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四月 星繍
2021年11月12日 22:09
日が沈むのが早くなると、夜が長くなって嬉しい。と言うより、自分の中での感覚的な夜の滞在時間と、実際の夜とのギャップが少なくなるから嬉しい、の方が若干正しいかもしれない。そしてそれと同じ理由で、私は冬の冷たさが好きだ。まだちょっとだけ、息が白くなるには足りないけれど。こんばんは、四月です。最近の私は、帰宅早々に電気も消さないまま気絶するように眠り、夜中や明け方に目が覚めては、タイトルもつかない
2021年9月6日 22:37
言葉にできないことばかりだけど、確かに今、言葉にしなきゃいけないことがあるのもまた事実で、こういう時人はどうあるべきなのだろう、と、いつも考えている。欲しいのは正しさじゃない、最適解でもない、ただ僕の気持ちが、心が、目の前のあなたになるべくそのまま届いてほしいだけなのに、それが随分と遠い。遠いから、それに酷似した質感の温もりへと強引に持っていくために、黙って抱きしめるしかなくなる。言わば強硬策、言
2021年9月1日 22:53
ウォークマンから流れる音楽が全てだった、自転車で行ける半径が世界そのものだった、あの頃に戻りたいなんて思ったこと、今まで一度だってない。ずっと居場所はここじゃなかった。どこに行っても腑に落ちない。どうせ失くすなら、せめて納得できる失くし方を。そういう風に生きてきたはずなのに、今更失ったものの所在が気になる。退屈が理由で飛び出してから、もうそれが癖になってしまっている。幸せも、不幸せも、全部を並列に
2021年8月14日 16:34
私は夜明け頃、一瞬青くなる街が好きだ。古びたコインランドリーの少しカビっぽい匂いが好きだ。昔からある中華屋のよく分からないフィギュアとか好きだし、透明のビニール傘についた水滴も好きだ。お酒なら緑茶割りが、煙草ならハイライトが好きだ。冬の海が好きだ。物語の後書きが好きだ。紙を捲る時の感触が好きだ。タクシーのラジオで流れる、平成初期を感じるJ-POPが好きだ。古本屋で買った本の、誰かの落書きが好き
2021年1月28日 23:10
記憶のあちこちに虫食いができていて、そこから潮風が入り込むから、錆び付いてしまっている。あなたと一緒に行った近所のCDショップの、試聴機で聴いたあの曲、なんて曲だったっけ。学校をサボって見たあの映画の結末はどんなだっけ。ジュースを賭けた線香花火、勝ったのはどっちだっけ。錆び付いているから、思い出せないでいる。自分で自分なりに定義した言葉、感情、事実を、想定外の角度で覆してくれる何かを、ずっと探