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値段が高くても選んでしまう。クリスプサラダワークスが「サラダセレンディピティ」な理由。

先日、三軒茶屋に「crisp salad works」さんが新しくできたので早速訪れてきました。それってなあに?って方まずはこちらをご覧ください。
(※この記事はローカルメディア三茶散歩にも寄稿した記事です。)

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クリスプ・サラダワークスは、美味しくて満足できるサラダを、一つひとつ手づくりで提供するカスタムサラダ専門のレストランです。

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こんな感じで、見た通りボリューム豊富なサラダを提供してくれています。ビジュアルも良くってインスタでも見かけますし、何より健康的。少し前に駒沢にもオープンしました。

ただ正直いうと、知ってはいたけどサラダに払うにはちょっと高いなあとずっと感じていて、実は今まで一度も買ったことはありませんでした。

ところが、この出店をきっかけに今では「高いけどちょくちょく通ってみようと思ってるお店」という価値感の変化が起きています(僕に)。

という事で今日は、なぜ「値段が高くても選んでしまいたくなったのか」を書いてみたいと思います。個人的な見解なところもあるので、その辺ご了承下さい。

ケーキのように大切に持ち帰るサラダ

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とある週末の土曜日、三茶に新規オープンしたとあって、テイクアウトしに出かける事にしました。特に理由はなくその時は「三茶に出来たし行こうかな」くらいにしか思っていませんでした。

何気なく家族に「買いに行ってくる」と伝えると「やった♪」と喜こんでくれた奥さんの反応に(そんな喜ぶとは思わなかった)と少し驚き、家に帰ってきてサラダを袋から取り出すと、今度は子供がそれを見て「おおお!」「わーすごーい」ってうなる。

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※独り占めを主張したい彼女。

当然サラダだと一目瞭然なのに「開けていい?食べていい?」と言う。あれ、キミたち野菜嫌いじゃありませんでしたっけ?

サラダセレンディピティ

「思わぬ偶然の出会いによる幸福」をセレンディピティというのですが、ただのテイクアウトサラダが、こんなセレンディピティを感じさせてくれるなんて、それはそれはもうすごいサラダだな、すごい店だなcrisp salad works。です。

ただのサラダが、まるでケンタッキーのパーティセットを持ち帰ったような瞬間を届けてくれたのです。サラダのくせに、と言ったらいよいよ怒られそうですが、瞬間でケーキの箱を開けた時のような表情を生み出す「人の笑顔を作るサラダ」だと思いました。たかがサラダのくせにこれってすごくないですか?

「人の笑顔を作るサラダ」はちょっと五流コピーライター感半端ないですが、お腹を満たすためでも、健康を買いにいくでも、おいしいから買いに来るだけでもない。サラダじゃないところの価値があると思いました。

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出かける前、奥さんに喜んでもらった事に気を良くした僕は、購入したサラダをまさに箱に詰められたケーキのように、形が崩れないよう大切に持ち帰ったのは言うまでもありません。

そこも含めても、もう決してこれは僕にとってただのサラダじゃなかったということになります。

購入前から潜在顧客が成功を事前に理解してる

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でも「一回経験したら、次はもう盛り上がらないんじゃない?」と思う方もいるかもしれません。サンプル1で、属人的かもしれません。とってもマイノリティで、ニッチで、再現性低いかも知れません。

確かにそうかもです。だけど、決してコンビニのサラダでは起きるはずない表情をこのサラダは作ってくれたのも事実です。

この日に起きた些細な出来事を思い出して、これから僕はたとえこれが500円他より高くても、ここでサラダを買うんじゃないかと思います。

ケーキが出てきた時ように子供の喜んだ顔を引き出してくれたサラダです。これからもちょくちょく買いに行こうって気になりませんか?

世の中いろんな新しい商品がでて行列ができます。でも多くに知ってもらっても一回買って終わりの人はたくさんいます。また一度に多くのヒトに知ってもらうことが難しい今、できるだけたくさんのヒトに選ばれようとすることは決して効率いいとは言えません。

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とっくに人はモノから離れている時代です。

ならばこれからは1000万人に1回より、100万人に10回選ばれることが重要になるはずです。

おそらくここのサラダを買った人はみんな一回買っておしまい、って人ばかりではないと思います。話題になった新しい何かをトライアルで買い、次の新しい何かが出ればそちらに行く人たちで売り上げを立てるお店ではない気がします。

子供が「わああ」って盛り上ったような興奮を感じ、また同じ体験をしたいと訪れる人が多いと思うのです。

1000万人に1回より、100万人に10回選ばれる価値感が勝ち筋

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1000万人に1回より、100万人に10回選ばれてると思わせるのは、商品以外にも理由があります。

お店に行った際、写真撮っていいですか?と伺ったとき「どうぞ」ではなく「嬉しいです」と返事が返ってきました。

その一言のチョイスに大きな違いがあります。

それによって僕はポジティブになれ、このお店のためにいい写真を取ろう、いい写真を投稿しようという気になりました。

それって結果、感情を込めた投稿が生まれ、お店は良い宣伝につながる。またお店を訪れた事のない人はこの喜びのこもった投稿に触れで気持ちが届く。(この記事もその一つ)。

僕が「買いに行く」と言ったとき奥さんが買ってくることを喜んでくれたのは、きっと買った人たちの「興奮」や「喜びの伝搬」が既に買う前から伝わっていることを示しているからなのではないでしょうか。

購入前から顧客が成功の体験を事前に理解してる、これ程素晴らしいことはありません。

そうでなければそんな高いサラダを買うと言ったら怒られるだけですし、サラダを「期待して待つ」ことなんてないです。

これからは売買差益だけで粗利を稼ぐため大量消費を促すのではなく、「もっと幸せに生きたいか」や「生きがいのある人生を送りたい」という人をどれだけ応援できるかブランドを目指すべきなんだなとcrisp salad worksさんは体感させてくれました。

ここはきっとサラダをやめてもお客さんはついてくる。例えばメガネでもハンカチでも選ばれるようになる価値作りを約束してくれる気がします。

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最後に。三茶住民ならわかるともいますが、この立地、これまでお店が変わるがわる誕生する場所でした。だからその分crisp salad worksさんにはワクワクしています。いよいよ地域との持続的な交流を深めてくれるお店が生まれそうだなと。

※この記事はローカルメディア三茶散歩にも寄稿した記事です。

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ビジョンコミュニケーション。元新聞配達員。元舞台役者。元コピーライター。C1グランプリ優秀賞。宣伝会議講師。キャンプ好き。2M(メディア)なPRプランより生活者目線で理念を打ち出すブランディングを実施。三茶散歩コミュニティマネージャー。好きな言葉は「和して同ぜず」