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長編

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複数編の怪談です。一編の長さは中編と同等か若干長いです。
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#小説

ムシ ムシ ムシ 第四話

ムシ ムシ ムシ 第四話

脅威の羽化

 全世界の既知の総種数は約175万種で、このうち、哺乳類は約6,000種、鳥類は約9,000種、維管束植物(木や草、野菜などを思い浮かべて貰って差し支えない)約27万種。これに菌類などを合わせても、昆虫種の約95万種には遠く及ばない。更に言えば、アマゾンを筆頭に未開の地には未確認の生物が生息しているとされている。一部の科学者曰く
「地球上には凡そ2000万種の生物がおり、人間はその1

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異形の匣庭 第二部⑧-2【勉強会】

異形の匣庭 第二部⑧-2【勉強会】

 祖母は昼ご飯の準備をしに行ったので、日付の古い順にひたすら読み漁ることにした。手紙を一枚読む度に説明されていたんじゃ、どれだけ時間があっても足りない。夏休みが終わる前には東京に帰る事が前提で承認された、公認(?)の家出なんだから、有効に使わなきゃ。家出の場所を親に把握されてるっていうのはかなり居心地が悪いけど……。
 二つ目の手紙には夢にお釈迦様が出てきて、仏間の戸が開いているから締めるようにと

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校舎内の禁足地 三

校舎内の禁足地 三

彼の名前は久保君と言います。くぼではなくひさよしと読みます。久保君はクラスの中でも比較的大人しめで、きちんと会話こそするものの休み時間には外で遊ばずに読書に耽る様なタイプでした。彼と話したのは噂が流れ始めてからで、それも「僕も聞いたよ、僕の名前を呼んでたんだ」とたったそれだけでした。その彼が、本当に呼ばれてしまったんでしょうね。真似をした訳ではありませんが、私もパクパクと口を開けて驚き呆けて立ち尽

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校舎内の禁足地 一

校舎内の禁足地 一

あらすじ
とある街のとある学校に、生徒達の間で語られる怪談があった。
それは校舎の三階にある開かずの廊下から声がする、何故か赤い上靴が落ちている……その声を聞き、見た生徒は開かずの廊下の先にある教室に連れ込まれて帰って来ない、というものだった。
怪談を蒐集する私の元にその被害者とも言える人物が訪れ、自身が体験した怪談を語ってくれるのだが……

この話をするのは久し振りの事なので、少し歪曲してる部分

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