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古典がすき 第1094話・1.31
「果たしていつになったら学べるのだろう」おいらは腕を組んで考える。考えながら最初から間違えていくことに気づいた。学べるかどうかであれば学べる。そうじゃない、学んだことが生かせるかが問題なのだ。
「慣れた言葉を読むだけじゃないからなあ古典は」おいらは、ずっと古典というものに興味を持っている。実際においらは和装姿であることが多い。形だけはいつでも古典モードだ。古典を調べると明治維新を境にカテゴリーがわかれるらしい。それ以降は現代文で、それ以前は古文という。明治時代から現在まで150年くらいである。それが現代文の歴史だ。それに対して古文は遥かに長い。確か1世紀ごろには日本人が漢字に触れたとされるので、10倍の1500年を超える範囲で登場する文字が古文となる。だからおいらはそんなに長い期間を経ている古典が気になって仕方がないのだ。
「いつでも学べるんだがあ」おいらはいつもそう思っている。だけどいざ学びに開始出来ないのはいろんな理由があった。「古典ひとつをとってどの時代にしようかなあ」これが最大の理由である。つまりどの時代の古典を学ぶのかまだ決めていなかったのだ。
「歴史がねえ」おいらは古典が好きだが対照的に歴史は苦手で嫌いである。おいらは昔から暗記物が苦手で、歴史と言えば元号を覚えるという歴史の学び方がとにかく苦手で嫌いだ。おかげで歴史の成績は良くなかった。いまだに歴史は苦手で興味がない。
「歴史に興味がないと古典を学ぶのは無理なのか、いやそんなはずはないぞ」歴史は過去に起きたことを学ぶことだ。そこに元号やら丸暗記やらがあって非常に面倒。ところが古典は果たしてそんな必要はあるのだろうか?断っておくがおいらは学ぶが、それで何かの試験を受けるわけではない。
「丸暗記の必要なし」ということだ。現在の小説だって、これをそのまま丸暗記をする人はいるのだろうか?おいらはいないと思っている。だから古典だって丸暗記の必要はなし。何度も言うが試験を受けるわけではない。ただ昔の人がどんな文章を書き、何を思っているのか知りたいだけなのだ。
「だけど歴史が」何度も同じところの繰り返し。古典だとどの時代にもよるが、どうしても歴史と関わることが多いのかもしれない。一番古いのは神話だが、これはどうなんだろう。古事記だとか日本書紀だとかあるが、そんなものはおいらにはあまり関心がない。
ではもっと時代が下ったもの軍紀物はどうだろう。だがあれこそ神話以上に嫌いかもしれない。延々と歴史の事件について書かれているが、それは基本的に人殺しである。
「書いている内容なんて美化しているようだが、しょせん人殺しをしているだけのもの。それに『勝った』と喜んで自己満足に浸っているようなものだからな」だからもし古典を学ぶにしても軍紀物は避けようと思う。
「となれば」やはり平安時代の書物が良いのか、例えば源氏物語とかはしっかり読んだことが無いからあいまいだが、少なくとも軍紀物ではないはずだ。確か恋愛ものに近い気がしている。
「だったらやはり源氏物語」と思うが、これもまたおいらの問題点。恋愛ものはあまり好きではない。どうも男女のいざこざは読む気にならないのだ。
「となると、あとは坊さんが書いたようなもの?でもそれって仏教の経文とかだし、それも詰まらねえ。うわあああああ!」おいらはついに頭が混乱してパニックになりかけた。頭を抱えて口を開けるとまるでムンクの叫びではないか!ただしおいらはスキンヘッドではない。
こうしてしばらく思考力が混乱したがようやく落ち着く。「やっぱおいらは古典無理かなあ」少し諦めだす。「明治以降なら現代文というのが引っかかる」おいらはいつもそう思っている。思いざるを得ないのだ。
「やっぱり明治の文豪の小説を読むほうがいいのかな。どうせなら現代文を平成以降にしてもらったら、堂々と明治時代や大正時代の文学を学んでも古典と言えるのに」
そんなことを言いながら堂々巡り、いい加減嫌気がさしてきた。
「もういい!」おいらは古典は諦めた。周りが現代文と言いようが現代文学といようが構わない。明治時代から昭和時代にかけての文学作品を読む。読んでから学んでやる。
そういって外に出かけた。向かうは図書館である。「頭でああだと考えたらまた、今日も学べなくなってしまう。行動に出ようぜ」
そういいながら図書館に向かう。途中の道のりに何もなければ、明日の今頃は学びの一歩に踏み出していると信じながら。
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