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2021年7-10月に聴いて引き込まれた新作アルバム (クラシック、ジャズ、ポップス)

7-10月は18枚のアルバムを聴きました。
どれもいい音楽体験でした。

18枚のジャンルの内訳は
Classical 7枚
Jazz 4枚
Hindustani Classical 1枚
Classical Crossover 1枚
Country 1枚
J-POP 1枚
Rock 1枚
Alternative 1枚
Avant-Garde 1枚
Contemporary Jazz 1枚
です。(AppleMusicより)

また個人的な関心と親しみのあるジャンルとして
・合唱(Choir, Vocal Ensemble…etc)
・ルネサンス・バロック音楽(Renaissance music, Baroque music)
・日本語詞を含む歌(J-POP…etc)
が含まれてます。

忙しい人のためのまとめプレイリストはこちら

以下、各アルバムの感想とメモです。
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01《Classical》カプスベルガー:「イル・テデスコ」~マドリガーレほか声楽作品集 (Kapsberger in Rome, 1610 "Il Tedesco")  - L'Escadron Volant de la Reine

出典 Amazon

Release date : 2021 / 08 / 27
Label : Harmonia mundi
Genres1 (Apple Music) :  Classical
Genres2 (Rate Your Music) : Baroque Music (推定)

調和のあるハモリによる、1610年のローマで出版されたカプスベルガーの声楽作品集

声と楽器のハモリがいいなあ。響きがふくよか。
特にソプラノ・アルトのハモりの繊細さとその声の響きの膨らみが白眉。また合唱全体として高音と低音の対比がハッキリしながらも互いに作用しあっていて聴いていて気持ち良い。

あと曲によっては楽器が躍動的でいい。特に11.Fabricator d'inganni17.Io rido amantiではその魅力を堪能できる。チェンバロ、テオルボ、ヴィオラ・ダ・ガンバ、ハープが響きの中を立体的に機動する。特にチェンバロが機敏に動いていて音楽に流れと推進力を生んでいる。またその中で、ヴィオラ・ダ・ガンバが面として持続的な響きを与えてるのも立体的に曲が聴こえるのに寄与してていていい。格好いい。

演奏が立体的だと先に言ったが、このカプスベルガーの作曲自体どれも響きが奥行きあって立体的なのが多い気がしてきた。カプスベルガーいいね。

9.Su l'ebe affissomiの声の掛け合いいいなあ。この間合いの繊細さが魅了する。

23.Ah, Clori anima miaは良い合唱曲。歌いたい。アニマメアという言葉の入った歌詞の曲には個人的に弱い。その言葉の発音それ自体の緩急と響きが好きすぎる。ミサ曲のGloria、Sanctusの冒頭文も。なんかいいよね口の動きが。

ぼんやりだが、ミサ曲など定型の歌詞から様々な曲を当てる文化が当時の西洋音楽の発展に寄与したのかもと妄想してみる。テンプレみたいな型があると技術を受け継ぎやすいし、また、遊んで型から破れ出て革新が生まれやすいしで。あと型があると初心者にも優しいし、俳句の575みたいに制限があると逆に燃えて創作意欲湧いたりとで、それが文化の発育を促す一因になったのではと思った。そんな適当な妄想。閑話休題

【作曲者】

作曲者はジョヴァンニ・ジローラモ・カプスペルガー (Giovanni Girolamo Kapsperger)。生没年1580-1651年。イタリア初期バロック音楽の作曲家。リュート、テオルボ、キタローネ奏者。
ヴェネツィアで生まれ、1610年からはローマで活動した。親がドイツ人のためローマでは「Il Tedesco(イタリア語で、”ドイツ人”の意)」とも呼ばれてたとのこと。これはアルバムタイトルの由来でもある。

【奏者・録音空間】

奏者は以下の通り
L'Escadron Volant de la Reine / 古楽演奏団体
Caroline Arnaud / ソプラノ
Eugénie Lefebvre / ソプラノ
Damien Ferrante / アルト
François Joron / バリトン
Renaud Bres / バス
Josephe Cottet / ヴァイオリン
Antoine Touche / ヴィオラ・ダ・ガンバ
Thibaut Roussel / テオルボ
Caroline Lieby / ハープ
Clémet Geoffroy / チェンバロ、オルガン

L'Escadron Volant de la Reineは古楽演奏団体。ヴィオラ・ダ・ガンバ奏者のAntoine Toucheが中心となり2012年に結成された。17世紀から18世紀にかけての知られざる作品を発見したいという思いから、イタリアの音楽を中心に研究を進めている。

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録音の音響空間はフランス、RémalardのÉglise Saint-Germain-d'Auxerre

出典 Flickr

[参考1]アルバムの詳細と紹介文はこちら(キングインターナショナル)

テオルボの名手として名を残しているカプスベルガーによる、声楽作品集の登場。
カプスベルガーは、ドイツ人の両親のもと、ヴェネツィアに生まれました。彼はその生涯をほぼイタリアで過ごしました。結婚してローマにうつり、テオルボの名手として名を馳せ、上流階級の人々のサークルで演奏していました。ローマでは「Il Tedesco(イタリア語で、”ドイツ人”の意)」とも呼ばれておりました。彼はテデスコの名手でしたが、美しい声の持ち主でもあり、彼の最初の出版楽譜はマドリガーレ(1608/09)でした。これは今でも演奏される機会がきわめて少ないですが、テキストの詩情に見事に音楽が融合された作品ばかり。

[参考2]アルバムのレビューはこちら(Opera Today)

リンク先は作曲家の生涯・曲単位の説明に及んでて面白かった。

[参考]セッションの様子はこちら(Youtube)↓

この空間めちゃ荘厳。雰囲気あるなあ。

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02《Classical》モーツァルト: クラリネット五重奏、ホルン五重奏曲 (Mozart: Chamber Works) - Klenke Quartett & Nicola Jürgensen & Stephan Katte

Release date :  2021 / 04 / 23
Label : ACCENTUS Music
Genres1 (Apple Music) :  Classical
Genres2 (Rate Your Music) : Chamber Music, Classical Period (推定)

弦の掠る空気感を丸ごと録った柔らかく暖かなモーツァルト

耳を惹かれた三点
・バセットクラリネットとナチュラル・ホルンによる、美しい音色と弦楽器の中を自由に泳ぐような小気味良い演奏
・弦楽四重奏による、繊細なアーティキュレーションと呼吸をするように自然でたゆたうグルーヴ
・細部の美しさがありありと感じられる柔らかく暖かな響きの録音

響きが美しい。そして心穏やかになる暖かく柔らかな響きの演奏。落ち着く。落ち着くには鎮まるという状態の落ち着くもあるが、どちらかというと優しい気持ちになれる、もしくはリラックスできる演奏。こんなの寝る前の読書の時間に聴いたらよく眠れるやつだ。弦が擦れる細部まで聴こえるのもいい。この繊細かつ柔らかなサウンドが頭を鎮めさせてくれる。

10-12.ホルン五重奏曲 変ホ長調のナチュラルホルンの演奏もいいなあ。音が雄大で素朴で気持ちいい。ナチュラル・ホルンは演奏難しいのにここまでしっかりした響きで速いパッセージを滑らかに演奏してるのは凄いなあ。

【作曲者】

作曲者はヴォルフガング・アマデウス・モーツァルト(Wolfgang Amadeus Mozart)。 生没年1756-1791。オーストリアの音楽家、古典派音楽・ウィーン古典派を代表する人物。

やっぱいいなあモーツァルト。
この調和の世界は何度聴いても美しい。明るい曲・悲壮な曲、荘厳で公のために書いた曲、ふざけた私的な曲、どんな曲調でも根底にある調和とその響きの美しさは改めて惚れ惚れするなあ。また、演奏すると中身は清濁あわせ持った危ういバランスの調和だったりしてそこがまた格好いい。演奏するの好きだけどいつも声部のバランスにヒヤヒヤするし、何か精神状態が変な感じになる。全部ひっくるめて好き。

曲は以下の通りとなっている
クラリネット五重奏 イ長調 K581
モーツァルト/J.S. バッハ:平均律クラヴィーア曲集からの5つのフーガ  K405より
ホルン五重奏曲 変ホ長調 K407(386c)

【奏者・サウンドエンジニア・録音空間】

奏者は以下の通り
● Klenke Quartett / 弦楽四重奏団
Annegret Klenke / 第一バイオリン
Beate Hartmann / 第二バイオリン
Yvonne Uhlemann / ヴィオラ
Ruth Kaltenhäuser / チェロ

ゲスト
Nicola Jurgensen / クラリネット(バセットクラリネット)/ 1-4
Stephan Katte / ナチュラル・ホルン / 10-12

メインのKlenke Quartettはドイツのベルリンとテューリンゲンを拠点とする弦楽四重奏団。1991年に設立された。
2018年には初来日コンサートで日本に来てたのね。次もないかな。次あればぜひ聴きに行きたい。

ゲストのNicola Jurgensenバセットクラリネットを演奏している。これはモーツァルトがクラリネット五重奏曲とクラリネット協奏曲K. 622を書いた時の楽器に当たるとのこと。へええ。それにしても響きがふくよかで伸びが気持ちよくて美味しい音をしてる。

またナチュラル・ホルン奏者のStephan Katteの演奏がいいなあと気になったので調べたら、本人でナチュラル・ホルン自作しててビビった。楽器は一期一会の生き物なので求める響きのために自作するのはよく分かるし、得てしてそういう人はいい音色を出す奏者である可能性が高かったりするけれど(サンプル数が少ないので要出典)、ナチュラル・ホルンを自作してる人は初めて見た。もしかしたら自分に合うナチュラル・ホルンを作ったからこの難しい楽器も心地よい音色で雄大かつ滑らかに演奏することができたのかな、と想像してみる。

出典 Youtube

エンジニアは以下の通り
[録音、ミックス、編集] Marie-Josefin Melchior (作品一覧)
[マスタリング] Vilius Keras (作品一覧)

録音の音響空間は、ドイツ、バーデン=バーデンのハンス・ロスバウト・スタジオ (Hans-Rosbaud-Studio, baden baden)。 (作品一覧)。

出典 swr.de

[参考1]アルバムの詳細と紹介文はこちら(TOWER RECORD)

2001年からケルン放送響の首席クラリネット奏者を務めるニコラ・ユルゲンセンを迎えて録音したモーツァルトのクラリネット五重奏曲は、表現力豊かなユルゲンセンの演奏とクレンケ四重奏団の端正で親密度の高いアンサンブルで美しい名曲を奏でいます。

またナチュラル・ホルンの名手ステファン・カッテとのホルン五重奏曲では、ホルンが縦横無尽に活躍し、カッテの妙技が聴きものです。

そして、平均律の室内楽編曲版バッハの平均律が出版されたのは1801年のことでしたが、モーツァルトは、ヴァン・スヴィーテン伯爵を介して、バッハの平均律の存在を知ります。モーツァルトは、来る日も来る日もオリジナルの資料にあたって平均律を研究、4声体の5つのフーガを2つのヴァイオリン、ヴィオラ、チェロのために編曲しました。クレンケ四重奏団の明瞭なアンサンブルで、モーツァルトから見たバッハ像を知ることができる演奏です。

[参考2] レビューサイトによる批評・感想はこちら (AllMusic)

[参考]セッションの様子はこちら ※曲は異なる(Youtube)↓

内声いいなあ。気持ちよく馴染み調和してる。
特に第二バイオリンの働きいいなあ。

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03《Classical》J.S.バッハ:ブランデンブルク協奏曲 (Bach Brandenburg Concertos) - ベルリン古楽アカデミー (Akademie Fur Alte Musik Berlin)、Isabelle Faust、Antoine Tamestit

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(画像引用元 : Amazon)

Release date :  2021 / 09 / 17
Label : Harmonia mundi
Genres1 (Apple Music) :  Classical
Genres2 (Rate Your Music) : Baroque Music, Concerto

ふくよかな響きと躍動感により築き上げられるバッハのブランデンブルク協奏曲

耳を惹かれた三点
・一体となった管弦楽のハモリ
・一つの生き物のように躍動する伸び縮みするグルーヴ
・繊細な演奏と、自由と楽しさを感じさせる演奏の両立

いやあこの祝祭感は聴いてて幸せになる。めちゃくちゃ一体感してる。演奏に一つの音の塊のようなまとまりがある。それでいて活き活きと有機的に形を変え続ける。

ハモリが心地良いなあ。各楽器が調和してハモっているけれど、一つの生物のように決して束縛されず各々の自由意志によりまとまってるような、聴いてて気持ちが楽になる演奏。聴けてよかった。

躍動するようなグルーヴもある。なんというか密と疎が推進力を生んでいくようなグルーヴ。魚群の方向転換する時や、バネの単振動のような密と疎による形の移り変わりの趣がある。特に音の密となってるところの内に秘めたエネルギーが大きい。ギュッとエネルギーを溜めて音を開放の繰り返しがカタルシス効果のようで気持ちいい。

それにしても何度も書くが、曲の中のどんな音でもとにかくハモれるところは一体となってハモっていて、その時々の美しさを教えてくれている。音楽に意味のない音はもちろんないけれどそれを前提として、今までなんとなく聴き逃していた部分も意味(ここでいうハモリの快楽)を持って聴かせてくれる。

【作曲者】

作曲者はヨハン・ゼバスティアン・バッハ (Johann Sebastian Bach)。生没1685-1750年。ドイツ・バロック音楽の作曲家。鍵盤楽器の演奏家としても名がしられていた。

バッハのブランデンブルク協奏曲って、初めてのバッハに最適だよね。あまりクラシック聴かない井上陽水やユーミン好きの父もこの曲は何度も聴いていた。
自分は平均律クラヴィーア曲集から入って ――親が好きで流してたり弾いていた―― 幼児の頃バッハが頭が痛くなると泣き叫ぶほど嫌いだったのだが、入り始めがブランデンブルク協奏曲なら大分印象が変わったと思う。(今ではどの曲も好き。)そんなことをふと思う。
ちなみにバッハはカンタータを聴いたり歌ったりしたのが好きになったキッカケだったりする。内に飛び込んで体験するの大事ね。

【奏者・サウンドエンジニア・録音空間】

奏者は以下の通り
ベルリン古楽アカデミー(Akademie Fur Alte Musik Berlin) / 演奏団体

ゲスト
Isabelle Faust / ヴァイオリン(ヤコブス・シュタイナー、1658年製)
Antoine Tamestit / ヴィオラ(ストラディヴァリウス「マーラー」、1672年製)

演奏団体のベルリン古楽アカデミー(Akademie Fur Alte Musik Berlin)は1982年にベルリンで設立された古楽演奏団体。

サウンドエンジニアは以下の通り
[録音] Aki Matusch (参加作品)
[編集、マスタリング]  Florian B. Schmidt (参加作品)

録音の音響空間は、ベルリン、イエス・キリスト教会 (Jesus-Christus-Kirche, Berlin)。 (作品一覧)

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出典 berlin.de

[参考]アルバムの詳細と紹介文はこちら(キングインターナショナル)

ベルリン古楽アカデミーは1998年にブランデンブルク協奏曲を録音(HMM 931634)、以降幾度となく演奏会でも取り上げており、まさにかれらの手中に完全に収められたもの。自由自在、余裕たっぷりにあそびのあるアンサンブルが展開されております。

ファウスト、タメスティ両名が参加している第3番では終楽章の目もくらむようなスピード感で展開されるパッセージが圧巻!ファウストが参加している第4番はリコーダーが活躍する楽曲ですが、ファウストの攻めに攻めた、典雅で超絶技巧のパッセージもまた聴きもの。第6番はヴァイオリンが含まれない少し珍しい編成の作品ですが、ヴィオラのタメスティの存在感が際立っています。ほかにもアルパーマンの雄弁すぎるチェンバロや、管楽器の面々のうまさ!語りつくせぬ聴きどころの連続ですが、まるで6曲全体がひとつの大きな組曲であるように感じるくらい、ひといきに聴いてしまいます。作品当時の奏者たちも高い技巧の持ち主だったことは夙に知られるところですが、あらためてその史実に驚きとともに思いをはせると同時に、当時の演奏の現場の熱気と活気、そして聴衆たちの興奮までもが再現されているよう。即興感と心地よい疾走感に満ちた、尋常ならざる熱気とエネルギーと気魄にみなぎった演奏です。

[参考]セッションの様子とコメントはこちら(Youtube)↓

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 ※AmazonMusicでは今の所リンクに別のアルバム(1998年の録音)が出るバグがある
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04《Classical》バッハ: アート・オヴ・ライフ (BACH: The Art of Life) - Daniil Trifonov

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(画像引用元 : Amazon)

Release date :  2021 / 10 / 18
Label : Deutsche Grammophon
Genres1 (Apple Music) : Classical
Genres2 (Rate Your Music) : Baroque MusicClassical Period

立体的に流れるタッチによる、バロックから古典派までのバッハ一族の作品集

時にはとつとつと語り、時には滑らかに喋る、またその立体的な声部の絡み合いで魅せてくれる。とにかく間の取り方がいいなあ。音楽の流れは止めないけれどタメたり残響を聴かせるところはしっかり作って惹き込んでくれる。

簡単そうに弾くのがいいなあ。バタバタせず流麗に弾いている。それでいてスルスルと毒にも薬にもならない感じではなくしっかり語って聴かせてくれる。このバランスが心地いい。サラりとしてるがその中には情報が詰まっていて何度聴いても飽きない演奏。

後半のバッハのフーガの技法ではまた少し異なりその声部の絡み合いをグルーヴとして ――何度も畳み掛ける音の波のうねりとして―― 聴き手を魅了してくれる。

録音もピアノの音が透き通っていて、かつ細部のニュアンスもよく分かっていい感じ。

ちなみにJ.S.バッハのフーガの技法は未完だが、このアルバムでは奏者が補完して演奏している(56.コントラプンクトゥス 14)

【作曲者】

主な作曲者は以下の通り
J.S.バッハ (ヨハン・ゼバスティアン・バッハ) / 1685-1750 / ドイツ・バロック音楽
W.F.バッハ (ヴィルヘルム・フリーデマン・バッハ) /  1710-1784 / ドイツ・バロック音楽-古典派
C.P.E.バッハ (カール・フィリップ・エマヌエル・バッハ) / 1714-1788 / ドイツ・古典派
J.C.F.バッハ (ヨハン・クリストフ・フリードリヒ・バッハ) / 1732-1795 / ドイツ・古典派
J.C.バッハ (ヨハン・クリスティアン・バッハ) /  1735-1782 / ドイツ・古典派 (後年イギリスを拠点に活動)

またこれにアンナ・マクダレーナ・バッハの音楽帳(1725年)が含まれる。これはJ.S.バッハが妻アンナ・マクダレーナのために編纂した楽譜帳であり、この楽譜帳にはバッハ自身の作品の他、バッハ家を訪れた音楽家たちの作品、息子の習作、当時の流行曲が、バッハ自身と家族の筆跡で残っている。

【奏者・サウンドエンジニア&プロデューサー・録音空間】

奏者はダニール・トリフォノフ(Daniil Trifonov)
ロシア出身のピアニスト、現在はニューヨークを拠点に活動している。19世紀と20世紀の曲を主なレパートリーとしている。あまりバロック~古典派のイメージなかった。

サウンドエンジニア&プロデューサーは以下の通り
複数人いるのでこちらのクレジットを参照 (演奏により異なっている) 。

またクレジットで気になったのが調律師のBarbara Pease Renner。ジャズピアニストのBrad MehldauMichel Camiloなどの透き通るようなピアノの音のアルバム録音に多く参加していた。どれも好きなアルバム。知らなかったなあ。メモメモ。

録音の音響空間は、CD1の1-16がアメリカのマサチューセッツ州、メカニクス・ホール (Mechanics Hall, Worcester, MA) (作品一覧)。

出典 eventective.com

このホールはジャズピアニストBrad Mehldauの最近のアルバムの録音でも使われてたのね。2018年のAfter Bach2011年の連弾のModern Music。へええ。

また、CD1の17,18,とCD2がドイツのベルリン、ジーメンスヴィラ (Berlin, Siemens-Villa) (作品一覧)。

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出典 kaykarl.de

このホールは去年のピアニストのアレクサンドル・タローの録音でも使われてたのね。機会を逃してレビューしてなかったがこれもいいアルバムだった。

[参考] アルバムの詳細と紹介文はこちら(ユニバーサル・ミュージック・ジャパン)

・「音楽の父」J.S.バッハの最晩年の作品「フーガの技法」をはじめ、バッハの息子たちが書いた作品や、二人目の妻、アンナ・マグダレーナ・バッハに贈った音楽帳など、バッハの家庭を覗き込めるような選曲。
・トリフォノフによるコントラプンクトゥス第14の補筆完成版も収録。

[参考] レビューサイトによる批評・感想はこちら 1 (All Music)

[参考] レビューサイトによる批評・感想はこちら 2 (limelightmagazine.com.au)

[参考] アーティストのインタビューはこちら (yourclassical.org)

[参考] ソロセッションの様子はこちら(Youtube)↓

毎回思うけどひたすら指だけ映すMV欲しいでござる。指が鍵盤の手前を弾いてるのか奥を弾いてるのか、また指はその音を強くダーンッと弾いてるのか弱く弾いてるのかを映像から見たい (より欲を言えばヒジの動きや高さや体幹も同時映像して欲しいとありキリがないけれど)。音だけでも推測できるけれど映像と合わせたほうが耳の解像度の向上に役立つ気がして。あと奏者と同調する身体的な快感ある。

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05《Classical》グローリアス・クラウズ (Glorious Clouds) - 藤倉大 (Dai Fujikura)

出典: Amazon

Release date :  2021 / 09 / 22
Label : Minabel
Genres1 (Apple Music) :  Classical
Genres2 (Rate Your Music) : Modern Classical Music (推定)

意識を強制的に掴む繊細な響きに耳をそばだてさせられる、現代音楽による音響体験集

身体がギュッとなる。響きがどれもムズ痒イタ気持ちいい(これはこの新鮮な響きに慣れてないからだと思う)。耳をそばだてるような微かな響きも、ガツンとくる迫力のある響きも織り交ぜにして耳の快楽を与え続けてくれる。現代音楽は門外漢なこともあり聴いてるうちに集中力が途切れ意識が明後日の方向に行ってしまうことがよくあるのだが、このアルバムは最後まで集中力が途切れなかった。響きの微かな余韻に耳を惹きつけられるのか、曲の流れがなんとなくだが直感的に次を期待させるように繋がってるからか、とにかくアルバム中はずっと曲の世界に惹き込まれてた。

音楽体験、もしくは音響体験としての充実をもたらしてくれるアルバム。

どの曲もいいが、02スパーキング・オービット08.三味線協奏曲は面白くてなんかずっと聴いていたくて何度でも聴いてしまう。

【作曲者】

作曲者は藤倉大。現代音楽の作曲家。現在イギリスのロンドンを拠点に活動している。

藤倉大といえば、3年前に見に行った歌劇 ソラリスがすごい良かった。楽器の使い方とその音響効果が格好良すぎて、またその音楽の緊張感と面白さで強制的に集中させられて90分があっという間に過ぎた。身体がずっと響きでギュッとなってた。あの体験はいいなあ。見終わったあともしばらく椅子の上で毛穴が開いてた。

出典: ナタリー

あとテノールのTom Randleがあの難しい曲の中ピッチの当て方に特に安定感あったのを憶えてる。楽譜的な正解は分からないけれど和音や旋律の中で一番しっくりくるいい響きのピッチにブレずにスッと音を入れてたのが今でも印象に残っている。作曲専攻という経験がピッチへの解像度に関係したりするのかな。どうなんじゃろ。

[参考] アルバムの詳細と紹介文はこちら(TOWER RECORD)

今回はシリーズ初の2枚組という大ボリューム。これまでの作品集同様、今作も、大オーケストラによるタイトル曲からエレキギター、リコーダー、ホルン、琴、三味線、尺八、ヴァイオリン、クラリネット、マリンバ、コントラバス、ヴィオラ、バスクラリネットなど、さまざまな楽器のために書かれたヴァラエティ豊かな藤倉大の広大な音楽世界に迫る作品集となっています。

[参考] アーティストのインタビューはこちら (SonyMusic)

今年9月にリリースされた最新アルバム『グローリアス・クラウズ』は、大ボリュームのCD2枚組。収録曲の半分がコ口ナ禍によるロックダウン状況下でのレコーディングだったと藤倉大は語る。

「ロックダウンが始まって以降、すごい数の演奏家たちから『今までずっと弾きたいと思っていたあなたの作品を演奏したい』というメッセージが届きました。コ口ナ禍以前は忙しく世界中を飛び回っていた演奏家たちが、自分のやりたいことと向き合う時間ができたのでしょう。練習の模様を動画に撮って送ってきてくれたりもするので、そこからコミュニケーションが始まって、新しい作品や録音が次々生まれていきました」

[参考] セッションの様子はこちら(Youtube)↓

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06《Hindustani Classical》Splendour - Purbayan Chatterjee, Bickram Ghosh

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Release date :  2021 / 10 / 18
Label : TAALIM
Genres1 (Apple Music) :  Hindustani Classical
Genres2 (Rate Your Music) : Hindustani Classical Music (推定)

シタールとタブラの熟練奏者によるセッションの喜びに溢れた北インド古典音楽

うわあ格好いい。セッションの楽しさが詰まってる。(その達人の域はどれくらい遠いのか分からないが)聴いてるとここでこのパーカッションの音色(叩く場所)を使うのか、ここで加速するのか、刻むのか、またシタールの弦の響きをこう入れてくるのか、ここでこの音色(弾き方)を変えて入れてくるのか、このフレーズ(音の山のうねり)を入れるのかと、その身体の思考に同調するのがとても気持ちいい。

そういや最近なんかの記事で読んだけれど、音楽を聴くと聴者は奏者の脳波と同調するとかなんとか。そういうのあるよね。

そういえばこの直後にRareというアルバムも連続で出ている(まとめてくれればいいのに)。これも良かった。この2つのアルバムをまとめてのレビューとしてもいいぐらい。

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またこのシタール奏者のPurbayan Chatterjeeは今年2021年にUnbounded (Abaad)という複数人セッションによるアルバムを出している。これも良かった。

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こちらはヴォーカル有り、ジャズドラム奏者のアントニオ・サンチェススナーキー・パピーのマイケルリーグが参加してたりと豪華なメンツで聴き応えある。

【奏者】

Purbayan Chatterjee / シタール
Bickram Ghosh / タブラ

Purbayan Chatterjeeはインドのムンバイを拠点とするシタール奏者。インドの伝統的なクラシック音楽と現代のワールドミュージックを融合させることで知られている。

Bickram Ghoshはインドのダブラ奏者。インド古典音楽の他にネオフュージョン、映画音楽など幅広く参加している。

[参考] セッションの様子はこちら ※最新ではない(Youtube)↓

音ズレとフレームレートの低さはあるので動作と音が完全に一致しないが、それでも刺激的。指の使い方と身体全体の使い方(特に大きな曲の流れとしての伸縮、弛緩と緊張)は見てるだけでも刺激ある。指と身体の動きだけでも同調して興奮できる。面白い。

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07《Country》My Bluegrass Heart - Bela Fleck

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出典 amazon

Release date :  2021 / 09 / 10
Label : BMG Records
Genres1 (Apple Music) :  Country
Genres2 (Rate Your Music) : Bluegrass, Progressive Bluegrass

スリリングで楽しく面白いブルーグラスのセッション

心地いい。じっくり聴くのもいいが、読書や作業しながらの音楽に最適だった。この明瞭な響きと軽快なリズムが身体に同調さして気分が軽く前向きになってくる。こういう小気味よく爽快な音楽はいくら摂取してもいい。

【奏者・サウンドエンジニア】

メインの奏者はBéla Fleck。楽器はバンジョーを演奏している。

ベースのビクターウッテンと組んだ4人組フュージョンバンドBela Fleck & The Flecktonesもいいよね。このバンドで昔エレキマンドリンによるジャズの快楽というのを知った。今聴いても刺激的。

またこのアルバムでは、個人的に興味のあるベースのEdgar Meyer、マンドリンのChris Thile、同じくマンドリンのSierra Hullも参加している。

他多数のブルーグラスのアーティストとコラボしている。

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サウンドエンジニアは以下の通り

[録音、ミックス] Béla Fleck (作品一覧)
[録音] Richard Battaglia (作品一覧)
[マスタリング] Ted Jensen (作品一覧)

アルバムのメイン奏者であるBéla Fleckが録音とミックスを務めているのにへええとなった。楽器の響きに一家言ある奏者が録音担当するっていいよね。過去のクレジットを見たら、Béla Fleck & The Flecktonesの90年代からアルバムの録音、ミックスをいくつか務めてたのね。

[参考] アルバムの詳細と紹介文はこちら(Disc Union)

[参考] レビューサイトによる批評・感想はこちら (All Music)

[参考] アーティストのインタビューはこちら (banjo newsletter)

[参考] セッションの様子はこちら(Youtube)↓

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[関連]過去の作品の感想はこちら。※奏者はChris ThileとEdgar Meyer Not Our First Goat Rodeo (2020/06発表)

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08《Classical》Kapustin - Yeol Eum Son

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出典 Amazon

Release date :  2021 / 07 / 23
Label : Onyx
Genres1 (Apple Music) : Classical
Genres2 (Rate Your Music) : Modern Classical

低音のグルーヴとリズム管理が光る、近現代の作曲家カプースチンのピアノソロ曲集

たまにはこういうバリバリ弾いてるのを聴くのもいいなあ。
速い曲というのはそれだけで無機的になって粗が出やすいのだが、これはそんなのも吹き飛ばすグルーヴと打鍵の繊細さを含んだ濃淡のある堂々たる弾きこなしだった。

低音を軸としたグルーヴの構築が気持ちいいのよね。これを聴くと左手のベース音のグルーヴの波が生まれてれば右手はそれに乗っかるだけでいいんだなあと、音楽の基本の一つを思い出させてくれた。

カプースチンのピアノソロはリズムが途中でグチャッとなるのも多いのだが、このアルバムではどれも流麗に弾きこなしている。そしてリズムが固くなく、左手のグルーヴに合わせて伸び縮みしている。それが心地良い。

また音色と音量の変化が特に惹かれた。多声的な各声部がはっきり見える演奏だった。そして曲の色、かつその構造が明確になるカプースチンに初めて触れる人が聴いてもその曲の魅力が分かりやすい演奏でもあった。

【作曲者】

作曲者はニコライ・カプースチン(Nikolai Girshevich Kapustin)。生没年1937-2020年7月。ウクライナ、ロシアの近現代の作曲家。本人も超絶技巧のピアニストで何枚も本人による演奏アルバムをリリースしている。

というか去年カプースチンさんお亡くなりになってたのね。知らなかった…。

曲は以下の通り
・8つの演奏会用エチュード Op.40
・変奏曲 Op.41
・ムーン・レインボウ Op.161
・ソナチネ Op.100
・ピアノ・ソナタ第2番 ホ長調 Op.54

【奏者・サウンドエンジニア・録音空間】

奏者はYeol Eum Son。韓国で生まれ、現在アメリカを拠点に世界各国で活動してるピアニスト。流行りのネタにこじつけると2005年の第15回ショパン国際ピアノコンクールでファイナリスト(12人のうちの一人)だった人。

サウンドエンジニアは以下の通り
[Engineer(多分録音)] Fabrice Planchat (作品一覧)
※彼はプロデューサーも務めている。

録音の音響空間はスイス、ラ・ショー・ド・フォンのThéàtre Populaire Romand, Salle de Musique。(Théàtre Populaire Romand, Salle de Musique, La Chaux-de-Fonds, Switzerland)。 (作品一覧)。

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出典 j3l.ch

1950年代に建てられた1187席の劇場。スイスで数少ないイタリアンスタイルの劇場の1つ。

[参考] アルバムの詳細と紹介文はこちら(TOWER RECORD)

クラシックとジャズのテクニックや言語を絶妙に使い分けた親しみやすい作風で、多くの人々に愛されてきた人気作曲家ニコライ・カプースチン(1937-2020)。長年にわたってカプースチンを支持し、親交を深めてきたピアニスト、ソン・ヨルムが、2020年に惜しまれつつもこの世を去ったユニークな天才へ捧げる1枚をリリースします。このアルバムは、彼女の愛情がこもったオマージュ・アルバムであると同時に、カプースチンの音楽への素晴らしい導入にもなっています。

[参考] レビューサイトによる批評・感想はこちら (All Music)

[参考] レビューサイトによる批評・感想はこちら (classics today)

Son gives the music an attractive behind-the-beat lope that is similar to Erroll Garner’s signature style.

この低音を中心に構築されるグルーヴ、ビート感いいなあと思ったら、記者の方はジャズピアニストのエロル・ガーナーのスタイルを例えに言語化されてた。面白い。そう言われるとそうなのかも。またじっくり聴いてみよ。

[参考] ソロセッションの様子はこちら(Youtube)↓

指の踊るような動きいいなあ。指だけをずっと見ていられる。当たり前だけど音が弾むようなグルーヴしてれば指も同じ用にグルーヴしてる。この指だけでロトスコープのアニメーションを描いてほしい。クラウドファンディングがあれば投げたい。

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※アプリにはあるがサイトからのリンクは無い
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09《Classical Crossover》Playlist - Ensemble Perspectives

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出典 Amazon

Release date :  2021 / 08 / 27
Label : Outhere Music
Genres1 (Apple Music) :  Classical Crossover
Genres2 (Rate Your Music) : A cappella (推定)

バロックからポップスまで古今の音楽をどれも新鮮な音楽として今風に聴かせる一人一声部によるヴォーカルアンサンブル

耳を惹かれた三点
・柔らかく暖かいハモリの響きの心地よさ
・調和しながらも、それぞれの声部の個性が明確に見える快楽
・ふくよかな響きと広い空間の残響音の心地よさ

11.50 Ways to Leave your Lover は今年キングス・シンガーズもカヴァーしてたので比較すると面白いかもしれない。
キングス・シンガーズの演奏はキャッチーで各々の声の特徴がより際立ってる、ソロのロック的な歌い切る格好良さも特徴。
このEnsemble Perspectivesの演奏はそれに比べると、響きが厚く調和しているよりクラシック的な演奏となっている。お好みでどうぞ。

14.Frère Jacques(日本ではグーチョキパーで何作ろで有名) はいい演奏。まさに鐘が鳴り響くようにハモりが重なる編曲いいなあ。これは友達と気楽に歌いたい。

【作曲者・編曲者】

作曲者は以下の通り
ヘンリー・パーセル (Henry Purcell) / 1659-1695 / イングランド・バロック音楽 / 02
ヨハネス・ブラームス (Johannes Brahms) / 1833-1897 / ドイツ・ロマン派音楽 / 05
ガブリエル・フォレ (Gabriel Urbain Fauré) / 1845-1924 / フランス・近代音楽 / 04
レイフ・ヴォーン=ウィリアムズ (Ralph Vaughan Williams) / 1872-1958 / イギリス・近代音楽 /
サミュエル・コールリッジ=テイラー (Samuel Coleridge-Taylor) / 1875-1912 / イギリス・近代音楽 / 07
モーリス・ラヴェル (Joseph Maurice Ravel) / 1875-1937 / フランス・印象派・新古典主義音楽 / 13
ポール・サイモン (Paul Frederic Simon) / 1941- / アメリカ・フォークロック音楽 / 03, 11
ジェームス・テイラー (James Taylor) / 1948- / アメリカ・シンガーソングライツ音楽 , & ドン・グロルニック (Don Grolnick) / 1947-1996  / (共同作曲者) / 12
トム・ウェイツ (Tom Waits) / 1949-  / アメリカ・ロック音楽 , &  キャスリーン・ブレナン (Kathleen Brennan) / 1955- / (共同作曲者) / 15
Alexander Levine / 1955- / ロシア・イギリスの現代音楽 / 10

また作者不詳の伝承曲も含まれる。

アカペラアレンジの編曲者はこちら

【奏者・サウンドエンジニア・録音空間】

奏者は以下の通り
Ensemble Perspectives
Mathilde Bobot / ソプラノ
Geneviève Cirasse / メゾ・ソプラノ
Sean Clayton / テノール
Mathieu Dubroca / バリトン
Geoffroy Heurard / バス・バリトン、音楽監督

ゲスト
Renaud Bres / バス・バリトン

演奏のEnsemble Perspectivesはフランスのアカペラ・アンサンブルグループ。ルネッサンスからジャズ、ポップスまで、あらゆる種類の音楽、その多様性を探求するというコンセプトで結成された。

サウンドエンジニアはこちら
[録音・編集・マスタリング] Franck Jaffrès (作品一覧)

またスタッフとして、ヴォーカル・コーチにKatarina Henryson(アカペラグループThe Real Groupの創設メンバー)がいる。
ヴォーカルコーチがクレジットされてるのいいなあ。セカンドオピニオンみたいな。

録音の音響空間は、サン・ピエール教会、パリ (à l'Eglise Saint-Pierre  ,Paris)。※有名なパリ最古の教会かと思ったけれど動画を見ると同じ名前の別の所みたい。むむ。

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出典 Youtube

[参考]アルバムの詳細と紹介文はこちら(TOWER RECORD)

クラシックのパート・ソングから、フランス、アイルランド、ロシアの伝承曲、ポール・サイモン、ジェームス・テイラーからトム・ウェイツまでを、美しいハーモニーで聴かせます。

[参考]セッションの様子はこちら(Youtube)↓

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10《J-POP》音楽はおくりもの - 矢野顕子

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出典 Amazon

Release date :  2021 / 08 / 25
Label : SPEEDSTAR RECORDS
Genres1 (Apple Music) :  J-POP
Genres2 (Rate Your Music) :  Pop Rock, Jazz Pop, Progressive Pop, Art Pop, Funk Rock

魅力的な演奏によって紡がれる、郷愁と新しさを共に感じさせるバンドサウンド

耳を惹かれた三点
・矢野顕子による鍵盤と歌声の魅力
・各メンバーの個性がありながら互いに補完しあってる演奏
・エンジニアリングによる曲の立体感と一体感が共に両立したミックスの妙

うわあ演奏がどれも格好いいなあ。どれもスッと切れ味よく入っていて心地いい。楽器ごとの絡み合い、語り合いも立体的で心地良い。この自然にスッと入ってくるグルーヴいいなあ。心地いい。特に流れの軸となってるベースのめちゃ安定感とめちゃ安心感好き。

どれも新しいサウンドで今風なのだが、温故知新というか、矢野顕子の90年代前後のアルバムの魅力が正当進化した感じがある。あの頃の胸をキュッとするあの感じある。サウンドもあの頃を感じさせるがどこか今風、令和風。その安定感と新しさがある。そこが面白くて、気持ちいい。

1.遠い星、光の旅などで使われているエレキギターの歪みの含んだ音いいなあ。いい刺激になっている。昔風のような逆に全く新しいような。ベース音と合わさって耳が気持ちいい。

3.わたしのバス1981年に村田明美に提供した曲のセルフカバー。元の曲の出だしのみを用いたニューバージョンとなっている。この曲もよかった。当時の音の匂いと今風の新しさが混ざりそれがエモい。

個人的に4.魚肉ソーセージと人好き。歌詞も音も。ヘビロテした。

ベテランである今でも鋭さと遊び心が現在進行系だと思わせる一枚。

【奏者・サウンドエンジニア・録音空間】

奏者は以下の通り
矢野顕子 / ヴォーカル、ピアノ、作曲、作詞
林立夫 / ドラムス
小原礼 / ベース
佐橋佳幸 / ギター

アレンジ、プロデュースのクレジットは4人の連名になっている(参考)。
また作詞は糸井重里が多く(1,2,5,8)参加している。

9.音楽はおくりものではコーラスにMISIAが参加している。

サウンドエンジニアは以下の通り
[録音、ミックス] 飯尾芳史 (作品一覧)
[マスタリング] 小泉由香 (作品一覧)
※サウンドエンジニアの情報はここから参照

[参考]アルバムの詳細と紹介文はこちら(TOWER RECORD)

[参考] アーティストのインタビューはこちら (RollingStone japan)

[参考] サウンドエンジニアのインタビューはこちら (Sound & Recording)

ー音作りの肝になったのは、どのような部分でしょう?

飯尾 一つは“ベース”だと思います。僕のミックスは、ベースがすごく大きいんですよ。お店とかのBGMを聴いていると、調性があいまいに感じられることがよくあって。昨今は大口径のスピーカーで音楽を聴く人が減っていますし、ともすればスマートフォンの内蔵スピーカーで聴かれたりしますよね。そういう場合も、ベースがしっかりと出ていれば調性が分かりやすいと思うんです。それに小原さんの演奏がすごく良かったので、ベースをゆりかごのように配置して、みなさんの演奏を乗せるようにミックスしました。だから、さっきおっしゃった“耳に痛くないけれどトランジェントが生きている”という音になったのかもしれません。

ーピークを細かく処理したのかと思っていました。

飯尾 飛び出たところは削りますけど、小原さんが弾くだけでばっちりなので、あれこれする必要は無かったんです。ただ“周波数レンジの調整”は行いました。クラブでかけるわけでもないからローエンドを抑えて、ハイエンドも要らないから全体的にレンジを絞ったんです。周波数カーブを奇麗に作れれば、それだけでベースがよく聴こえるようになりますよ。これは、デジタル録音のれい明期に、レコーダーのフィルター対策としてやっていた処理を応用したもので。当時はソースの周波数特性のカーブを保ちながらレンジを絞ることで、詰まったように聴こえるのを緩和していたんです。縮尺を維持しつつコンパクトにするような処理ですね。

そうそうこれ!このアルバムはベースがしっかり入っていて安定・安心感があって、これが全体のサウンドの魅力を引き立ててると思ったらエンジニアの確固たる考えがあったのね。ベースのクリアな抜け感もしっかりした作業の上だったのね。ベースをゆりかごのように配置という表現にも納得。調性が分かりやすくなり、心地よくなって全体の魅力も増している。

[参考]セッションの様子はこちら ※「大家さんと僕(28:33)」が収録曲(Youtube)↓

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[関連]過去の作品の感想はこちら。Asteroid and Butterfly (やのとあがつま) (2020/03発表)

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11《Rock》moana - 踊ってばかりの国

出典 Amazon

Release date :  2021 / 06 / 02
Label : FIVELATER
Genres1 (Apple Music) : Rock
Genres2 (Rate Your Music) : Art Rock, Indie Rock, Neo-Psychedelia
Psychedelic Rock, Folk Rock

音の洪水に身を任せる浮遊感とトリップ感の溢れるサイケデリック・バンド

やっばいな久々に音を追いすぎて三半規管が酔った。目が回った。音の配置や差し込み方がグロいな。この手のは慣れてなかったからか、音を首を回しながら一つ一つ観測すると三半規管が酔う。すご。

初めは音が多くて鳴ってる現象全てを追う前に思考停止して放置してたけど、改めて聴いたら最高だった。その音の多さが癖になる。もっと早く聴けばよかった。気持ちよさと面白さがある。

トリプル・ギター体制から生まれる旋律の絡み合いはめまいのようにエグいほどインパクト残してくる。そして心地よさ気持ちよさも残してくれる。

【奏者】

奏者は以下の通り
踊ってばかりの国
下津光史 - ヴォーカル、ギター
谷山竜志 - ベース
坂本タイキ - ドラム
丸山康太 - ギター
大久保仁 - ギター

[参考] アルバムの詳細と紹介文はこちら(TOWER RECORD)

前作『私は月には行かないだろう』から1年半にも満たないペースでリリースされる8thアルバム。しかし、実際の制作はこれまでで最も長い時間を費やした。ライブで新曲を試しながら成長させていくバンドが、ライブが出来ない状況において、メンバーで何度も話し合い、衝突し、試行錯誤しながら、理想的な形に到達し完成させた。

[参考] アーティストのインタビューはこちら1 (ギター・マガジン)

――下津さんが作る楽曲って、弾き語りの段階で下津さんの歌とギター1本で成り立つくらい完成されてると思うんです。そこに新たにギターを付け足す時に、自分なりのルールみたいなものってありますか?
(中略)
――丸山さんは?

丸山 仁とほとんど同じで、“歌とどう関わっていくか”を考えていますね。今までは下津君の弾き語りのコードに対して、ギターのメロディをどこに向かわせようかと考えてたんですけど、今回はメロディの動きにもっと焦点を当てていて。コードが流れていったら、その逆の動きをするというか。そういうのにこだわりましたね。歌と同じ動きをして、そのちょっとあとにメロディを動かす、みたいなことがやりたくて。

結構このギターの動きがアルバムの味に効いてる気がする。

[参考] アーティストのインタビューはこちら2 (OTOTOY)

──ジャズの要素が持ち込まれたということなんですけど、アルバム全体に漂うサイケデリックな印象も丸山さんが持ち込んだものなのでしょうか?

下津 : マンチェスター的なサイケっていうのは僕の書く曲に昔からあるものなんです。インドっぽい音階があって、硬いビートがあってっていう。で、ギターの仁の特性であるデッド… デッドって基本ジャズなんですよ。そういうところに丸山のジャズが入ってきて親和性が生まれた。だから今まででいちばんメンバー全員のルーツの美味しいとこどりができたと思います。

──歌に対するコードとかメロディをどう違う風に聴かせるかっていうのに1年間を費やしたんですね。

下津 : そうですね。あとは“Orion”のイントロまでの部分とか。スタジオの練習で急に誰かがイントロを弾きだして曲にバンって入るときあるじゃないですか、その空気を入れたくて。関係ないコード進行を作って、ドラムも全くそれにそぐわないビートを叩かせて、急に曲がはじまるっていうのをつけてみたり。“ひまわりの種”は逆にイントロをぶち切って歌から入ってみたり、そういう自分のなかでも実験した部分がありました。どれもストレートにやってなくて。ほんまに、いままででいちばん好きなアルバムですね、安っぽい言葉になっちゃいますけど。

ここインタビューの部分はアルバムを聴いてて腑に落ちた。

[参考] セッションの様子はこちら ※収録曲とは異なる(Youtube)↓

別のアルバムの曲だが今年のライブの演奏が良かったので貼る。好きな曲でこの曲(Ghost)がキッカケでこのバンドを知った。「疲れたよもう疲れたよ」「乗っ取って僕を乗っ取って身体はいらないから」という歌詞の音との合わさり具合がツボすぎる。

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[関連]過去の作品の感想はこちら。私は月には行かないだろう (2020年発表)

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12《Alternative》HAPPY TINY CITY - 高峰伊織

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出典 Amazon

Release date :  2021 / 11 / 01
Label : takamine iori
Genres1 (Apple Music) :  Alternative
Genres2 (Rate Your Music) : J-Pop (推定)

ゆるい祝祭感と暖かい歌声で魅せるヴァーチャルジャズポップス

とにかく何度も聴いた。ふと聴きたくなるんだよなあ。全体に漂うゆるくて暖かい、そして小気味よい雰囲気に惹かれて疲れてるときになんだか聴きたくなった。

どの曲も歌手の暖かい声質と合って聴いてて心地いい。

曲が良いなあ。音が豊富に散りばめられて、かつ耳に痛くなく心地いい。それで面白く、長く、何度も聴ける。

個人的には01.アノニマス02.いたいよ05.idkが好み。

鹿あるくの作詞作曲編曲の05.idkの歌詞が特にいいなあ。明るい曲調と華やかなホーンセクションで悲し気な詞を歌うの好き。あと韻が小気味いい。

時が淡々とすぎる 燦々と光る
アーロンチェアに腰掛け
濃い炭酸を含むシャンパンを啜る
味とかわからないな
フロランタンを齧ある 感情が渇く
問題から目を逸した

【奏者・サウンドエンジニア】

各クレジットはこちらを参照 以下抜粋(Vtuber-Zero)

サウンド・プロダクション:高峰伊織鹿あるく[ahi:]TEAM POLESTAR
マスタリング:ひそやか
サウンド・ディレクター:高峰伊織

高峰伊織は2018年にデビューしたバーチャルジャズボーカリスト、いわゆるVtuber。

音楽制作グループのトマト組いいよね…と書こうとしたら今年の7月に解散してたのね。『「トマト組」って枠をなくしただけで、現在進行形で一緒に制作の仕事してたりするので、活動自体は何も変わりません! (代表者のつぶやき)とのことなので各メンバーの活動は続くみたいで、よかった。
これからも各々の活動に期待。

[参考] アルバムの詳細と紹介文はこちら(OTOTOY)

バーチャルボーカリスト高峰伊織の4作目となるオリジナルアルバム。「たしかにあった小さなしあわせ」をテーマに、壮大な世界観の"アノニマス"、ネオソウル風で技巧的なサウンドの"アノーネ"、軽快な曲調で等身大のメッセージを放つ"Happy Tiny City"など、個性的な楽曲を6曲収録した。 10年後の未来を生きる人々に向けて言葉を綴ったコンセプチュアルな1枚となっている。

[参考] MVはこちら(Youtube)↓

[参考] MVはこちら その2(Youtube)↓

動画の製作者は巡宙艦ボンタ
MVが予想以上にハマって見入ってた。アナログぽい質感がそうさせるのかな。音楽と合ってるのはもちろんだけど、創作の面白さみたいなのがビリビリ感じられてエモい。

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13《Jazz》Songwrights Apothecary Lab - Esperanza Spalding

Amazon

Release date :  2021 / 09 / 24
Label : Concord Records
Genres1 (Apple Music) :  Jazz
Genres2 (Rate Your Music) : Vocal Jazz, Avant-Garde Jazz
Third Stream, Spiritual Jazz

音楽における癒やしというのを様々な角度から実験したベースシンガーによるプロジェクト

最近のエスペランサ・スポルディングは聴き応えがありながらも前衛的でとっつきにくい曲を作るイメージだったが、今回のアルバムはとても構造がハッキリして聴きやすかった。そして曲も例年通り面白い。

このアルバムは癒やしがテーマとなっており、自身が教えているハーバード大のSongwrights Apothecary Labでの作曲のワークショップと研究のためのガイド付き実習が元になっている。ちなみにSongwrights Apothecary Labはその生徒、ミュージシャン仲間、音楽療法、神経科学、演劇セラピーなどを研究する人々から成り立っていて、音楽の何が人間を助けるのかを研究するのが目的にしているとのこと。

まあぶっちゃけ聴いてて癒やしを感じなかったけれど、真っ当に聴いてて面白い聴き応えのある音楽だった。普通にエスペランサ・スポルディングの新譜としてオススメできる。

アルバムを聴いて思ったが癒やしには、理性的に構造を観察する癒やしと、感情に訴えかけるカタルシスの癒やしがある気がする。(このアルバムでは後者はカオスなフリージャズ的な手法で使われている。)聴いた感じ単純に2つに分けたが、 もしかすると他にも癒やしの手法が含まれてるかもしれない。

0102は理性的な癒やし。構造的な癒やし。

03.は前半が理性的な構造で、後半は音の洪水がワッと来ている。これは理性的と情動的な感じが混ざっている。

0709はフリージャズ的な、John Zornみたいな混沌によるカタルシスで癒やされるのに触れた感じ近い。

と自分ルールの言語化で理性的な癒やし、情動的な癒やしと分けたけれどいい言語化ないかな。ちなみに理性と情動は1と0の関係ではなくゆるく繋がっているし、明確に分けられないよね。例えばルネサンス・ポリフォニーの主な曲には理性的な構造による癒やしがあるけれど、時にはそれが心の奥なる部分を揺さぶってくれるように。

今もまた思考停止して直感のままに「理性的な構造による癒やし」って書いたけれど理性的な構造ってなんだ。まあ、あれよニュアンスで。

【奏者・プロデューサー】

メインの奏者はエスペランサ・スポルディング(Esperanza Spalding)。主にジャズベーシスト、弾き語りヴォーカルとして有名。

ラファエル・サディークフェリックスコーリー・キング、そしてエスペランサ自身がプロデュースを務めている。

[参考] アルバムの詳細と紹介文はこちら

人々のストレスや悲しみを和らげるために、さまざまな分野の専門家と協議して作られた究極のヒーリング・アルバム。

オレゴン州ワスコ、ポートランド、そしてニューヨークのローワー・マンハッタンで行われた癒しのための音楽実験の場「ソングライツ・アポセカリー・ラボ」にて音楽療法、神経科学、黒人音楽、イスラム 神秘主義、南インドのカーナティック音楽など様々な分野の専門家とのコラボで生まれた楽曲を収録。

前作『12リトル・スペルズ』からヒーリング・アートと音楽の関係の探求をスタートさせたエスペランサだが、今作では自身による研究のみならず、プロフェッショナル、研究者の指導の下に音楽を作りたいと思ったとのことで、ソングライツ・アポセカリー・ラボを2020年2月に立ち上げた。ソングライツ・アポセカリー・ラボはエスペランサがハーバードで教えているコースでもあり、その生徒、ミュージシャン仲間、音楽療法、神経科学、演劇セラピーなどを研究する人々から成り立っていて、音楽の何が人間を助けるのかを研究するのが目的にしている。

TOWER RECORD

よく自分が書く記事の前文で、選ぶ指針は「自分を救うための音楽か・自分の今の欲求に叶う音楽か・頭を鎮めてくれる音楽か・落ち着く音楽か・癒やしてくれる音楽か」みたいなことを書いてるが、いざ他人が癒やしとか音楽療法とかヒーリング・ミュージックとか言ってると胡散臭いこと半端ないな!文面からスピリチュアル金儲けみたいなの想起しちゃってよくないな。

音楽を観測するのに集中することで(理性に働きかければ)頭が落ち着いたり、頭の雑念が消えたりするし、(情動に働きかければ)感情が揺れてカタルシスみたいな発散効果がおきて、それが結果的に癒やし、もしくはリラックスになるわけだけど、どうしても「癒やし」という言葉はスピリチュアル商売とイメージが結びすぎてキチガイじみてヘドが出そうになる。まあいいか。考えるときりが無いし自己の意識の問題だから、そんな考えは上に浮かせて思考停止しておこう。

[参考] レビューサイトによる批評・感想はこちら1 (All Music)

[参考] レビューサイトによる批評・感想はこちら2 (Mikiki - 佐藤英輔)

[参考] インタビューはこちら ※レビューも有り (note - 柳樂光隆)

どんな音楽がストレスの軽減に繋がるかを調査したら、クラシック音楽が有効だって結果が出たとのこと。更に調査をしたら、クラシック音楽の中でもメロディーの動きのふり幅が狭くて、トニック・フォームが予想しえるようなわかりやすさで、ソロ・ヴォイスがあって、周りの音がソロ・ヴォイスを取り囲むように作られてる構造が特に有効だって結果がでたという資料がありました。その構造に基づいて書いているのが「Formwela2」。

トニック・フォームが予想しえるような分かりやすさだとストレス軽減されるというのはなるほどなあ。そういうのあるよね。退屈にならない程度の形式的なものは落ち着く。

有料部分のレビューも興味深かった。オススメ。

[参考] セッションの様子はこちら(Youtube)↓

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14《Contemporary Jazz》Projekt Drums Vol. 1 - PETTER ELDH

出典: Amazon

Release date :  2021 / 09 / 03
Label : Edition
Genres1 (Apple Music) :   Contemporary Jazz
Genres2 (Rate Your Music) : Avant-Garde Jazz, Nu JazzWonky, Jazz Fusion

多彩なグルーヴを堪能する6人のドラマーを迎えたベース奏者によるプロジェクトアルバム

全体のグルーヴのうねりが気持ちいい。そしてどの曲も雰囲気が異なるのだが、どれも聴き応えあるなあ。捨て曲ない。 

リズムもノリもどれも気負いしてなく自由で遊び心に溢れてるのだが、どこか上品さ ――その調和の綺麗さ―― が全体にある。その調和が響きとして聴いていて心地いい。

【奏者】

メインの奏者はPetter Eldh。ベルリンを拠点とするスウェーデンのベーシスト。

[参考] アルバムの詳細と紹介文はこちら (Disc Union)

コマ・サクソを率いるペッター・エルドがドラムにフォーカスした新プロジェクトが始動!
スウェーデン出身のプロデューサーで、自身が率いるコマ・サクソではベーシストとして活躍するペッター・エルドが”ドラム”にフォーカスした新プロジェクトをスタート!記念すべき第1弾は、エリック・ハーランドやリチャード・スぺイヴンなど現代音楽シーンには欠かせない豪華ドラマー6名を招き、止まることなく様々な表情を見せてくれる万華鏡のように鮮やかなサウンドを詰め込んだ全6曲。コマ・サクソからオーティス・サンショーやヨナス・カルハマーも参加し、アレンジにはハープやフレンチ・ホルン、マリンバなどを用いて総勢18名で挑んだ注目プロジェクトの幕開けとなる1枚。

[参考] レビューサイトによる批評・感想はこちら (Jazz Trail)

[参考] セッションの様子はこちら(Youtube)↓

心地よ。ずっと聴いていたい。

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[関連]過去の作品の感想はこちら。LIVE - Petter Eldh, Koma Saxo (2021/04発表)

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15《Jazz》Reverso: Live - Frank Woeste, Ryan Keberle, Vincent Courtois

出典: Amazon


Release date :  2021 / 11 / 05
Label : Frank Woeste
Genres1 (Apple Music) :  Jazz
Genres2 (Rate Your Music) : Chamber Jazz (推定)

近代フランスクラシカルをオマージュした曲による心地いいグルーヴのアンサンブルセッション

響きとグルーヴが心地いい。同調すると心臓の鼓動を遅くなり(比喩)リラックスしてゆっくり聴ける。

ピアノとトロンボーンとチェロという編成もいいなあ。(低音寄りの)中音域のハモりの響きが厚くて心地いい。

同じ曲目の去年のスタジオ録音のアルバムも良かったが、このライブ録音のアルバムでは演奏の絡み合いがより自然にかつ柔らかくなって一段と聴き応えあるセッションになっている。

去年のアルバム Reverso - The Melodic Line

【奏者】

奏者は以下の通り
●Reverso
Frank Woeste / ピアノ、作曲(02,03,04,06,09)
Ryan Keberle / トロンボーン、作曲(01, 05, 07, 07, 08)
Vincent Courtois / チェロ

このトリオReversoは、作曲の影響にフランスのクラシック音楽があるとのこと。このアルバムでの作曲はピアノのFrank Woesteと、トロンボーンのRyan Keberleが担当している。

このアルバムではフランス6人組(20世紀前半フランスのクラシック作曲家)をオマージュした曲となっている。ぶっちゃけ細部としてよく分かってないけれど言われると大雑把だがあの頃の明瞭さが流行ってた時のフランス音楽っぽいよねって気もする(小並感)

[参考] アルバムの詳細と紹介文はこちら ※前作スタジオ録音(HMV)

ドイツ出身フランス在住のピアニスト フランク・ヴェステ、アメリカのトロンボーン奏者ライアン・ケベール、フランスのチェロ奏者ヴィンセント・クルトワによるトリオ「REVERSO」2枚目のアルバム。心地よいリズムと、詰め過ぎず程よい密度の音から生まれる手のひらに載るようなグルーヴ、リリカルなピアノ、メロディアスなトロンボーンによるリラックスしたサウンドが基調。時折挟まれる高テンションのアクセントもまた、程よいスパイスとなっています。

前作のスタジオ録音の紹介文なのだが、今回の印象にもそのまま当てはまるので引用する。『詰めすぎず程よい密度の音から生まれる手のひらに載るようなグルーヴ』という言語化いいなあ。まさにその通りだピッタリくる。

[参考] レビューサイトによる批評・感想はこちら (JazzTimes)

[参考] アーティストのインタビューはこちら (Bluestem Jazz)

[参考] セッションの様子はこちら(Youtube)↓

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16《Avant-Garde》The Picture - Alfred Lorinius & Stormfågel, featuring Marie Nilsson Lannerö, Joel Fabiansson, Otis Sandsjö and Oliver Steidle

出典: Amazon


Release date :  2021 / 04 / 23
Label : toppkonst 
Genres1 (Apple Music) :  Avant-Garde
Genres2 (Rate Your Music) : Jazz (推定)

浮遊感の中で巻き起こる前衛的な冷たい響きと優しく暖かな響きが織りなすクインテット・ジャズ

アルバムの全体を浮遊感が占めている。その中で前衛的なアヴァンギャルド・ジャズをしたと思ったら、優しく暖かな響きを持ってきたりしてと、不思議な感じ。とにかくその浮遊感の中で巻き起こる音の世界が心地いい。

ヴォーカルもいいなあ。ベタだけど声があると一気に取っつきやすくなる。

【奏者】

演奏メンバーは以下の通り
Alfred Lorinius - ダブルベース、作曲、作詞
・Marie Nilsson Lannerö - ヴォーカル
・Joel Fabiansson - エレクトリック・ギター
・Otis Sandsjö - テナー・サックス
・Oliver Steidle - ドラムス

メインの奏者はAlfred Lorinius。スカンディナヴィアのベース奏者。このアルバムでは作詞作曲も手掛けている。クレジットにあるStormfågelは彼のソロプロジェクトとなっている。

[参考] アルバムの詳細と紹介文はこちら(Bandcamp)

[参考] レビューサイトによる批評・感想はこちら (bluebird reviews)

[参考] セッションの様子はこちら ※曲と一部メンバーが異なる(Youtube)

ベースのAlfred LoriniusとサックスのOtis Sandsjoがアルバムでも演奏している。

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17《Jazz》System One - Sebastian Noelle (feat. Matt Mitchell, Chris Tordini, Dan Ewiss)

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出典 Amazon

Release date : 2021 / 10 / 29
Label : Fresh Sound New Talent
Genres1 (Apple Music) : Jazz
Genres2 (Rate Your Music) : Avant-Garde Jazz (推定)

ノリノリバラバラ調和ジャズカルテット

各楽器が離れて動く混沌さを持ちながらその色の中で調和を保ってるのがいい。また揺れるような全体のグルーヴが生まれていて心地良い。

なんだろうな。アルバムの最初から最後まで耳が惹かれて、かつ耳が離せなかった。それはリズムによるものなのかな。断片的にそれぞれバラバラに鳴っているけれど、全体としてみると断たれていない続くグルーヴ。ただリズムと瞬間瞬間の響きが気持ちいい。

あと所々前衛的なな雰囲気があるが、不思議と聴き疲れしない。むしろその響きの調和とリズムは心地よくさえある。聴く人により調度いいバランスは異なると思うけれど。

【奏者・サウンドエンジニア&プロデューサー・録音空間】

奏者は以下の通り
Sebastian Noelle / ギター
Matt Mitchell / ピアノ
Chris Tordini / ベース
Dan Weiss / ドラムス

リーダーはギターのSebastian Noelle。ニューヨークを拠点に活動している。

サウンドエンジニア&プロデューサーは以下の通り
[録音] Chris Benham (作品一覧)
[録音助手] Kevin Thomas (作品一覧)
[ミックス&マスタリング] 内藤克彦 (作品一覧)
[プロデューサー] Sebastian Noelle (セルフプロデュース)

録音の音響空間は、アメリカNY、ブルックリンのBig Orange Sheep。 (作品一覧)。

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出典 Big Orange Sheep

[参考] アルバムの詳細と紹介文はこちら(vento azul)

[参考] アルバムの詳細と紹介文はこちら(レーベル公式)

[参考] セッションの様子はこちら(Youtube)↓

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18《Jazz》Out Of The Dawn - 大西順子 presents the orchestra

出典 : Amazon

Release date :  2021 / 06 / 23
Label : somethin'cool 
Genres1 (Apple Music) :  Jazz
Genres2 (Rate Your Music) : Big Band (推定)

エンターテイメント性に溢れた聴き応えあるビッグバンド

ビッグバンド特有の音の密度の濃さが存分に現れてた。気楽に聴くと楽しいし、じっくりと耳を傾ける強度もある聴き応えあるアルバムだった。充実した時間をもたらしてくれた。

【作曲】
吉本章紘 / テナーサックス / 01, 07, 09, 14
井上陽介 / ベース / 08, 11, 12 ,13(編曲)
広瀬未来 / トランペット / 02-06, 10, 14

広瀬未来 といえば去年のアルバム「ゴールデンマスク」と新譜の「Air」もよかった印象。

【奏者・プロデューサー】

奏者は以下の通り
サックス / デイビッド・ネグレテ , 吉本章紘 , 曽我部泰紀 , 陸 悠
オーボエ / 本間 州
バスクラリネット / 佐藤芳恵
トランペット / 広瀬未来 , 佐瀬悠輔
トロンボーン / 和田充弘 , 池本茂貴 , 青地宏幸
チューバ / 松永 敦
ホルン / 中澤幸宏
ベース / 井上陽介
ピアノ / 武本和大 , スガダイロー
ギター / 馬場孝喜
ドラムス / 濱田省吾 , 吉良創太
パーカッション / 大儀見元

・プロデュース / 大西順子

豪華ね。

[参考] アルバムの詳細と紹介文はこちら(TOWER RECORD)

井上陽介(ベース)、吉本章紘(サックス)、広瀬未来(トランペット)の3名がその作・編曲力を存分に爆発させたレパートリーを、新進気鋭の若手から日本を代表する奏者まで総勢20名が結集し奏でる、驚異のラージ・アンサンブル!

[参考] セッションの様子はこちら(Youtube)↓

この曲(01.Naughty Ghost)好き。

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おわりに

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一部11月のアルバムを含みました。

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10月の初めにあらかた書いてたけれど仕事が立て込んで気づくと今年の終わりになってた。

一ヶ月以上間隔があると感想も変わっていく訳で、差し替えたアルバムもたくさんある、というか半分はアルバムが当初と変わってる。早くプロトタイプで公開しとけばよかったな。

もう下半期まとめみたいな感じね。

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ここからは9月に書いた文章。始まるワールドトリガーアニメへの期待を書いたのだが、もうアニメが後半戦に差し掛かっている。せっかくなので残しておく。

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遅効性SFワールドトリガー、3期のアニメ始まりましたね。毎度思いますがOPの各隊による群像劇演出いいですね。

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ここ好き

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出典 アニメ ワールドトリガー 3ndシーズン OP

なんなのこの生駒隊の団結感
イコさんみんなに慕われててよかったね…

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出典 アニメ ワールドトリガー 3ndシーズン ED

あとエンディングの映像がよかった。
首刈りウサギをこんな怠惰な表情で空から落とすなんて反則じゃないか。エモい。

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出典 ワールドトリガー21巻

今後の話に戻ると今期では弓場隊の帯島隊員も出てくるぞ!楽しみ。
頑張ってるよ帯島隊員、帯島隊員がんばってるよ。

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出典 ワールドトリガー19巻

あと漫画では東隊のここすき。
弟子二人はちびまる子ちゃんの大野君と杉山君みたいな趣ある。
東さんは化け物。

という訳でワールドトリガー3rdシーズン、アマプラネットフリックス等で配信中です。最近舞台化したりしまむらグッズ展開したりと需要が上がってきたのか、(多分)予算が増えてアニメの作画がめっちゃ良くなってるぞ!見よう!

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あとNHKアニメの舞妓さんちのまかないさんも今期いい感じ。ネットではNHKプラスAmazonPrimeで見れる。声の響きと背景の美しさに癒やされる。これはいいcv花澤香菜。

出典 NHK

あ、もうひとつNHKでやってるムーミン谷のなかまたちも癒やされる。これもNHKプラスでネット配信している。絵が綺麗。疲れた頭に脳死で見てる。と言ったけれど中身は子供向けながらしっかりしてる。音楽がいい。初出は2019年でNetflixでも配信してる。スナフキンがめっちゃ格好いい。こんなん惚れるよ。

出典 heyuguys.com

OPの曲いいよね…

オワリ

最後まで読んでくれてありがとうございます。よかったら「スキ」も押してくれると感謝です💐


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