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私が私らしくいることで世界が変わった

数日前のこと。

「一度でいいから、
桃を皮付きのまま
丸ごと食べてみたい!」
主人が突然言いました。

「そんな簡単な夢なら
今すぐ叶えられるよ!」
私は、翌日スーパーで
桃を買って来ました。

ところが、
桃は2、3日、 
冷蔵庫に入ったまま。

昨日の夕食後、
主人に促しました。
「桃、食べなくちゃね」

「そうだな」
主人は、いよいよ
長年の夢を、
叶えることにしました。

さて、
皮付きの桃にかぶりついたら
その後どうなるか、
容易に想像がつきますよね。
そこで、
台所の流しで、
立ったまま食べることに
しました。

桃を一口頬張ると

「おいし~」

主人は、感嘆の声を上げました。

一口食べるごとに
「おいし~」
と唸る主人。

どうやら
本当においしいようです。

見ると、
手も口元もダラダラで…
ありゃりゃ…
それはもう
人様にはお見せ出来ないような
有様でした。

でも、
それはそれは幸せそうで…

私は、心から良かったと
思いました。

そんな主人を横目に
私は、冷蔵庫から
マンゴー、みかん、キューイ味の
3種類のゼリーを出しました。

「今日は3種類のゼリーです!
自分が食べたいゼリーを、
『せーの』で指さすこと!」

息子は今湧いたお湯を
ポットに入れ、
ポットを抱えたまま
私の元へ駆け寄ってきました。

その時、
ポットが傾いて
注ぎ口から熱湯がこぼれ
あろうことか
主人のつま先に
かかってしまいました。

「痛い!」

見ると靴下の先が
濡れていました。

私は、まずいと思いました。

こういう時、たいていは
主人が恐い顔で
「気を付けてね」と言い
その場の空気が凍り付き
会話が途切れ、
その後しばらく
気まずい空気が続くのです。

さっきまで
あんなに楽しかったのに…。

でも、息子はわざとした訳ではない。

この雰囲気が一変しまうのは嫌!

その時
私は、心から思いました。

それで、
いつもとは違う反応に
出ました。

「あちゃちゃ~、大丈夫?」
変わらぬテンションで
主人に尋ねました。

息子は
「ごめんさない」
と言いました。

どうなるどうなる…
私の胸は、
今にも張り裂けそうでした。



そしたら…



主人は、桃を食べながら
少しおどけて、
「いって~」
と言いました。

「靴下脱いで見てみたら?」
すかさず、私は言い、
主人の靴下を脱がせました。
幸い赤くはなっていませんでした。

主人は、
「大丈夫」
そう言うと
「桃、おいし~!」
と桃に話を戻しました。

私は、ゼリーに話を戻し
「『せ~の』で指差すよ!」
と言いました。

「せ~の、これ!」

私は、マンゴー。
主人と息子は、キューイ。

「やったぁ、
お母さんは決まりだね!
2人は、相談して下さい!」

「お父さんは、みかんでいいよ」
いつも通り主人が譲りました。

「ありがとう」
いつも通り息子が素直に
受け取りました。

その後
3人で、ゼリーを食べました。

ゼリーを回して、
味比べも、しました。

私は、
「やっぱりマンゴーがおいしい!」
と自分の選択に自画自賛し
主人は、
「みかんはまずいはずがない。
やっぱり安定の味だ。間違いない」
と言い、
息子は、どれを食べても
「おいしい!」
と言い、嬉しそうに食べました。


何かが変わった瞬間でした。


これまでの私たちは
こんな小さな出来事に
上手に対応することが
出来ませんでした。

それは決して
主人のせいではありません。

私が私らしくあることを、
抑えていたから…
人を怒らせてしまうことが
怖かったから…

人を怒らせてしまったら
大変なことになる。

私は、誰かが怒ったら、
いや、怒る前から
何か失敗してしまったら
萎縮する方法しか
知りませんでした。

本当は、
おっちょこちょいでも
マイペースでも
間違いや失敗をしても
お互いがそれを許し合うような
そんな穏やかで優しい時間を
過ごしたかったのです。

でも、
そんな時間を簡単に
手放していました。
こうありたいという
自分の願いに蓋をして、
諦めてしまっていたのです。

ずっとずっと…。

何か起こる度に
あっ、まただ…と。

ずっとずっと。
小さな頃から…。


でも、勇気を出して
こうありたい!
という自分の気持ちに
正直に生きてみました。

とても、恐かった…
けれど、
何も起こりませんでした。

そして、その後は
私が願っていた通りの
優しい時間が過ぎていきました。

私は、私のままで大丈夫…

昨夜は
そんな愛に溢れた
素敵な素敵な夜でした。

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