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空衣
2016年12月13日 00:55
彼女はそろそろ行こっかと言った。「うん」自分はビールを飲み干した。まだ少し、残っていたのだ。 別れを切り出すのは大抵彼女の方だ、それは当たり前だ。自分はいつまでも彼女といたいと思ってしまうのだから、じゃあねと永遠に言い出せない。二人でレストランの階段を降りていく。彼女のヒールの音が愛おしい。六本木ではイルミネーションの光線が其処彼処を貫いている。空よりも密度の濃い蛍光の青と、雲より明確な白
2016年12月12日 08:12
帰りの満員電車で彼女に寄りかかった。事実、自分は酔っていた。ドイツビールにも彼女にも留学決定の喜びにも酔っていた。自分が留学へ旅立つことで彼女に最上級の孤独を与えられることを、そっと期待した。そして、何より哀しみに酔っていた。自分の足で立てないほど。泣きたくて堪らない表情を隠さなければならなかったから顔を伏せた。 このまま電車が停車駅に着かなければいいと思った。ずっとこのまま彼女の肩に寄り添っ