛」といった言葉をテーマに、それぞれ語られています。このテーマは色々あるけれど、チョイスが詩人らしい。「ある日」はそのまま、日記という感じ。

さいきん、女性を題材にしたエッセイを読むことが多かったので、ニュートラルなこのエッセイは新鮮でした。さっぱりと、淡々と、着飾らないエッセイが読みたい人におすすめ。

詩人だけあって、随所にスマートな言葉選びが感じられる1冊です。


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