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長編

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複数編の怪談です。一編の長さは中編と同等か若干長いです。
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2022年7月の記事一覧

校舎内の禁足地 三

校舎内の禁足地 三

彼の名前は久保君と言います。くぼではなくひさよしと読みます。久保君はクラスの中でも比較的大人しめで、きちんと会話こそするものの休み時間には外で遊ばずに読書に耽る様なタイプでした。彼と話したのは噂が流れ始めてからで、それも「僕も聞いたよ、僕の名前を呼んでたんだ」とたったそれだけでした。その彼が、本当に呼ばれてしまったんでしょうね。真似をした訳ではありませんが、私もパクパクと口を開けて驚き呆けて立ち尽

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校舎内の禁足地 二

校舎内の禁足地 二

誰かのイタズラだと思うのが普通だと思います。でもついさっきまで電気は点いていなかったし、点ける為にはバリケードを越える必要がありました。子供が自分の少ないお小遣いをはたいてわざわざこんなイタズラをするとは思えませんでしたし、何より、こう、その蛍光灯の下の空間がとても古めかしく感じたんです。夕焼けに染まった教室のノスタルジックさではなくて錆びれた商店街の様な、とにかく退廃した空気でした。

菊池君は

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校舎内の禁足地 一

校舎内の禁足地 一

あらすじ
とある街のとある学校に、生徒達の間で語られる怪談があった。
それは校舎の三階にある開かずの廊下から声がする、何故か赤い上靴が落ちている……その声を聞き、見た生徒は開かずの廊下の先にある教室に連れ込まれて帰って来ない、というものだった。
怪談を蒐集する私の元にその被害者とも言える人物が訪れ、自身が体験した怪談を語ってくれるのだが……

この話をするのは久し振りの事なので、少し歪曲してる部分

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