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9.11が与えたイスラム教への偏見。メディアが考え方価値観に与える影響の大きさを痛感した体験

◆イスラム教は怖いという印象

9月11日。

世界貿易センタービルに航空機が激突したニュースから早20年がたちます。戦争と同じく毎年ニュースになりつつも記憶が薄れがちな大きな出来事ですね。

当時はまだ子どもで、いまいち何が起こったのかわからなかった印象です。そして、テロを企てたグループが信仰していた「イスラム教」が悪い、怖いものという印象だけが残りました。子供ながらにテレビを見て知りえる情報はその程度です。日本の青森県という田舎で交わることのなかった人種なので、そのイメージが残ったまま僕は成長していきます。

その後新たに出てきた「イスラム国」という国際テロ組織の活動が活発になり、やっぱりイスラム教は悪い宗教なんだと思っていました。

そんな僕が初めてイスラム教を信仰している人に会ったのは、大学生の時に1ヵ月の短期留学で訪れたイギリスでした。そこにはクウェートという中東の国出身の生徒が多く、初めて見るアラブ人にちょっと緊張していたことを今でも覚えています。
ちょうどイスラム国に日本人が捕まった事件もあったので、最初の印象は「大丈夫かな」という疑いや不安の感情が先行していました。ただ仲良くなっていくうちに、いままで思っていたことがだんだんと変化していきます。

◆自分が勝手にレッテルを張っていたと気付かされた短期留学


◇初めてイスラム教徒とご対面

イギリスへ短期留学していた時は、英語は全くしゃべれない状態でした。
英語しゃべれない、意思疎通が難しい、時差ボケ、全くわからない新しい環境下で自分で思っていた以上にストレスを感じていたせいか、滞在期間中の最初の1周目は毎晩変な夢を見て、汗だくで目が覚めていたことが今では懐かしいです。

イギリス滞在中は語学学校に通いました。そんな状況で、話題のイスラム教を信仰している生徒とのご対面。僕は正直不安でたまりませんでした。

周りに知っている人もいない。言葉も通じない。そしてニュースで見たような顔の濃い中東系の人たち。この人達はイスラム教を信仰しているけど大丈夫だろうかと、不安も重なり複雑な感情でした。

なぜなら当時の僕の中で「イスラム教=怖い、テロ組織」になっていたからです。

語学学校では、レベル別のクラスに分かれて授業をするのですが、なんと7人中4人が中東系の生徒で、僕はさらに不安になりました。まさか一緒のクラスになるのか、大丈夫かなとドキドキで最初の1週目を過ごしたのです。

◇最初はゲームで交流

そんな中、僕が一番最初に交流した人は中東の国クウェート出身でイスラム教徒のアリ君でした。英語が喋れないからゲームならと思い、ウイニングイレブンを一緒にプレーしたことを今でも鮮明に覚えています。しかも彼から誘ってくれました。

アリ君はとても優しく、言葉もおぼつかない僕にとても親身に接してくれました。イスラム教の人って危ないのでは?という最初のイメージからは全く反対、とても親切に接してくれたので、本当に優しいのか?と疑いながらもギャップを感じていました。

ただアリ君は優しくて、英語も達者で積極的に僕とコミュニケーションを図ってくれました。どうやら日本のアニメが好きで、日本語も少し知っていたこともあり、僕はすぐに打ち解けて、英語を話せないながらも気づけば仲良くなっていたのです。

◇プチ旅行から距離が縮まった

語学学校側で企画されていた、週末旅行や体験に積極的に参加し、たくさんの国籍の人とも拙い英語とジェスチャーでコミュニケーションを図りました。その中でも特にアリ君とは、旅行の際も、イベントや食事の際も一緒にいる時間が多かったです。

お互いの文化について話したり、アニメのこと。チャーミングなポーズで一緒に写真を撮ったりと。ヘルシーで美味しい「フムス」という料理を教えてもらってから僕はどハマりでした。

僕がイギリスに滞在していた約1ヵ月の間、かなり親切にしてくれたアリ君。アリ君つながりで他の中東系の人とも仲良くなり、気づけば僕の周りはアラブの友人に囲まれていました。
その時はもう怖いだとか、不安な気持ちは一切なく、友人としてただ楽しい時間をすごしていたのです。僕はイスラム圏の人たちが当初優しいことに、とてもギャップを感じましたが、これが本来のイスラム圏の人の暖かさなのかなとそこで感じることができたのです。

◇情報を真に受けすぎない

僕はいかにテレビやニュースによる誇張された表現が、個々人の考え方、価値観に影響を与えることを身をもって体感しました。僕で言うところの、イスラム教は怖いなど。そういったステレオタイプを持ちながら相手に接すると、偏見や固定概念から軋轢が生まれて、表面的なことしか見えなくなってしまいがちだなと感じています。

テレビで見る情報がすべてではないし、テレビや深部のニュースの情報も「人」が発信している情報です。少なからず主観や、各企業の方針だったりとかが乗っかって表現されることもある中、自分で咀嚼する力が必要です。

これからの時代、より情報リテラシーを求められる時代だと感じています。ただ誰かが教えてくれるわけではないです。だからこそ「自分で考えること」が大事だと僕は自分の経験から感じています。
大事な心構えは「実際はどうなのか」と疑問を持つ視点です。

◆多様な社会を生きるために大切なこと

今は情報過多、ものすごいスピードでヒト、モノ、情報が行き来する時代です。グローバル化も進み、日本でもかなり多くの外国人を見かけたり、接する機会が多くなりました。

その多様な社会を生きる上で僕が感じる大切なことは、「相手の理解に努めること」「興味をもつこと」だと感じています。

僕のイギリス生活を楽しく彩りを与えてくれたアリ君は、とても日本のことを僕に聞いてきました。特にアニメの話。
ただそれがきっかけで僕はアリ君と話すきっかけにもなったし、おかげさまで、中東にはサウジアラビア以外にもクウェートのようなたくさん国があることも知りました。今度は相手の国や文化、そして最初は怖さを抱いていたイスラム教への興味も持つきっかけになりました。

「好き」の反対は「嫌い」ではありません。「無関心」です。

アリ君はとても僕や日本のことに興味を持っていました。だからこそ僕はなんとかして日本のことを伝えたいとgoogle翻訳とかを駆使しながら頑張って伝えていました。そして僕も相手のことに興味を持てたのだと思います。

相手に関心を持ち、お互いのいいところはさらに伸ばし、弱みを互いに補っていける関係を築けたのなら、人間関係を良好にするだけでなく、世界はもっと平和になると僕は信じています。

最後は願望見たくなってますが、この辺で。

ではまた!

#未来のためにできること

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