ソニーを辞めて新規事業開発・商品企画コーチとして独立しようと決めたワケ
はじめまして。
白神敬太と申します。
ソニー(株)で約25年間商品企画、新規事業に携わり、
100を超えるプロジェクトに関わってきた経験を
広く社会に還元したいという想いで
2020年、株式会社プリミスを立ち上げました。
企画マンとしてこれまで自分が経験したり考えたりしてきたこと、
そして今現在、新規事業・商品企画コーチ・コンサルタントとして
お客様と一緒にプロジェクトを進めていく伴走型支援で活動していく中で日々感じたこと、
などを綴っていきたいと思っています。
記念すべきnoteへの投稿 第1回目は、
私がソニーを退職して、” 企画コーチ・コンサルタント” として独立しようと決めた理由について書いてみようと思います。
◆なぜソニーを辞めたのか◆
「なぜソニーを辞めたのか」という言い方をすると、何か相当嫌なことがあったのではないか、とか、大それた思いを実現させようという熱い根性の持ち主なのか、と思われるかもしれませんが、そんな大げさな理由があったわけじゃありません。
30年近くお世話になったソニーという会社はとても魅力的な職場でした。
企業として、安全性やコンプライアンスなどにとても厳しい会社ゆえに、社員に求める意識にも厳しい部分は沢山ありましたが、柔軟な社風で、様々なことにチャレンジしようとする者に対して寛容な、器の大きな会社だったと思います。
振り返ってみて改めて、本当に恵まれた職場であったと思い知らされます。
あと10年足らずで定年だから、それまでこのままで、という選択肢ももちろんありました。
ですが辞めようと決意したのは、やはり本当にやりたいことが見えてきたからでしょうか。
ソニーを退職し、独立して企画のコンサルタントをする。
そんな決意に至ったのはこんな経緯があったからです。
◆副業で企画コンサルタントに◆
50歳を間近に控えた頃です。
任されていたプロジェクトがあったのですが、会社の方針転換で突然撤退することに。
こういうことは少なからずありますが、思い入れの強いプロジェクトだっただけにかなり落胆しました。
そしてそれをきっかけに、今まで積み上げてきた自分の経験やスキルを
会社の中だけでなく、社会に還元していきたいという気持ちが
湧き上がってきました。
勿論、会社の外で自分がどのくらいやれるのか試してみたいという
欲みたいなものも少しはありましたが。
今後どうしたらいいのか悶々と考える日々でしたが、
とにかく副業として企画コンサルタントをやってみることに。
ソニーでは副業をする際に会社に対して申告が必要で
当時は副業をする条件もかなり厳しくて大変でした。
ですが、幸運にも無事に承認をもらい、副業からスタートしました。
当初考えていたとおり、自分が企画してクライアントさんに提案するというスタイルでコンサルティングを開始しました。
ところが、いざ始めてみると何か違和感が。
自分が思い描いたようにはまったく進まないのです。
理由はいくつかあると思いますが、
一番大きな理由はこんなことではないかと分析しました。
提案スタイルだと、企画チームの皆さんが企画の最初から関わらないために自分ごとになりにくく、モチベーションが上がらないーー。
こんなことを繰り返し経験したことから
自分には提案型のスタイルは合わないのではないかと
疑問を感じるようになりました。
◆コーチングとの出会い◆
ちょうどその頃、あるクライアントさんに
「白神さん、こういう活動をするのならコーチングを勉強してみるといいよ」と逆提案されました・・・。
クライアントさんへのコミュニケーションの力不足を指摘されたようなものですね。
また、自分から提案しなければ、という思いが、クライアントさんへの押しつけと捉えられていたのかもしれません。
その日のうちに、銀座コーチングスクールの門をたたきました。
そして初めて講座を受けた瞬間、「これだ!」という何か心にビビッとくるものがあったのです。
コーチングは「相手に教える、アドバイスする、のではなくて、
相手がやりたいことを自身で見つけられるようにし、その実現に導く」
というコミュニケーションの手法です。
コーチングを学んだことによって、今まで副業でやってきた
企画コンサルの仕事にコーチングの手法が活かせるのではないか
と感じ始めました。
◆提案型の企画コンサルから伴走型の企画コーチへ◆
私は、これまでの経験上
新規事業開発や商品企画が、人から与えられたアイデアではどうしてもうまく進まないことを感じてきました。
企業の強みや潜在的なアイデアをその企業の人たちと一緒に
立ち上げていくこと。
それこそが、自分の一番やりたいことだということに
コーチングを学ぶことで気づいたのです。
そしてコーチングの手法を活かし、疑問を感じ始めていた
企画コンサルタントの仕事のスタイルを変更。
”提案型の企画コンサル” から ”伴走型の企画コーチ” へと
180度転換しました。
伴走型のコーチは企画を提案するのではなく、クライアントさんと共に企画を立ち上げていくスタイル。
コーチングの手法をとりいれたことで、クライアントさんが大きく前進していく手応えをつかみました。
◆本当にやりたいこと◆
コーチングは相手が本当にやりたいことを見つけ、
そこに向かって一歩を踏み出すアプローチです。
コーチングを学ぶ間に自分自身にも変化が。
本当にやりたいことに気づいたのです。
独立して伴走型の企画コーチとしてやっていきたい!
さて、ソニーは役職定年の時期が早く、副業をしているうちに
私もいよいよ役職定年を迎える歳になっていました。
会社に残るのか、転職するのか。
そのとき受けていたコーチングの講座の中で、
役職定年を迎える自分自身の “超リアルな悩み” を実際に取り上げ、
何度も何度も考えました。
最終的には、もともとは自分の中になかった「独立起業」という選択肢が生まれてきたのです。
役職定年はその選択肢を実現するよいタイミングだ、と判断し
ソニーを辞めることを決意しました。
◆妻への説得◆
妻には2019年11月に、翌年の3月末で会社を退職したいと打ち明けました。もうすぐ高校入試を控えた娘と中学生の息子をかかえ、
打ち明けた当初は妻も困惑ぎみ。
当たり前ですよね。それでもなんとか承諾してくれました。
その妻の説得に使ったのが、私が企画推進の中でもよく推奨している数値化です。
生涯年収の試算をして妻にプレゼンしてみました。
①現状のまま定年までソニーで働いた場合
②転職した場合
③独立した場合
独立の場合は、定年がなく、いつまでも働けるから初期は収入が少なくても生涯年収は案外多くなる、というのが私の説得の狙いでした。
それを3つのパターンで試算。標準的な場合、とても上手くいった場合、全く上手くいかなかった場合をエクセルの表にして説明。
そして、これから2年間頑張ってみて決めた目標にまで到達しなかった場合、もう一度サラリーマンとして再就職すると約束しました。
この説得が功を奏したのか、妻はあまり渋ることもなく同意してくれました。
後でわかったのですが、妻が案外あっさり同意してくれたのは、実はこの説得が功を奏したわけではなく、妻は自分が転職を何度もしてきた経験から、夫の初めての退職を否定する気になれなかっただけとのこと。
でも内心は不安で仕方がなかったとか。
まあ、自分のことを信じてくれたのかな、と都合良く解釈しているのですが。
2020年の1月6日、仕事始めの日に退職する旨を上司と人事に伝えました。
ところが、思わぬ大波が。
ダイヤモンドプリセス号のニュースから始まった新型コロナウィルスが一気に拡大。
2020年1月、コロナ禍に突入。
まさかこの状況を予測していませんでした。
副業としてスポットサポートしていたクライアントさんから継続サポートの依頼を打診されていたのですが、この状況下でそれも中止に。
まずは独立に向けてあてにしていた仕事がなくなってしまったのです。
とはいえ、私の3月のソニー退職は決まっていました。
こうなるともう背水の陣ですね。前に進むしかない!
なかなか厳しい船出でした。
ここら辺の苦労話はまたの機会にできたらと思います。
なにはともあれ、2020年7月に株式会社プリミスを設立しました。
ここまでが私がソニーを退職して独立起業した経緯です。
さて、次に、なぜ私が企画のコンサルにこだわったのかというお話をしましょう。
◆モノづくりにおいて「企画」という仕事がなぜ大切なのか◆
メーカーなどモノづくり企業で、もっとも川上の部門、つまり ”モノづくりの最初の段階” は「基礎研究」や「技術開発」ですよね。
一方で別の視点ー事業化や商品化の視点ーからみると、ゼロからイチを生み出すのは「企画」部門であり、「企画」がもっとも川上の部門だと私は思うのです。
モノづくりにおいて「企画」という仕事が大切な理由ーそれは
「企画」がゼロからイチを生み出し、育てていく仕事だから
モノづくりにおける「企画」は、基本的には「ゼロからアイデアを発想し、製品化し、世に送り出し、送り出した後のフィードバックをする」までをいい、まさにゼロからイチを生み出し、育てていく仕事です。
モノづくりの最初のステップであり、最後まで関わる仕事なんですね。
”モノ” が生まれる前から携われる仕事なんです。
たとえ社内に企画部門がなかったとしても、モノづくりの第一歩は「企画」することだと私は考えています。
ゼロからイチを生み出し育てていく仕事 ”企画” に魅了されていた私は、企画のノウハウを伝えたい、企画することの醍醐味を共有したいという気持ちから、企画コンサルタントをやりたいと考えました。
◆企画コンサルタントとして独立できるのか?◆
ところが、私がコンサルタントとして独立を考え始めたとき、
何人かの先輩コンサルタントからこんなアドバイスが。。
「 企画という部署があるのは大手だけだよ。ほとんどの場合、企画やコンセプトなんかは考えず、直感的に作りたいと思う商品をつくっちゃうんだよ。」
「コンセプトや戦略を考えずにつくって、発売したら売れない。そこで営業コンサルタントに販路開拓してほしい、マーケティングコンサルタントになんとか売れるようにしてほしい、となるんだよ。」
「本当は、白神がやってきたような企画や戦略が大事なんだけどなぁ。だけど、そういう相談がくることはほとんど無いよ。独立するなら、マーケティングのコンサルタントがいいよ。」
(もちろん、しっかりコンセプトや戦略を考えている企業さんもたくさんいらっしゃいます。あくまでも企画コンサルタントが必要とされる機会は少ないというアドバイスでした。)
つまり、先輩達が助言してくれたのは、
企画コンサルタントとしてやっても出番はないということ。
企画コンサルタントとして独立するのは難しいということ。
私はマーケティングマネージャーも経験していたので、
これらのアドバイスに一時は企画コンサルタントではなく、マーケティングコンサルタントの道も考えました。
ところが、ある先輩マーケティングコンサルタントの一言が
この私の迷いを一気に払拭することになりました。
自分の原点に改めて気づかされたのです。
「新規事業を立ち上げるにしろ、よい商品を開発するにしろ、
もっとも川上の仕事である企画が大切なんだ」
自分がもっとも世の中の役に立てるのは、
やはり長年経験してきた「企画」しかない。
「企画」に軸をおくことに決めました。
◆私の現在地◆
日々研鑽しながら、独立起業の過程で出会った ”コーチング” の手法も取り入れ、2022年8月現在、新規事業・商品企画コーチ・コンサルタントとして3年余り。
様々な企業やチームの方々に巡り会い、新規事業・商品企画、コーチングのご相談を受け、一緒に走る機会も増えました。
これからもしっかり「企画」や「戦略」の大切さと楽しさを伝えながら、モノづくり企業を伴走支援していこうと思っています。
noteを通じて、新規事業や商品企画を担当するマネージャー、リーダー、企画担当の現場の方々、そして中小企業経営者、ベンチャー企業、起業家の方々に、少しでもヒントになる記事をお届けできたらと思います。
<お知らせ>
株式会社プリミス のホームページはこちら。
一度のぞいてみてください。
企画推進に役立つ記事をメルマガとしてウィークリーで発信しています。
ぜひ、こちらからご登録ください。
いつでも解除可能です。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?