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知人のツテだけでキャリアを築いてきた50代に感じた意外な弱み

数年前の面談で感じたことをフェイク混じりでお話しします。仮にAさんとします。

Aさんはいま4社目の会社にいますが、これまで転職エージェントを使ったことはなく、今回が初めてとのことでした。

50代まで一度も転職をしたことがない人はそれなりに見かけますが、3回転職して一度も転職エージェントを使ったことがないのはなかなかレアだなと思って、私はこれまでの転職時の話を聞きました。

それでなくとも、転職というのは、何を大事にしてどんな判断を下してきたのかが色濃く出るので、人となりを掴みやすいのです。

1社目から2社目は、1社目でお世話になった上司が転職した先に、上司から力を貸して欲しいと請われて引き抜かれたとのこと。

2社目から3社目は、元同僚から新規ビジネスをやると誘われて、ちょうど2社目で携わったプロジェクトが終わりかけだったタイミングもあって、転職。

3社目から4社目は、1社目と2社目でお世話になっていた元上司が次は外資企業に転職をしていて、そこでグローバル展開していた商材を日本で拡販する責任者になったから、また手伝ってくれないかと頼まれて、転職。ちょうど3社目で携わった新規ビジネスは、下火だった。

本人はとても誇らしそうで、自分に自信を持っている様子でした。慢心というわけではなく、評価されてきた人材である自負があるふうでした。


知人のつてでキャリアを築くメリットは、なによりも安心感です。勝手を知る人がもう転職先にいるわけですし、会社に何かあっても、そうしたつながりが複数あれば、食いっぱぐれのないキャリアになり得ます。

だから、本人が自負してる通り、それだけ高く評価されるつながりを持てるのは、すごいことだと思うんです。

一方、面談を進める中で、私は懸念も感じました。

「Aさん自身は、何をしたいのだろう?」

頼まれて転職した、というスタンスが前面に出過ぎていて、私にはAさん自らの意志が希薄に伝わったのです。頼まれたら断れない人の良さとプラスに評価できなくもないですが、少し無理がありました。
つまり、転職理由を聞いても、大事にしたいことやこだわりや判断基準が見えてこなかったということです。

これは面接では大きなバッド評価につながるポイントで、「入社して何をしたいですか?」にまったく答えられないことを意味します。

仕事をこなしていく上では優秀に思われる人材であっても、転職市場ではそれだけではない違った側面が求められる、印象的な例と言えます。

いまやリファラル採用という単語が知られるようになってきて、知人経由での転職(採用)に注目が集まってきています。
ただいくらスキル面が優れていたとしても、やはり転職においては、数回の決断を重ねることで磨かれた自己認識を豊かに語れることが重要な要素だと思うのです。

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