免疫学から考えるがんの対策
今回はがんと免疫学との関係についてお話します。
今回は日常的にがんの予防をしたいと思っている方や既にがんになられている方に読んでもらえるといいかなと思います。
まず始めに免疫の構造について説明していきたいと思います。
私たちの免疫は二層構造になっており生物が上陸する前の消化管中心の免疫系から生物が陸上に出た後のエラから胸腺ができ造血が前腎から骨髄に移った新しい免疫系の2種類があります。
新しい免疫系ができた後は古い免疫系はすべて失われたわけではなく細々とその産生が続いています。
胸腺や骨髄のような新しい免疫系は T 細胞や B 細胞を作りますが加齢とともに骨髄と胸腺は脂肪化してその作る能力は徐々になくなってきます。
その代わり生物が上陸する前の胸腺外分化 T 細胞や自己抗体産生 B 細胞の産生が再び多くなってきます。
※自己抗体産生 B 細胞は B 細胞という名前がついていますがどちらかというと古い免疫系の仲間に分類されます。
古い免疫系である胸腺外分化T細胞というのは自己応答性があります。
この自己応答性というのは自分の細胞を攻撃してしまうということです。
また古い B 細胞では B 1細胞というのは自己抗体を産生しますので基本的に古い免疫系というのは自分の体にできた異常細胞を排除するという仕組みで存在したということになります。
しかし生物は陸上に出ると外界の異物(以下、外来抗原)にさらされる機会が多くなりました。
その結果により出現した胸腺と骨髄により T 細胞 B 細胞が新しく作られました。
このT細胞とB細胞を作る過程で自己応答性のクローンをネガティブセレクションという作用で取り除きます。
つまり自分の細胞を攻撃しないような免疫細胞を作るということです。
しかし、この新しい免疫細胞というのは自分の中の異常の細胞とかを処理する能力はないという形になってきます。
ここで私たちがだんだん年を取っていきがんが出来ない年齢になると二層構造の古い免疫系が活発化していきます。古い免疫系の機能は異常な自己細胞の排除以外にも、正常の細胞の分裂の速さの調節する役割もあります。
このように二層構造で免疫は成り立っています。
しかし日本では1年間に60万人くらいの方ががん患者になり、34万人の方が亡くなっています。
ですから本当にこの古い免疫細胞というのががんをちゃんと排除してるのかというのを疑問に思う方もいるかもしれませんが実際に免疫細胞ががんを排除している証拠はたくさんあります。
その証拠として一番最初に気づくのは エイズです。
ヒト免疫不全ウイルスに感染すると CD 4という免疫細胞が減少しリンパ球の数が減っていき、その結果免疫力が低下します。
そしてカポジ肉腫が発生します。
つまり免疫を抑制するとがんが発生するという証拠になります。
その他にマラリア感染はアフリカなどを中心に多いのですがマラリアに感染すると免疫抑制が起こりバーキットリンパ腫という形でがんができやすくなります。
移植では免疫抑制剤を使い移植片の拒絶が起こらないします。この時やはりがんになる頻度高いです
またchediak・東症候群では、細胞内顆粒球が一つ一つになることが出来なくなってしまい融合します。
なのでメラニン細胞が細胞質内に巨大化龍騎を作ってしまいさらにまた顆粒球が巨大化領域を作るという流れで免疫抑制が送ります。
ナチュラルキラー細胞の別名は顆粒リンパ球と言われるくらいでその流れでナチュラルキラー細胞の顆粒球も巨大化します。
それとその中にガン細胞を攻撃するパーフォリンという分泌物も使えなくなります。
なのでchediak・東症候群では大体十歳までに発がんすることが多いのです。
一番多いのは悪性リンパ腫です。
このようにナチュラルキラー細胞を初めとした免疫がしっかりしないとがんが発生するということが分かります 。
また日常的な例を挙げると発がんしている人は免疫が機能低下していると考えられます。
普通のがん患者にもリンパ球の減少が見られます。
では具体的にどのような理由でリンパ球が減少が起こってるのかと言うと、日常生活のストレスや過労働、心の悩みなどが原因として考えられます。
肥満で自分の体を移動させること自体がストレスになるという場合もあります。
若い女性の場合は強い冷房にあたることによる体の冷えがストレスになりリンパ球が減少するという場合もあります。
次にがんができてしまう条件についてお話ししたいと思います。
がんができてしまう原因として遺伝子の多段階変異があります。
初めは正常な細胞分裂、次に良性腫瘍、形質が残ったままの腫瘍、そして主要組織提示高原を失った悪性腫瘍といろいろな段階を経て増殖の勢いを増していきます。
そしてこのような過程にoncogeneというがん遺伝子が関わっていきます。
oncogeneとは正常な細胞も使っている増殖関連遺伝子です。
この遺伝子は細胞の増殖を抑制したりするものです。
この oncogene に少しずつ変化が起こることによって良性ポリープになったり悪性のがん細胞になったりというような変化を起こすことになります。
このような変異を起こす原因として今までは発がん物質と考えられていました。
よく知られている発がん物質というのは、
紫外線
食品添加物
染料
アニリン色素
魚の焦げ
タバコの燃焼した物質
大気汚染物質
などどいろいろありそれぞれがoncogene に変化を起こします。
あるいは oncogene 以外のがん抑制遺伝子などの変異が起こり、発がんさせることも考えられています。
しかしこのような遺伝子の変化だけで癌が起こるとは少ないと考えられています。
なぜなら紫外線にずっと当たってる人は皮膚がんが多いわけでもなく、タバコを吸う人は肺がんになるとは限りません。
このようなことを考えると遺伝子だけの変異で発がんするというのは考えづらいと思います。
では何ががんの原因になるのかそれはストレスです。
ストレスには色々な種類がありますが具体的には、
心理的な悩み
働きすぎ
冷房
重力
などがあります。
ストレスの数は数えたらキリがないほどありますがストレスの共通点には低体温があります。
マウスは金網挟んだりチューブに入れたりして恐怖感を与えるとあっという間に低体温になってしまいます。
そして低体温は血管収縮による血流障害や低酸素状態にします。
このとき副腎髄質からアドレナリンが出て高血糖状態なりますが、実はこれらの条件ががんが起こるためには最適な条件であります。
つまりストレスによって低体温、低酸素、高血糖のような状態が長時間続くとがんができやすい環境になるということになります。
ではなぜストレスがかかると低体温、低酸素、高血糖になるのか?
これはエネルギー産生系を理解すると判っていきます。
私達のエネルギー産生系には有酸素でエネルギーを作るミトコンドリア系と無酸素で細胞質内でエネルギーを作る解糖系という方法があります。
つまりこの二つのエネルギー代謝では酸素の要求の有無があります。
そして糖の要求の程度が異なってきます。ミトコンドリア系の糖質の要求度を+とすると解糖系は++4と多いです。
ミトコンドリアは糖以外に脂肪やたんぱく質もエネルギー源として使うことができますので糖の要求度が少なくてすみます。
また各エネルギー系の役割も特徴があります。
解糖系では瞬発力とか細胞分裂をする時に使っ使われミトコンドリア系では持久力を必要とする時や分裂抑制に使います。
ではなぜこのような特徴の違いが起こるかというとそれぞれのエネルギー代謝系でATPを作る速さが違うからです。
※ ATPというエネルギーのそのものだと思っていただければいいです。
解糖系ではブドウ糖をピルビン酸という形にするだけなのですぐにATPができますので無酸素で一気にエネルギーが作ることができます。
そのスピードはミトコンドリアを1としたときに解糖系は100倍の速さです。
ではなぜミトコンドリア系はこれほど ATPを作るのに時間がかかるのかと言うと、まずクエン酸回路でピルビン酸や脂肪酸から水素を取り、電子伝達系でプロトンと電子に分けて電気エネルギーにするからです。
つまりエネルギーを作る工程が多いと思っていただけたらいいです。
しかしATPのを作るのに時間がかかるミトコンドリア系ですが、ATP産生効率は高いです。
どれくらい高いのかというとグルコース1分子あたりに解糖系では2ATP作るこどできますがミトコンドリア系では36ATPと解糖系に比べて約18倍多く作れます。
なのでミトコンドリア系のエネルギー代謝は持久力に優れています。
なのでネルギーの要求度が高い組織にミトコンドリアは多いです。例えば心臓や骨格筋、脳神経です。
このような知識があるとなぜストレスが上がった時に低体温、低酸素、高血糖という条件が起こるのかというのが徐々に見えてきます。
つまりストレスがかかった時にその危機的状況を素早く乗り切るために無酸素で瞬間的にエネルギーを作り瞬発力を持って素早く危機を乗り越えられるような身体の状態にします。
つまりこれは危機的状況(ストレス)から脱するための適応反応だと言えます。
したがってストレスで起こる低体温、低酸素、高血糖というのは短いスパンであればその危機を乗り越えるためにプラスに働きますが長くストレス状態が続くとエネルギー代謝がどんどん解糖系に方にシフトしてしまい適応反応として細胞分裂が起こり始めます。
ミトコンドリアが働くときは細胞分裂の抑止力もあるので低体温になるとミトコンドリアが働けなくなるので分裂細胞のが増えていきます。
そして分裂正常細胞の中からがん化した分裂が起こります。
なのでがんというのは遺伝子変異による問題だけではなく、解糖系によるエネルギー代謝状態の長期化になることによって細胞が分裂しやすい状況になり細胞ががん化しやすくなってくるということになります。
本当に解糖系のエネルギー代謝に傾いた状態ががんに関係あるのかと思われる方もいると思いますがここでがん細胞の特徴を生化学者ワールブルクは今から80年前くらいにこのように述べています⬇️
「がん細胞はとてもサイズが大きいのにもミトコンドリアが少なくいわゆる解糖系のエネルギー代謝で生きてる細胞」
その後の研究でもがん細胞はストレスの状態にあり 解糖系のエネルギー代謝が増えミトコンドリアの働きや機能が抑制されている状態にあると主張した論文がたくさんあります。
これまで発がんしてしまう原因は遺伝子変異によって起こると考えられてきました。しかし実際はストレスに対する適応反応であると言えます。
つまり発がんのリスクというのは遺伝子変異の影響よりも私たちの生き方とかその過酷さ生活環境の悪化(ストレス)の適用反応として発がんが起こる と考えることができます。
でなければタバコを吸う人はみんな肺がんになる人が多くなり、紫外線量が多い地域に住んでる人たちは皮膚がんになるリスクが多くなるはずですがそういうことは起こっていません。
しかし、みんなストレスを抱えて生きているいのでみんながんにならなくてはおかしいと思う方もいるかもしれません。
実際は普通に暮らせる人はがんになりませんそれは皆多少ストレスがあってもリンパ球のキラー分子群というものが働いてがん細胞を排除しています。
その代表的なものにパーフォリンやTNf-α、Ligand というものがあります。このような分子ががん細胞を攻撃してくれて発がんを抑えてくれているのですか、これらが機能するには全て体温が37°以上とがある場合です。
つまり低体温というのは非常にかんが増えやすいという状態と言えます。
ではがん細胞に対して免疫を使ったアプローチ方法というのはどういうことをするべきなのかというところを話ししてきたいと思います。
がんに対する免疫学的なアプローチの基本は解糖系に偏った内部環境をミトコンドリア系が働きやすい状態にして分裂抑制遺伝子を働かせるというのがひとつのポイントになってきます。
つまりミトコンドリアが働きやすい環境にするということです。
ミトコンドリアが働きやすい環境というのは高体温や酸素が豊富に入ってくる状況です。
ではこのような環境にするためには何が何をするべきなのかというところですがまず簡単にできる方法としてお風呂に入ることが一番いいです。
ではどのような感覚でお風呂に入ればいいのかと言うとお風呂に入って気持ちいいと感じてからもうお風呂から上がりたいなと思うまでがいいです。
もっと具体的に言うと40℃から41℃ぐらいの気持ちいい温度のお風呂20分~30分ぐらい使ってるぐらいです。
逆に温度が高すぎてしまうとその温度がストレスになり顆粒球が増えリンパ球が減るようなそのような免疫抑制が起こってしまうことがあるのであまり暑すぎるお風呂には入らない方がいいです。
またお風呂に入れる水も気を付けないといけません。
日本の水道水には大量の塩素や農薬が含まれており、その水ではったお風呂に入れば塩素な農薬を経皮吸収してしまい逆効果になってしまう可能性もあります。
ですのでシャワーノズルに浄水器を付けてそのお湯をお風呂に入れたり、塩素除去をする対策をしたほうがいいです。
またお風呂にエプソムソルトを入れるとマグネシウムを経皮吸収してくれるので血流が良くなり継続して続ければ体温が上がってくるのでオススメです。
また大事なのはお風呂から出た後にしっかりと必要な栄養や質の良い油を摂取するのがポイントです。
あとは酸素をしっかり取り組むために深呼吸をしたり 胸は張ったり、胸を開くようなストレッチなどをして呼吸がしやすいような状況にすることが大事になってきます。
どれも非常に簡単にできることなので是非行ってみてください。
さらにがんが自然退縮していくための条件というのがあり、それは静脈血でpH7.45以上の状態です。
pHが7.45以上あると酸素分圧が上昇して二酸化炭素分圧が下がるので静脈血が暗赤色から少し鮮血色になっていきます。つまりこのような状況になることで解糖系が働きづらくなりミトコンドリア系が働きやすくなります。
ミトコンドリアが働くということは細胞分裂が抑制されるのでがんの自然退縮に入っていくということになってきます。
つまり今までの話をまとめると発がんの条件というのは低体温、低酸素、高血糖という状態で解糖系のエネルギー代謝にシフトすることで起こると言えます。
しかしこれは何かしらの危機を乗り越えるための大切な条件なのですが、長くこれが続いた場合は細胞ががん化する方にシフトしてしまうことになるので出来る限り低体温低酸素の状態から脱却することが必要になってきます。
つまりお風呂に入ったり湯たんぽを使ったりして身体を温めて、深呼吸をして酸素をたくさん取り込むことが大事になっていきます。
もちろんがんはこれだけではなく様々な要因で起こるのでこれだけで解決する問題ではないと思いますが、この免疫学的な側面から見るとがんというのは ストレスに打ち勝つための適応状態とも考えられます。
つまりその状況から抜け出すことができれば体はがん細胞を作らなくても良くなるということになるので必要以上に怖がることはないと思います。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?