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ビジネス戦略の基本「ランチェスター」の実践的手法を知る

こんにちは。
新規事業開発・商品企画コーチ・コンサルタントの白神です。
今回もビジネスについてヒントになる情報をお届けできればと思います。

ビジネスには必ず競合やライバルが存在します。
勝つためには少なくとも戦略の基本を学ぶことをオススメします。

「新規事業開発・商品企画どんとこい!#7」ではビジネス戦略の基本「孫子の兵法」についてお伝えしています。

今回はランチェスター戦略についてお伝えしたいと思います。

◆ランチェスター戦略とは◆

ランチェスター戦略はとても実践的です。

もともとは、第一次大戦時に、英フレデリック・ランチェスターが提唱した法則で、第一法則と第二法則があります。

第一法則:刀などで戦う古典的な戦闘を想定した法則
第二法則:機関銃などによる近代戦を想定した法則

それをビジネスに応用したのが、日本人の田岡信夫氏による「ランチェスター市場戦略論」です。
市場のシェアポジションにおける法則として体系化されました。

ランチェスター戦略を学ぶ上で重要な核となるのが、「弱者・強者の戦略」「市場シェアの原則」です。

新規事業や商品企画などの仕事に関わる方々には、是非知っておいていただきたい「基本のキ」ですので、概略をお伝えします。

◆弱者の戦略◆

では、「弱者の戦略」について。

ビジネスには必ず競合やライバルが存在します。

まず自社が 現在、”強者” であるのか、”弱者” であるのかをしっかり捉えなければなりません。
自社と競合の関係やシェアを把握し、自社の立場を明らかにした上で戦略的に戦います。

ライバルに対して自分が劣っている場合や、新規参入する場合には「弱者の戦略」をとります。

「弱者の戦略」の基本はこの2つ。
・差別化
・強者のスキを狙う


新規事業開発や商品企画をしていると、売れている商品やサービスを見て、つい自分もその方向に進みたくなりませんか?

その気持ちすごくよく分かります。
しかし、それでは勝てません。

ぐっとこらえて、戦ったら勝てるか?を冷静に見極めます。
そして勝てる場面や勝てるポイントを探し、強者のスキを狙った差別化を創ります。

機能、地域、ターゲット層などを細分化し、差別化できるところを探しましょう。
<具体的な勝てるポイントの探し方>
・セグメント特化
・地域特化
・サイズ、分類
・流通  
    など

◆強者の戦略◆

次に、強者の戦略を見てみます。
よく「弱者の戦略」のみを重視する方がいますが、必ず「弱者の戦略」と「強者の戦略」を使いわけるセンスを身につけてください。

なぜなら、事業を始めた当初は弱者であったとしても、いつか ”強者になる” ことがあるからです。

”弱者” として始めた事業は、差別化された商品やサービスを導入したら、あるいは、新しい市場を創造したら、ライバルに対して“強者”になります。

そのときに、「強者の戦略」を取らなければ、ライバルに抜かれてしまいます。

ここはかなり重要です。

「強者の戦略」の基本は、この2つ。
・ミート戦略(マネ戦略)
・弱者に弱者の戦略をとらせない


そのポイントは・・・
・面展開、包囲作戦
・モグラたたき
・出鼻をくじく

強者になったら、弱者が出てこないよう面展開します。
そして弱者が出てきたらつぶす。モグラたたきです。
そこでライバルの出鼻をくじいてつぶさないと弱者がどんどん強くなってしまいます。

しつこいですが、この考え方はとても大切です。

◆原則は”近い相手”と戦う◆

ここで、忘れてはいけないことがあります。
ランチェスターには大切な原則があるのです。

近い相手と戦うこと
市場全体を見ることは大切ですが、戦う時は近い相手と戦うのが基本です。

マラソンと同じですね。
目の前の選手を追い越すイメージです。

・頭上の競合(すぐ上の相手)→  弱者として戦う
・足下の競合(すぐ下の相手)→  強者として戦う
・対等の競合 → 勝てる場所・強みを探す

◆市場シェアの原則◆

「市場シェアの原則」はランチェスター戦略を学ぶ上で大きなポイントとなる考え方です。

「市場シェアの原則」とは・・・
ランチェスター理論によって定義された ”市場におけるシェアの目標値” で、このシェア(占拠率)をとれば、市場競争において一定の地位が確保されるという原則です


市場創造型の企画など、まだライバルや競合が定義できない場合を除き、この原則を知っておくと、目標シェアを設定できるので便利です。

社内のプレゼンテーションにも役立ちます。

ランチェスター理論では目標シェアは以下のように定義されています。
理論に従って小数点まで記していますが、四捨五入しても構いません。

2.8%:拠点目標値
6.8%:存在目標値
10.9%:影響目標値
19.3%:第2上限目標値
26.1%:下限目標値
41.7%:安定的目標値
73.9%:上限目標値

私自身ソニーの商品企画部に在職していた時代に本当にこの通りだと実感したことが何度もあります。

皆さんも自社の状況に照らし合わせてみることをオススメします。

自社の市場のシェアは?


では、ひとつずつ見ていきましょう。

**********************************
2.8%:拠点目標値
競合者としての存在価値は無いに等しいが、市場の一角に存在しているというシェア

存在価値が無いというのがいいですね。まだ市場に価値を提供できていない
ということです。

新規参入の場合はまずはこのシェアを目指します。
ここまでは何をしても誰も見ていないことを認識しておきましょう。

逆に強者の立場にいる場合はこの相手を見つけて、しっかりつぶしておくことが大切です。

6.8%:存在目標値
はじめて市場から存在が認められるシェア
市場全体への発言力はまったくない


ようやく存在が意識され始めるシェアです。
このくらいになると市場全体や強者を意識し始めることがよくありますが、
まだまだ弱者としての存在です。

自社が強者の場合にライバルがこのシェアに迫ってくると煙たくなってくる存在です。
手を打っておく必要があります。

10.9%:影響目標値
存在が市場全体に影響を与えるようになり、シェア争いに巻き込まれる値
成長市場では黒字、停滞市場では赤字となる


赤字と黒字の境となるシェアで、非常に重要です。
ですから、なんとか11%を超えるシェアを獲得することが大切です。

市場が安定している時は黒字ですが、為替や景気などの悪影響があったり、強者が価格戦略など技をかけてきたりすると、赤字となることが多いシェアです。このシェア近辺のビジネスをお持ちの場合は、心当たりがあるはずです。

私も担当していたいくつかのカテゴリーが10%前後だったときに、まさに、黒字と赤字をいったり来たりで、なんとか15%にあげようと努力していた
ことを思い出します。

原則をしっていると、原則にもとづいた目標値を設定でき、企画やビジネスがやりやすくなります。
プレゼンの説得力も増しますよ。

19.3%:第2上限目標値
競合状態の中で上位グループに入る値
次の26.1%までは、1位であっても地位は安定しない

シェアが20%になると上位となり、1位となるときもあります。
競争状態にもよりますが、ライバルがひしめき合い、戦国時代のような状態です。がんばって抜け出し、26%をめざしましょう。

戦う相手が ”強者” か ”弱者” かを良く見極め、戦略的にいきましょう。

26.1%:下限目標値
競合状態から抜け出して、トップグループに入るシェア


マラソンで言うと、2位グループとの差がひらき、安定したトップグループに入ります。ビジネスも安定してきます。

41.7%:安定的目標値
3者以上の競合の間で、その地位は圧倒的に有利で、安定した収益となり、事後の立場が安定する値


ここまでくると安心です。収益も安定し、ダントツとなります。

シェア40%は大きな目標となります。40%を下回ると1位であっても2強の状態など、ダントツでない場合もあります。

73.9%:上限目標値
独占状態が生じて、その地位は絶対的に安全な値
しかし、競争が無いため、新機軸が生まれず、市場としては停滞する


絶対的に安定なシェアがこの値です。
このシェアを超える市場では、競争が無く、一般的には拡大していない市場となります。

市場活性化の策をとるか、企業としては別の新規事業へチャレンジするなどの活動へ意識を向けましょう。

**********************************

現在はビジネスモデルがますます複雑化し、市場シェアが明確に分かりにくい場合もありますが、複数の競合からなる市場では、この市場シェアの原則を知っておくと戦略立案に役立ちます。

競合、ライバルとのシェアがどうなっているかを調べて、分析してみてください。

◆終わりに◆

ランチェスター戦略いかがだったでしょうか?
とても実践的なので、基本を学んで是非自分のビジネスに応用してみてください。

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