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風 とおる リネン服 ~nuu~ 代表 ”廣貞 葉子さん”

廣貞 葉子さんのプロフィール
出身地:福岡
活動地域:日本およびタイ
経歴:東京女子美術短期大学卒業後、アパレルやホリスティックサロンのアルバイトを経験したのちにタイ、チェンマイ在住の服飾デザイナー、佐藤うさぶろう氏と出会い、20代前半でチェンマイに移住、師事。以後15年間シルバーアクセサリー会社及び工場の立ち上げ、経営に関わったのち、同じくチェンマイに住む、アーティストでありパタンナーの馬場裕子とnuuという服飾ブランドを立ち上げ、帰国後も活動を続ける。
現在の職業および活動:自然素材を使った服飾デザイン、及び販売
座右の銘:世界平和は目の前の幸せから。

「自分らしさを表現できる服をつくり、無理なく、優しい世界を広げていきたい。」

Q1.どのような夢やビジョンをお持ちですか?

廣貞 葉子さん(以下 貞 敬称略)
”自分らしさを表現できるツール”
みなさんが、自然体でありのままの自分を表現できて、カジュアル過ぎず、フォーマル過ぎず、どちらにも対応できる”橋”のような服を作っていきたいです。

私自身、「ほどほど」が心地良いんですね。かたくるしくなく、ゆるすぎず、無理をしない。極端に偏らない真ん中。そんな「中間」の立場になれたら良いなと思います。

20代前半からタイで暮らし、日本と文化の違いを感じていました。
タイはマイノリティの人たちが堂々と表現し、堂々と生きています。個性を受容し、思いやりのある おおらかな社会でした。神様も”八百万の神”の様に、色んな神様がいます。もしかしたら、昔の日本に近いのかもしれないですね。そんな感覚がとても心地がよかったです。

けど、今の日本は「個性を活かす」と言いつつ、なかなかそうではない教育や社会があるのが現実です。

なので、自分らしく表現できる人たちが少しずつ増えていって、マイノリティがマジョリティになり、個性を受け入れる優しい世界を広げて行きたいです。

「私たちはどうして行きたいのか、どういう人に着て貰いたいのか。具体的にやっていくのが、今年の目標。」

Q2.それを具現化するために、どんな目標や計画を立てていますか?

貞 ブランドが立ち上がって、5年目になります。
その間に、パートナーの馬場裕子も私にも子どもが生まれました。子育てと仕事を並行して、遠隔でバランスをとりながらやってきた中で、抜け落ちている部分がいくつもあり、今一度、ブランドの軸を立て直しをしているところです。

「私たちはどう進んで行きたいのか、どういう人に着てもらいたいのか。」きちんと地に足をつけて具体的にやっていくのが、今年の目標です。

ひとりでも多くの人たちに自己表現をしてもらいたいので、今までよりひらかれた場所で展示をして、みなさんに知っていただきたいです。

「好奇心のままに。自然に。動きを止めない。先を決めすぎず直感に従う。」

Q3.その目標や計画に対して、現在どのような活動指針を持って、どのような(基本)活動をしていますか?

貞 私は、昔から何かを決めてやることをしていないです。決めすぎると縛られて、自分が苦しいんですね。数年後の目標も立てなくて、毎年大晦日頃に、”気配”や”におい”がやってきて、来年の目標を立てています(笑)。基本的に、”気配”みたいなもので動いています。

記者 気配で動きながら、5年もブランドが続くのはスゴイことですね。きっと軌道修正もお上手なんでしょうね。

貞 軌道修正も直観でやってます(笑)。
以前、経営をしていた時に、違和感がずっとあったのですが、自分の直感を信じなかったことで、問題を手放せず長引かせて、私も苦しかったしスタッフも苦しませてしまいました。

なので、自分を活かすためにも、決めすぎず、直感や気配で自然に動くようにしています。

「表現できない、自分が何者かわからない苦しみから気づいた”中庸”。」

Q4.そもそも、その夢やビジョンを持ったきっかけは何ですか?そこには、どのような発見や出会いがあったのですか?

貞 タイのチェンマイに住んでた15年間で、人生にとって、大きな苦しみと大きな気づきを経験しました。

20代前半でタイのチェンマイに渡り、その後、シルバーアクセサリーの会社を立ち上げる機会をいただきました。ただがむしゃらに、朝から晩まで現地の人と関係を築き、一気に生産量も増えて、従業員も40人にまで増えました。その時、経済的にとても潤ったんですね。

お金や地位を手に入れることで、人の対応が変わり、私の中に奢った心がうまれ、私の中のバランスが大きく壊れ始めて行きました

経済的に潤うことで、物質的には何でも手に入ります。しかし、物質的なものが自分の本当に望んでいない方向に満たされていき、心の中は空虚感が広がり、パートナーとの関係もどんどん悪化していきました。

孤独、阻害、空しさ・・・。
それと共に、好奇心や想像力は全く無くなっていきました。

自分が何者なのかも分からない、表現も出てこない。自分という意味も価値も分からず、毎日、生きる事が地獄のような時期もありました。

とにかく抜け出したいと思い、経営で忙しい中、無理やり時間をつくり、”ヴィパッサナー瞑想”に10日間入りました。

その10日間は、人と目も合わせず、誰とも話さない。次第に外への関心から、自分の中に行き、自分自身だけをずっと見つめる時となりました。瞑想に入って5日目・・・。心の高揚感というか、何か超越的で、ひらめきみたいな感覚が来たんですね。

私はびっくりして、「これが答えなのか?」と思い、指導者に話しました。そうしたら、指導者からは「それは幻想だよ」と言われました。

「特別では無く、普通であること。それが瞑想なんだよ。」
現実の中で、いかに瞑想状態でいられるかが大事だということ。フラットな状態。右でも左でもなく、真ん中でいれること。まさに”中庸”。この気づきが本当に大きかったです。

その後、離婚や息子のアトピー、再婚なども経験しますが、その度に”瞑想状態”で在ることや、”中庸”が大切だという事を確認しています。

記者 廣貞さんのお話を聞き、表面的な明るさだけで無く、自分自身の内面の苦しみや、空虚感さえも受け入れ、芯の通った明るさを感じました。それが、本来の人間の美しさなんだと思いました。

貞 ありがとうございます。私は何かをつくるときに、蓮(ハス)をイメージしています。泥の中からでも美しい花を咲かせられる強さやたおやかさを表現していきたい。創るもの全てに蓮のような美しさを感じられる、そんな服を作り続けていたいなと思っています。

記者 廣貞さんの想いが多くの人に伝わったら良いなと思いました。

「子どもの時の、格差の無いつながりや、個性を認めてくれる環境。母の存在が大きいと思います。」

Q5.その発見や出会いの背景には、何があったのですか?
貞 小さいころ、育った環境が、宮崎の山の近くで、いつも自然の中で、男も女も年齢も垣根なく、毎日男の子のように真っ黒になりながら遊んでいました。みんなが好きだったし、好奇心もそこで育ったと思います。親同士も仲良くて、誰の子供だとか関係なく、みんなが家族のようでした。あの時は、本当に楽しかったです。

うちは、おばあちゃんやおばあちゃんの姉もいる賑やかな7人家族でした。母は私の大切な理解者で、いつも怒りながらも「葉子が良いと思うことを選びなさい」と応援してくれました。

そんな環境の影響で、個性を自由に発揮することや、枠や境界線の無い繋がりがベースにあるのだと思います。

私には私の世界がありますし、人には人の世界があります。それはその人の培ったもので、その”自分らしさ”を大切にしてほしいと思っています。

なので、”自分らしさ”を表現できる人が増えることで、個性をつぶさず受け入れる、優しい社会にまで広がっていけたら良いなと思っています。

記者 小さい頃の温かさや優しいつながりが、廣貞さんのお洋服一点一点に表現されていること。お洋服と共に、廣貞さんの想いも伝わって、波紋の様に優しい世界が広がるイメージが来ました。素敵なお話を本当にありがとうございました。

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廣貞 葉子さんの活動、連絡については、こちらから
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Facebook : https://www.facebook.com/yoko.hirosada

Instagram : nuucreate

【編集後記】インタビューの記者を担当した熊倉と高村と岡山です。
廣貞さんの明るい笑顔の奥には、芯の強さとしなやかさを併せ持った美しい生き方を感じました。彼女の生み出す商品から、「泥の中からでも美しい花を咲かせられる”蓮の花”」のイメージも受け取っていただけたらと思います。貴重なお話を本当にありがとうございました!

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この記事は、リライズ・ニュースマガジン “美しい時代を創る人達” にも掲載されています。
https://note.mu/19960301/m/m891c62a08b36



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