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【推敲の極意は「削る」ことにある】推敲のスケジュールと最後にチェックしたいこと(2017年11月号特集)


 推敲というと、最後にざっとー読することと思っている人も。もちろん、誤字脱字も修正するが、細部も含めて徹底的に再考していくのが本来の推敲だ。

200枚の作品なら最初は220枚書く

 最初に原稿が書き上がったら、しばらく寝かす。期間は好き好きだが、できれば1か月欲しい。その間、原稿は一切見ない。
 1か月後、推敲に入り、少なくとも3 回は修正する。

 1回目。「要するに何が言いたい?」と自問しながら、テーマが浮き彫りになっているか、話の筋道が歪んでいないかを確認。
 2回目。表現的におかしなところがないか確認する。
 3回目。誤字脱字など一切の書き間違いを排除する。

 推敲は、基本的には書き足すのではなく削る。1~2割ほど多めに書いて、余分を削る。

最後の見直し:4大ポイント

文章のベクトルが結末を向いているか

 話の筋道が通っているか、流れを確認しながら読んでいく。文章にはベクトル(方向) があり、場面なり章なりを読んで、ベクトルが結末を向いていないものは削るなり修正するなりする。
 場面や章は、枚数も適正か考える。多すぎれば削るし、表現できていなければ書き足すか書き直すかする。

伏線はあるか、回収はできているか

 長編の場合、序盤で張った伏線を終盤で回収するということもあるが、長編は長いので、伏線だけ張って未回収だったり。不自然でなければそのままでもいいが、回収する場面だけあって伏線がない、または話に必然性を持たせるために前もって書いておいたほうがいいという箇所があれば修正する。

整合性はないか、矛盾はないか

 改めて読み直すと、動機が弱いと感じることがある。あるいは動機は十分だが、その結果にはいくつか選択肢があり、ほかの選択肢を選ばなかった理由がはっきりしないということも。また、Tシャツを蒲ていたのに、いつのまにかYシャツになっているなど、(誤字ではなく) うっかり勘違いしていることもある。

ファクトチェックと用字用語

 最後は校正・校閲。誤字脱字、人名、地名、商品名など固有名詞の表記や、ワープロ原稿は誤変換や文字化け等も確認。
 また、「○年に安倍内閣が発足した」の年、それから「木の年輪は日当たりのよい南側が太い」など今では科学的に否定されていることが書かれていないかもファクトチェック(事実確認) する。

推敲チェックリスト

  • 読後にテーマが浮かぶか。

  • 3幕のバランスはどうか。

  • 話の筋道は通っているか。

  • 導入部は面白いか。

  • 説明不足の情報はないか。

  • 出来事を通して表現しているか。

  • 辻棲が合わないところはないか。

  • 伏線と回収は大丈夫か。

  • 誤字、ケアレスミスはないか。

  • 書式、規定枚数は大丈夫か。

小説作法Q&A

Q:推敲をしているとキリがない。終わりはいつ?

A:推敲には終わりはない。井伏鱒二の『山椒魚』は発表から半世紀も経った昭和60年に改稿された。いつまで経っても直したい箇所はあるもので、1 0回も20回も読み直し、いくらなんでももう修正はないだろうと思っても、やはり1つか2つ直したいところがある。きりがないが、公募には締切というゴールがあるので、いったんこれを推敲の終点としよう。

特集「長編小説一年計画」
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※本記事は「公募ガイド2017年11月号」の記事を再掲載したものです。

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