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オートエスノグラフィックな何か

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オートエスノグラフィを書くための断片です。
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#ジェンダー

『「トランス女性は女性でない」と「女が女らしいのは女だからだ」は同じ論理構成』

『「トランス女性は女性でない」と「女が女らしいのは女だからだ」は同じ論理構成』

トランジション中は、本人も周りも大変だ。なぜなら、バイナリーなジェンダーの有り様以外を、社会が否定すべきだとしているせい。そのせいで、バイナリーなジェンダーの壁を乗り越えて、トランジションし、生まれて登録されたのは別な方のジェンダー・ステレオタイプに、ぴったり納まらないといけないから。

そのぴったり収まっている「女の有り様」は、フェミニストが苦しみ、脱出したいもの、そのものである。同じものである

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『声変わりしない』

もう少しで半年経つのに、声変わりしないので、毎日少しずつ傷ついていて、そのことに気がついて、泣く。

何より、声を出すことで、あれ?という顔をされたりするなど、相手の反応が、胸の存在と声が大きな理由で左右されている、とよく分かるから。

もはや、デッドネームで呼ばれるのと、プロナウンを間違えられるのが、何よりキツイ出来事になっているので、それを誘引するものを潰していきたい、という気持ち。

私は常

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『クイアセオリーでなくEMCA(および社会問題の社会学)に救われてきた理由(オートエスノグラフィックな何か 8)』

『クイアセオリーでなくEMCA(および社会問題の社会学)に救われてきた理由(オートエスノグラフィックな何か 8)』

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1. カテゴリーの外挿に自覚的であれ

収集したデータを分析して、それを研究論文として仕上げる、という研究活動をするのに、相互行為論的なやり方やEMCAでやっている人たちの間では、自分のジェンダーもセクシュアリティも、同時に自分のアイデンティティも、全く問題にならなかった。そのこと自体を、そんなに美味しくない飯を貪りながら思い出して、今、一番、人生の中で生きていると感じている。

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『日本版バッド・フェミニスト(オートエスノグラフィックな何か 7)』

『日本版バッド・フェミニスト(オートエスノグラフィックな何か 7)』

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1. ジェンダーを教えること自体が一つのアクティビズム

私は教員生活の間、20年近く、ずーっと学生からのトランスヘイトを浴びてきた。ミソジニーも浴びてきた。でも、それを話しても、ほとんど理解されなかった。なので、話してもしんどいので、話すこともなくなっていた。

そもそも学生時代、方々のゼミで発表しても、学会発表をしても、トランスヘイトを浴びていた。講演会をしても、同じ。トランス

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