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【よみがえる遺産】人気のある記事が完成した意外な背景とは?

「どうだい、おめぇさん。一回ダッシュボードをチェックして、一番人気のある記事の心情なんかを書いてみないか?」というメッセージを受け取ったある人。

「ダッシュボード... ....  えっと。あ、アカウント設定とログアウトの間にある情報をチェックする奴か」
 この人は普段そういうものをあまり気にしない。だがこれもせっかくの機会にとばかりに、ダッシュボードを覗くことにした。

 ここには今まで書いたすべての記事が一覧となって出てくる。PV(ビュー)と称される作品記事の読者数上位から、順位が付けられていた。そいつは緑色をした目玉のようなマークである。また月ごとや週ごとの集計もあった。
 だが今回は全期間が対象だという。ということで全期間の一覧を開けてみた。「この中で最も読まれている記事かぁ」この人はこの一覧を、しばらく凝視する。

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「綴るとすれば2番目だな」この人は1番目の記事について、心情を語るつもりはなかった。なぜならばこれは確かに自ら執筆の手を加えた記事ではあるが、あくまで募集した企画のもの。つまり企画に参加した人や参加を検討した人の思いが詰まった記事でもある。
 だからここで一個人がコメントや心情を代弁するわけにはいかない。それが、必ずしもこの記事・企画に関わることになった人の、総意を代表していないからだ。

 だから、2番目の赤い丸がついている記事に注目した。そしてそれには別の理由がある。この記事が完成したときには他の記事ではない、特異稀なるエピソードがあることを思い出したから。

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 2か月ほど前、8月下旬のことである。暦上の季節はすでに秋であったが、まだ残暑が厳しい日々だったころ。
「月見の企画があるのか。これは面白そうだ」満月を前としたずいぶんと「ふくらみ」が増した月を愛でながら、この人はある企画募集を見つけた。
 元々大小いろんな企画に参加することで、想像力を駆使しながら創作するこの人は、9月なら「月見」と言うキーワードは想定内である。
  そこでAという月見の企画に参加しようとしていたら、もうひとつ別のBという企画を見つけたのだ。

「両方参加してみよう」この人はことときに気軽に考えた。そして何のためらいもなく、ふたつの企画作品に参加することを決める。
 だが、このときこの人はあるミスを犯す。それは「企画の趣旨」をあまり把握していなかった。どうもこの企画への参加には、特殊な条件がいろいろとあったのだ。だがこのときは、きっちりと頭の中で理解していない。
 そのことにはまだ気づいていなったが、企画に関連した月見に関する作品を創作するために筆を進める。

 こうして最初にこちらの作品が出来上がった。

 大まかな内容としては、天文学が好きなカップルが山の中のキャンプで月見を行うというもの。山の中は空気もきれいだから他の天体も美しいとか、あるいは中秋の名月と満月との違いなどを散りばめてみる。
 また食べ物のエピソードを交えるようなことが、企画趣旨の中に含まれていたこともあり、中国の月見では必須である月餅の画像を用意した。

月餅

 こうして翌日、企画参加者より確認の連絡が来た。どうやらBに参加するとAに同時に参加はできない。BというグループとしてAに参加するというスタイルなのだという。これは今までにないパターンのため、この人はメッセージを見て少々慌てる。
 だがこの参加ルールそのものは大したことがない。それ以上にその後に続くメッセージが、この人の心を痛めた。

「東南アジアの話ではないのですね。それはちょっと残念です」

 このメッセージに戸惑いを隠せない。さらに月餅の写真を企画関連で使いたいという。 
 しかしそれには大きな問題があった。それはこの画像はいわゆる「フリー」で利用できる画像を引用してきたものであり、自ら撮影したものではない。個人の作品記事に対してさりげなく使う分には問題ないが、あたかも自らが撮影したようにも紹介されかねない企画への使用は、後に大きな問題につながる恐れがある。

 そしてそれ以上にこの人の頭をなやませたのは「東南アジア」であった。 
この人は元々東南アジアに渡航する機会が多いという理由で、noteでいろいろな作品をという目的で始めた経緯がある。2020年に入ると東南アジアにこだわらない小説への執筆を強めたことは確か。だが想像以上に東南アジアから離れていた。
 このころ意図的に東南アジアの記事を封印していたのは事実。それは仕方がなかった。この人は普段日本国内に在住する。そして2020年の春以降、海外渡航は事実上不可能になった。

 最後に行ったのが2020年の2月である。そして現地の状況が、この人が渡航していた当時とは明らかに変わっていた。一時「ロックダウン」という言葉も現地では流れている状況。日本もそうであるが、今年の生活状況が大きく変わった。だから安易に記事にできない。

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 もし2019年以前であれば、渡航の期間が多少開いても、脳裏に刻み込まれている記憶の片隅から五感を駆使して呼び覚ませば、現地の空気は再現できる。知らないところだって写真を見ればおおよその予測がつく。10か国渡航の実績がものを言ったものだ。
 しかし、2020年になってそれが使えなくなってしまう。確かにネットを通じて、現地在住者の情報など断片的な情報は流れる。だがその情報だけで作品記事にすれば「ボロ」が出ることは必定。

 結局この人は、2019年以前の世界観としての、東南アジアの作品としか明確に作成できなくなってしまったのだ。

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 しかしこの人は、チャレンジをあきらめない。最後まで可能性に賭けてみることにした。やはり「東南アジア記事」を求めておられるのだから、できるだけそれに応じたい。そして頭の中を何度も捻る。

「... ...一体どうすればよいのか... ...」筆が進まず、自らを頭の中にある創造の仮想空間に身を置き、練る時間を費やした。
   
 さてどのくらいたったのか覚えていない。 
「何らかの手掛かりにならないか」と、何気なくパソコン内に収納されている過去に渡航した際に撮影した画像を眺めていると、ある写真に目が留まった。それはタイの中部の北より、ミャンマー国境に近いタークと言う町の大衆食堂で食べたものである。

 そしてこのときに、強力な想像力とひらめきが頭の中に浮かんだ。

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 そしてついに筆が再開した。

「作品の中に過去の思い出・エピソードを取り込もう」これが頭の中に浮かんだことである。この人は2020年春以降の東南アジアのことは書けない。
 だが2019年以前の出来事ならわかる。だからそれを活用した。舞台の世界観は2010年代。そして登場人物はタイにある地方都市タークでの出来事をもとに書かれた。
 それはあくまで過去の思い出。この人の実体験、そして2020年に日本国内でマスク姿で街を歩く設定とした作品の主人公にとっても、楽しき過去に行ったタイ旅行の思い出となった。

 そしてこの作品は無事に完成。この際に少しだけ心配事はあった。それは月見の文化はタイそのものでは確認できなかったこと。そして登場する料理は月見とは直接関係がない。
 そこでこの人は言い訳に近いことを考えた。まずタイには中華系の人が多くいること。またこの食事が提供されたそのとき、タークの夜空には満月が神々しく輝いていて、ホテルへ戻る夜道が明るかったことは間違いない事実。
 だからこれをもって企画作品として再提出を願ったのだ。

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 この記事を企画のリベンジとして提出すると、Bの主催者は大変喜んでくれた。そしてそのままこの作品が企画提出となる。その後の情報ではBのグループ参加として、Aの企画全体での最優秀賞をとったのだという。

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 この人が参加したこの作品が、BやAといった企画全体にどのような影響を及ぼしたのか?今となってはわからない。ただ言えることは、この記事がより多くの人に読まれた(少なくとも単体の小説作品としてはトップ)という事実だけなのである。



こちらの企画にかかわってみました。

【形式】
・ダッシュボードの<全期間>で一番ビューの多いnoteの画面のスクショを貼る(任意)
・一番読まれたnoteの記事をアップ(これは必須)
・感想、当時の心境、書いた動機、みなさんの言いたいことなどを書く!
・文字数は自由

 こちらの やらぽん@のほほんメンタル護身術研究家さんから引き継ぎました。引き継いだというより、負担になってはいけないからと指名せずに、その場にバトン置かれたのです。そしてそれを私が拾って受け取るという特殊なパターンでした。 
 私の中でこの人は「徳」のある人だと思っているので、衝動的に拾ってしまったのです。

 実は数日前からフォローしている人が、これを回しているのを見ていましたが、こればかりは他の企画と違い、勝手に参加できないもの。ひたすら回ってくるのを待つしかありません。そのようなこともあったので、この機会にと拾いました。

 さてこれを11月2日の午後に手に入れたので、「では作品を執筆しよう」と思っていたら意外なことが!なんとその日の夜になって私にバトンを渡してくれた人が現れたのです。

 それは茉叶☆Makanaさんでした。先日行った旅のようなお出かけ企画に参加してくれた方です。

 こういうものは本来ひとつのバトンを受け取るものですから、バトンの重複行為は厳禁かもしれません。しかしひとつは「拾ったもの」でもうひとつは「正規に受け取った」ものという似て非なる存在。
 主催者のページ見ても「拾ったものと正規で受けたものを両方所有してはいけない」とは書いていないみたいなので、そのまま行きました。

 事実は小説とは奇なり という言葉がありますが、まさかここでそれを体験するとは。いやぁ人生と言うか日々の出来事って面白いですね。

 ということで次の人に渡す必要があり悩んだ末。次のふたりにしました。
ひとりでも良かったようですが、上記特殊事情により、私の手元には2本のバトンがあります。そこで次の方それぞれに手渡すことにしました。

 まずは、いしまるゆきさん。上のダッシュボードの画像をご覧いただけばなのですが「旅のようなお出かけ」企画に参加されて、その作品の感想記事が、全期間の11位に入るという快挙を成し遂げました。(青線参照)
 それにしても感想記事が全体の上位に行ったというのがすごいですね。
 内容についても旅をしたのが「身近な人外」と言うのが良かったのかもしれません。


もう人方はこの方。

 しまこねこさん。この方も「旅のようなお出かけ」企画に参加してくださいました。アメリカ西海岸を取り上げられて、確か全参加者の旅先の中で最も遠方だった記憶があります。そしてその記事はnoteのクラッカーをもらうという。それはこの企画の感想記事では唯一のことです。

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 いわゆるPVとスキの多さは比例しないことの証明だと思います。これは私の企画に参加した中で、それぞれの部門で最も多い人と言う、非常に良い感じでバトンを手渡せることとなりました。 

ということで、よろしくお願いします。
(余談ですがトップの画像は、昨日自分で撮影した秋の薔薇です)

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シリーズ 日々掌編短編小説 288

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