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介護でイラっとしてもいいが、プロフェッショナルとしての姿勢は大切

介護の仕事をしていると、サービスを提供する相手である高齢者にイラっとすることがある。

「介護のプロがそんなことを言っては駄目だ」と言われるかもしれない。

――― いやいや、介護の仕事をしているからといって聖人ではない。

「高齢者は社会的弱者なのだから、慈愛の心で接しなければ」と説かれるかもしれない。

――― いやいや、社会的弱者でも自我が強い高齢者は少なくない。

もちろん、イラっとするからといって表に出すことはない。心でイラっとして顔は笑っていることは普通にする。

しかし、これって介護に限った話ではないだろう。特に仕事と呼ばれる営みにおいては、誰だって必ずどこかでイラっとすることはある。

漫画やアニメのキャラクタのように「クールキャラは動じない」「明るいキャラはいつも笑っている」なんてことは不可能だ。

そもそも、人間は感情が振り子のように行ったり来たりするもの。

介護の仕事に携わっていても、人間である限りは相手が高齢者であってもイラっとすることはあるという事実は受け止めたほうが良いと思う。


――― だからと言って、イラっとした表情をしてはいけない。そこはお仕事として割り切ったほうが良い。それもプロフェッショナルのあり方だ。

プロフェッショナルとは、どんなときでも一定の成果を発揮できることだ。

いつも笑顔が売りのアイドルだって不機嫌なことはあるだろう。しかし、ひとたびファンの前に立てば飛びきりの笑顔を向ける。

営業マンだって不機嫌だからといえど、お得意先の前では笑顔でお伺いを立てつつ、少しでも困りごとを解決しようとして信頼関係を築く。

このような仕事の姿勢は介護だって同様だ。・・・が、介護者の中には言葉や態度でイライラを利用者たる高齢者に向けてしまうことがある。

別に当人は普通にしているつもりらしいが、周囲から見れば明らかにイライラが積もっている様子が分かる。

介護を要する高齢者に対して「何でできないの」「またトイレ失敗したの?」といった言葉を浴びせたり、介助はしなければいけないから声掛けもせず力まかせで移乗やオムツ交換に及んだりする。

仕事なのになぜ利用者である高齢者に対してそのような振る舞いができるのだろう?

それは利用者(高齢者)を、お客さんとして見ていないからだ。その根本は「介護してやっている」という一方的な押し付けと傲慢さである。

また、介護の仕事を「高齢者の自立支援」ではなく「職場で決められた作業をこなすこと」と思い違いをしていることも挙げられる。

そして、介護はオープンな空間よりも、マンツーマンのクローズドな空間で展開されるという環境要因もあるだろう。


だから平気でイラっとした態度を表に表せるのだ。


――― もしも介護の仕事をしていて、利用者たる高齢者にイラっとしたならば、まずは「自分はイラっとしている」という事実を受け止めよう。

何度も言うが、介護者も人間であり聖人ではないので、ネガティブな感情が湧いてしまうことくらいはあると思おう。

しかし、それを表に出してはいけない。それは人間としてのあり方と言うよりも仕事およびプロフェッショナルとしての姿勢だ。

もしも、イラっとする気持ちが抑えきれないならば、まずは介護という仕事のあり方を見直そう。

その原点として「介護してやっている」という傲慢な考えをやめて、介護を決められた作業とせず、クローズドな空間でも自戒をもって介護サービスに行うことが必要である。

少し嫌な言い方になるが、「ま、これでお金もらえるのだから、多少イラっとするくらいは割り切ろう」と考えて乗り切ることもあって良いと思う。


ここまで読んでいただき、感謝。
途中で読むのをやめた方へも、感謝。

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