愛とないものねだり
引越しを考えているのですが、どうしても自分の理想を求めてしまってなかなか契約まで踏み切れません。
こちらの物件は広いけど、そこまで綺麗じゃない。
あちらの物件は綺麗だけど、1階の部屋。
今度は最上階だけど、家賃が予算オーバー。
結局何を優先していいのか分からなくなっています。
今住んでいる物件は住み始めた当初は理想に近い家だったのですが、今となれば不満ばかりの家となっています。
ないものねだりという言葉は色々なことに当てはまって(私は飽き性という意味合いも強いのかもしれませんが)、切望していたものを手に入れるとまた別の欲が出てしまうものです。
あんなに夢と希望を膨らませて上京した私も、今となれば当たり前。むしろ雑踏に気疲れをしてしまうほどです。
だからこそ地元に帰りたくなります。
若者はほとんどいません。
高層ビルはありません。
夜は山と海の音がどこかしらから聞こえてきます。
あの頃は嫌悪感さえ抱いていた町も今となれば愛してやまないふるさとです。
先日帰省した地元は相変わらず何もない町でした。
それも幸せであると気づけた私も成長したなと感じます。
だけど長くいるとまた嫌悪感を持つかもしれません。
ふるさとをいつまでも好きでいれるように、ないものねだりのまま東京に帰ってきました。
引越しをしたら今住んでいる物件も恋しくなるのかもしれません。
それはそれで愛していた証拠と受け取っておきます。
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