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意味不明な時間 第548話・7.24

 急に目が覚めた。何かの恐怖のために全身が震えている。「ああ、夢だったんだと」胸をなでおろした。だが頭の中では、ついさきほどまでの記憶が鮮明に残っている。

ーーーーー

「あれ、ここ何処?」と、気づいたら、どこかに閉じ込められた気がした。頭から高音が聞こえる。恐らくどこかの会議室のようなところに違いない。どうやらうつぶせになって眠っているようだ。眠いような眠くないような不思議な雰囲気。体を動かせば動きそうだが、動かそうという気が起きない。
 ここで突然人の声が聞こえてクイズが出される。「え?」慌てながらもそのクイズを聞こうと起き上がった。すると席に座っていて、周りにほかの参加者が数多くいる。みんな前を向いていた。

 前で講師らしき人物が話しているが、シルエットになっていてよく見えない。でもクイズの内容は聞き取れる。それは仕事に関する専門的なものが数問出された。どうやら労働者の権利とか、そういう類のことを言っている。周囲を見ると、どの参加者は真剣そのもので、緊迫した空気が流れていた。途中まで一緒に考えていたが、結局わからないまま時間切れ。
 講師は前で答え合わせを始めたが、突然横にいる年配のおばさんが、何か話しかけていく。その話を聞こうとしたら急に視線が暗くなる。睡魔が襲っきた。眠っているが声が聞こえる。何か噂話のようなことをしている気がした。

 そこからの記憶がしばらくない。次目覚めると、会議室には誰もいなくなっていて、夕暮れどきになっていた。仕方なく会議室を出る。一階にあったようで、すぐに出口があった。どうもここは再開発されたエリアだったらしく、周囲には巨大な住宅地が立っていた。そのまま歩くと大きな駐車場があった。その上には高架の駅がある。すると新交通のような高架が続き、小さなゴンドラがのようなものが動いていた。でもそもそもここがどこかわからない。無意識に駅まで階段を上っていた。上に来たら行先など書いていなくて、そのままゴンドラに乗る仕組み。無料のようだ。係りの人間も誰もおらず勝手に乗ってよい雰囲気。恐る恐る乗ってみると、ドアが自動的に閉まりそのままゴンドラが動き出す。ゴンドラの定員は4・5人だろうか? 他に誰も乗っていない。最初はロープウェイのように見えたが、実際にはレールの上を車輪で走行していた。

 建物群を抜けて荒野の所に出る。そのままレールが続いていて、次の駅までは少し距離がありそうだ。それほど早くない速度で延々と走っている。しばらく荒野のようなところを走っていたが、やがて目の前に巨大な集合住宅の塊が見えてきた。その真ん中は空洞になっている。建物自体は正方形でそれが幾重にも重なっていた。やがてゴンドラが、空洞の中に吸い込まれる。薄暗い建物内をゴンドラが走っていた。やがて速度を落とし駅に到着する。降りてみてそのまま外に出ると、何もない荒野が広がっている。すぐに引き返えそうとするが、すでにその建物がなくなっている。ここで誰かに呼び止められる。振り向くがその人物のシルエットも不明。何かを試すかのように、言いがかりをつけてくる。その意味が分からない。だけどそれに対して何らかの反論をしていた。相手はあっさりと黙ってしまう。
「え、論破したのか?」わからないままもう一度相手を見ると、今度はシルエットが、先ほどと変わらないのに、なぜかこの人物は外国人とわかる。だけど国籍や人種などは一切わからない。ただ事務作業を手伝ってもらっていた人だとわかる。確かこの前、ある器具の動かし方が解らないからと、この人に丁寧に教えてもらっていた。
 そのことを思い出し「あ!」と思ったら突然場面が変わり、そこは突然自室の天井が視線に入る。そして仰向けになって寝ていた。恐らく一連の出来事はすべて夢であったが、一体何の内容なのか結局わからずじまい。一体どのくらい寝ていたのだろう。一瞬のことで思い出せない。ただ不思議な夢を繰り返し見たために、しばらくその場で固まった。 



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シリーズ 日々掌編短編小説 548/1000

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