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愛する人との別れを乗り越えて:仏教の智慧と供養の真意




1. はじめに:お悩み相談会について

みなさん、こんにちは!蓮城院副住職のコウブンです。今日もお悩み相談会の時間がやってきました。このお悩み相談会って何だろう?って思った方もいるかもしれませんね。実はこれ、ハスノハというお坊さんが答えるお悩み相談サイトに寄せられた相談を、私コウブンがお答えしていくっていう企画なんです。悩みって誰にでもありますよね。でも、その悩みを誰かに聞いてもらうだけで、ちょっと心が軽くなったりするものです。だから、みなさんの悩みに少しでも寄り添えたらいいなって思って、この企画を始めたんです。

2. 切実な相談:「いつか会えますか」

さて、今日の相談は本当に胸が締め付けられるような内容でした。40代の男性の方からの相談で、タイトルは「いつか会えますか」。ちょっと長いですが、全文を紹介させてください。

今月、遠距離にいて来年僕のところに来る予定だった大事な婚約者が突然亡くなりました。毎朝のおはようと行ってきますのモーニングコール、ただいまとお帰りの挨拶、寝る前のおやすみ。そのいつもの日常が突然消えてしまい、思い返す度に涙が止めどなく溢れてしまいます。
こんなことでは彼女も安心できないのではと思いますが、どうしても悲しみに暮れてしまいます。僕が寿命で人生を終えた後、僕は愛する人と再び出会うことができますか。また彼女に会いたいです。会って、いつもは照れてなかなか言えなかった「愛してる」をたくさん言ってあげたいです。

https://hasunoha.jp/questions/72319

読んでいて、本当に胸が痛くなりました。大切な人を突然失うって、こんなにも辛いことなんだって、改めて感じました。

3. 仏教の教え:愛別離苦について

さて、ここで少し仏教の話をさせてください。仏教では、人生に起こりうる苦しみを8つに分類しているんです。その中の一つに「愛別離苦」っていうのがあるんです。

「愛別離苦」って聞くと難しそうに聞こえるかもしれませんが、要するに「愛する人と別れる苦しみ」のことなんです。今回の相談者さんが経験されているのは、まさにこの「愛別離苦」なんですね。

でも、どうしてこんな苦しみがあるのかって考えたことありますか?実は、この苦しみがあるからこそ、私たちは人を大切にしようと思えるんです。愛する人がいなくなる苦しみを知っているからこそ、今ここにいる大切な人を大事にしようって思えるんですね。

4. 私の経験:大切な友人との別れ

実は私にも似たような経験があるんです。20歳の時に修行に行ったお寺で出会った修行仲間のお話をさせてください。その人は私より少し年上で、本当に頼れる「兄貴」的な存在だったんです。

その方は心臓に持病があって、いつか突然具合が悪くなるかもしれないって言ってたんです。でも、まさか本当にそんなことが起こるなんて思ってもみませんでした。

ある日、その兄貴が亡くなったって連絡が来たんです。びっくりしました。そして、後悔の気持ちでいっぱいになりました。だって、会えるチャンスがあったのに、「いつか会えるさ」って思って、結局会いに行かなかったんです。

5. 供養を通じての癒し

その後、私はお葬式に参列して、それからずっと毎年お墓参りを続けています。最初のうちは、ただ悲しくて仕方なかったんです。でも、毎年お墓参りを続けていくうちに、少しずつ変化が起きてきました。

まず、ご家族の方の様子が変わっていったんです。最初はみんな悲しそうでしたが、年を重ねるごとに、「あの人ならきっとこう言うだろうな」って笑いながら話せるようになっていきました。

そして、私自身も変わっていきました。単に悲しむだけじゃなくて、「兄貴に恥じないように生きなきゃ」って思えるようになったんです。これって、供養の本当の意味なんじゃないかなって思います。

6. 悲しみを力に変える方法

さて、ここからが大事なところです。悲しみをどうやって力に変えていくか。これ、簡単なことじゃありません。でも、絶対に不可能なことでもないんです。

まず、悲しい気持ちを無理に押し殺す必要はありません。悲しいときは悲しんでいいんです。でも、その悲しみの中にある大切な思い出や、その人から学んだこと、その人と過ごした時間の中で感じた喜びを、少しずつ思い出していってほしいんです。

たとえば、相談者さんの場合、毎日のモーニングコールや「おやすみ」の挨拶。これって、とても素敵な習慣だと思います。これを形を変えて続けてみるのはどうでしょう?

7. 日常生活の中での故人との対話

具体的には、朝起きたら亡くなった恋人の写真に向かって「おはよう」って言ってみる。夜寝る前に「おやすみ」って言ってみる。最初は辛いかもしれません。でも、続けていくうちに、きっと心の中で対話ができるようになると思うんです。

それから、日記をつけるのもいいかもしれません。その日あったことを、まるで恋人に話すように書いてみる。「今日はね、こんなことがあったんだ」って。

これって、ある意味では供養の一つの形なんです。供養って、ただお経を上げることじゃないんです。故人の意思を自分の中に生かし、その人が喜ぶような生き方をすることが、本当の供養なんです。

8. まとめ:故人との絆を生きる力に

最後に、相談者さんの「いつか会えますか」という問いかけについて。正直なところ、確実な答えを出すのは難しいです。でも、私はこう思います。大切な人との絆は、死によって完全に断ち切られるものじゃないんです。

その人との思い出、その人から学んだこと、その人と過ごした時間。それらは全部、あなたの中に生き続けています。そして、それらを糧にして生きていくことが、きっとその人との再会への道筋になるんじゃないでしょうか。

悲しみを抱えながらも、恋人が望むような人生を歩んでいってください。そうすることが、最高の供養であり、恋人との絆を守り続けることになるんです。

みなさんも、大切な人を亡くした経験がある方もいるかもしれません。そんな時は、ぜひこの話を思い出してください。悲しみは消えないかもしれません。でも、その悲しみを力に変えて、前を向いて歩んでいけると信じています。

今日のお話はここまでです。みなさんのご意見やご感想、また新しいお悩み相談も待っています。Stand.fmのレター機能を使って、気軽に送ってくださいね。それじゃ、また次回!蓮城院副住職のコウブンでした。

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