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なぜマスコミは間違いを繰り返すのか?~「捏造と編集のあいだ」の補足 

先の記事では捏造報道が起こる要因として、テレビ局での番組VTRの編集過程に問題があることを指摘しました。取材に直接関わっていない人間が編集担当者として番組VTRを作ることで、現実との乖離が生まれるのではないか?と、私は疑っているのです。※前編中編を参照。

同じような指摘をしている記事を見つけたので、とりいそぎご紹介します。



2012年、ネットニュースサイト「ガジェット通信」が大手マスコミに虚偽報道された事件がありました。それに関連して地域紙の編集整理担当者が、同サイトに匿名で寄稿しています。記事の捏造や虚偽といったトラブルが起こる要因として、「取材から印刷工程までの制作手順そのものに問題がある」と指摘しているのです。

取材した記者は原稿を、まずデスクが読み、校正します。この時点で取材される側の人物をまったく知らない人間が校正するのですから恐ろしいことです。(中略)デスクの校正した原稿を、整理部に送り、そこで整理部員が原稿を読んで見出しを付けたり(社によってはデスクが付けるところもあります)、場合によっては、またそこで言いまわしを変えてしまうこともありますし、紙面に入りきらない場合は文章を削ってしまうことも多いです。

ガジェット通信「なぜ新聞は間違いを繰り返すのか?新聞内部からの証言」より。強調筆者。

新聞の場合、取材した原稿は記者→デスク→整理部員の順で流れていくらしい。ひとたび記者の手を離れると、取材された当事者を知らない人間が次々と手を加えていくのですね。最後に整理部員が文章をバッサバッサ削って見出しをつける頃には、「取材される側の意思や事実関係が壊されていることも少なくありません」とのこと。

新聞もテレビと同じなんだな!と思いました。

私に直接会ったこともなく、私のことをまったく知らない人間が、私の映っている映像をさんざん切り貼りし、10時間以上もの取材データを5分間のVTRに押し込めて、事実無根のナレーションとテロップを付ける……のと似たようなことが、新聞記事の制作過程でも行われているのです。

匿名で情報を寄せた新聞社の人は、取材対象を知らない人間が記事を編集するのを問題視していて、「取材した記者が見出しを付けて紙面レイアウトまで行えば、こういうトラブルは今よりは減る」とも書いています。

さらに、取材を受けた側が原稿を確認することができないという“業界の慣習”にも疑問を投げかけています

ゲラ(原稿を試し刷りしたもの)を取材先に見せて確認してもらおうとしたら、上司がすごい剣幕で「活字になる前に見せるのは記者にとってこれ以上の屈辱はない!」と「机を叩いて怒りまくって」いたそうです。
なにがどう屈辱なのか、よくわからないですね。この寄稿者も、「ゲラを取材先に見せて確認してもらうことは、自分たちの媒体の信用を高めるはず」と書いています。自信がないから見せられないのでしょうか?

ゲラなりVTRなりを正々堂々と見せられないのは、何かやましい事情があるのかも。だから「報道の自由」とか「編集権」とかを印籠みたいに持ち出して、威嚇するのかもしれません。

「一度活字になってしまったものには訂正が効かないので、取材される人は、ゲラの確認はされた方がよい」と注意喚起されていますが、これはテレビでも同じことですね。

私が捏造報道されて抗議したとき、NHKの人たちは「わざとじゃない」とか「そんなつもりじゃなかった」とか言い訳してました。わざとじゃなくても捏造は捏造でしょ!って、よけいに腹が立ちましたよ。
ただ、制作スタッフの一人ひとりに捏造の意図がなくても、番組を作る過程全体に問題があるせいで、結果として捏造報道が生じている可能性はある。だからこそNHKの人たちは「自分は悪くない」と主張したのかな?「悪いのは組織だ」ということでしょうか。

捏造報道を生む主要因が構造的な欠陥にあるとしたら、組織の問題としてとらえ直す必要がある。しかもこれは媒体の種類を問わず、マスコミ全体に共通する問題でもあるようです。
そう考えると、是正するのは容易ではないだろうけど、このままでは報道被害が永遠になくならないし、マスコミの信頼も失われる一方です。

どうにかしないとね。

↑「捏造と編集のあいだ」前編、中編、後編がまとめてあります。「後書き」では、悪貨が良貨を駆逐する式のサイコパス的な組織構造についても触れてます。ぜひ覧ください!


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