【書評】『札幌学』(新潮文庫) 岩中 祥史 著
0.はじめに
岩中祥史『札幌学』を読みました。著者は他にも『博多学』『広島学』など県民性や地方事情に関する本を出しています。
本書で語られる札幌市、札幌民の特徴としては、
・古いものを大切にしない(新しいもの好き)
・女性の喫煙率が日本一(※当時。 女性が伝統・慣習に縛られず開放的?)
・おいしい食べ物がたくさん(スープカレー、サッポロラーメンなど)
・北の歓楽街「すすきの」と開放的?な札幌女性
などがあります。
1.感想
人間には個性があるため、「県民性」というくくりで理解しようとするには限界があります。そのため、あくまで参考程度に聞いておく程度が良いでしょう。
読んだ感想としては「だいたい合ってる」という所でしょうか。私は以前喫煙所の清掃をしていましたが、女性も普通に吸いに来ますし、後ろめたそうな感じも特にありませんでした。
「女なんだから、おしとやかにしなさい。タバコなど吸うべきではない」
という抑圧的な規範があまりないのでしょう。
元々、幕末の動乱で困窮した人たちがたくさん入植して作られたのが「北海道」という所なので、伝統や慣習に囚われない側面はありそうです。当時の北海道の環境は過酷であり、ロシアへの備えとして急ピッチで開拓が進められました。そのため、余計なことで争っている暇がなかった。そのことも関係しているのでしょう。喫煙は健康を害するので控えた方がいいと私は思いますが、それは男女ともに同じこと。「女だから吸うな」みたいな規範は田舎的で未熟な発想といえるでしょう。北海道の女性は開放的で元気なのかもしれません(もちろん、個人差はありますが)。
まあ逆に「男が弱い、だらしない」だの言われることもありますが(笑)
古いものを大切にしないのもだいたい合ってると思います。そもそも明治から本格的な開拓が始まったので、法隆寺みたいな古い建物が少ないのもありますが・・・。良く言えば開放的、悪く言えば「軽薄」という感じですかね。
ちなみに古い建物でおすすめなのは琴似の屯田兵屋。小さいですが当時の名残を残しています。後はがっかり名所で有名な時計台。周りがビルだらけのせいでいまいち風情に欠けますが、中に資料があります。じっくり読めば色々学べます。テーマパークとして来るとがっかりですが、資料館としてはまずまずではないかと思います。やっぱ景観って大事ですわ。まあ逆に、
「がっかりしに行こう」
と思って来れば楽しめるかもしれません(笑)
ご当地食べ物に関してはあまり食べないのでよくわかりませんが、評判はそれなりに良いのでしょう。今年青森に行ったとき、国道7号沿いに「サッポロラーメン」の店があったと思います。わりと他県でも知名度は高いんですかね。ちなみに幌加内そばも駅前アーケードに旗が置いてましたね。青森県民に意外と人気?
すすきのについて。まあ私は自閉的な人間なので夜遊びしたことはなく、これまたよくわかりません。酒も飲まないし。
先日、すすきのにある「そっち系」のエリアに迷いこみましたが、謎の気まずさがありましたね(入る気はさらさらないのに)。私は免疫ないのでダメですが、好きな人は好きなんでしょう。
自然の豊かさについて。
中島公園、豊平川河川敷、モエレ沼公園。まあまあ豊かでしょうか。中心部は高いビルばかりで少し息苦しいですが、少し離れるとゆとりが出て自然がありますね。地方都市あるあるですけども。
歴史について。
本州より浅いと言われますが、それはあくまで「北海道としての」歴史の話。古くからアイヌや北方系民族が住んでおり、その文化もあります。遺跡も函館、伊達、千歳、置戸など全道各地に点在。土器もかなり多く発見されています。個人的には深川市にあるストーンサークルあたりが気になっています。
東北や北陸からの移住者も多いため、北海道に興味を持ったらそちらも観光するとより深く理解できるかもしれません。新十津川、北広島、伊達など本州由来の地名もたくさんあります。青森の今別などは北海道の地名と語源が近そうですし、詳しく調べてみるとおもしろいでしょう。
2.おわりに
旅先を決めるときは旅行ガイドや旅番組を参考にする人も多いと思います。それは全く問題ないんですが、たまには映像や写真ではなく、ご当地ネタを「文章」で読んで仕入れるのも悪くないですよ。
新しい発見があると思います。
北海道や札幌のご当地情報はニッチなものを紹介しようと考えています。いわゆる観光ガイドにあまり載らない(そもそも観光スポットですらない)所を紹介したいですね。
それでは!
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