「坂本町の食文化を守りたい」新卒で地域おこし協力隊と研究生の二足の草鞋
熊本への移住者の暮らしのリアルに迫る「熊本暮らしのリアルとホンネ」。今回は、八代市坂本町の食文化を守るため、新卒で協力隊での活動を始めた松田さんに、お話を伺いました。
大学で学んだ地方創生。卒業後は地域おこし協力隊の道へ。
大学を卒業する22歳、私は初めてのキャリアとして、八代市坂本町の地域おこし協力隊で活動することを選びました。
大学では地域共創学部地域づくり学科という、いわゆる地方創生について勉強する学科に在籍していました。講師として協力隊の方がいらっしゃることもありましたし、大学の近くでは実際に協力隊の方が活動していたので、学生時代から協力隊には馴染みがありました。
とはいえ、元々は企業に就職するつもりで、就職活動を行っていたんです。
でも、私が所属していたゼミの先生をはじめ、実際に協力隊に関わってきた方とお話する中で「あなたは地方創生に携わる方が向いているよ」と薦められて、最終的に坂本町の協力隊を紹介していただくことになりました。
私自身、大学の頃から地域おこしについて勉強していましたが、本心ではもっと実践的な内容を学びたいと思っていたんです。それこそ協力隊として活動すれば、地域おこしに直接関わることができるので、新卒のキャリアとして坂本町の協力隊を選択することにしました。
また、協力隊での活動だけでなく、いまは熊本県立大学の研究生としても勉強を続けています。勉強したことを実践に活かし、現地で吸収したことを研究に活かす、そんな二足の草鞋を履いた生活を送っています。
地域で1人目の協力隊。何をすべきか考えることからスタート。
坂本町の協力隊って、実は私が1人目なんです。協力隊という制度自体、まだまだ地域に浸透していませんし、私自身どう活動していくべきか手探り状態で進めています。
そんな中、まず取り組んでいることは情報発信です。地域の魅力を届けるための情報発信は、地域おこしにとって欠かせない仕事で、主にイベント情報をTwitterでお知らせしています。最近だとTikTokも始めたので、不慣れな動画編集にもチャレンジしています。
ほかにも、今後は商品開発や、地域の企業発掘にも取り組む予定です。いまは地域でチャレンジしたいと思っている人を探したり、現地の人にお話を聞いたりと、できる範囲で下地作りを進めています。
ただ、協力隊での活動と、学業の両立は正直大変です。仕事から帰って、研究のために勉強する毎日ですが、イベントがある日なんかは疲れて爆睡しちゃって。
まだまだ手探りな状態で苦労することも多いですが、少しずつ地域に貢献できることを増やしていきたいと思います。
川の鮎、山のジビエ、美味しいぼたもち。坂本町ならではの食文化を守りたい。
坂本町は自然豊かな地域で、特産品がたくさんあります。川に行けば鮎が獲れますし、山では鹿が獲れるのでジビエも最高です。あと、坂本町はぼたもちが名物でして、地域ごとに製法が大きく違うんです。あんこのレシピも家庭によって違うので、いろいろな味わいが楽しめます。
そういった料理をお店で楽しめることはもちろんですが、自分で鮎を釣って食べる方もいるなど、自然豊かな坂本町ならではの食文化が感じられます。私も狩猟免許を取得したので、自分で鹿を獲ることにもチャレンジするつもりです。
でも、当たり前のように身近にある食文化も、人口が減っていくと、次第に失われていくんですよね。そして一度途絶えると、復活させることはもう難しくて。
だから私は、坂本町の美味しい文化を守るために、少しでも貢献したいと思っています。協力隊としての活動も、地域の人にお話を聞くことも、研究生としての勉強も、食文化を守ることにつながればいいなって。そんな町の魅力を、多くの人に知ってもらえると嬉しいです。
食事が美味しいことも魅力ですが、町中に透き通った川が流れていて、どこを切り取っても絵葉書のような景色が広がっているんです。目の保養になる環境で、美味しい食事を楽しんで、きっと坂本町のファンになってもらえると思います。
坂本町に来たことがない人は、ぜひ遊びに来てください!