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【傾向を知り対策を立てれば入選場見えてくる】標語・短詩文学コンテストで意識すべきこと(2018年11月号特集)


ネーミング・キャッチフレーズ編

ネーミング

通りがいい名前が選ばれやすい傾向

 公募ネーミングで多いのは自治体系の名称。公的団体ゆえ、親しみやすい名称が選ばれやすい。とんがった名称はまず選ばれず、商標権侵害になる名称は弾かれる。
 動物やキャラクター名は単純な「○○くん」などが多いが、その時代のはやりが反映されることも。

キャッチフレーズ

斬新すぎる作品は選びきれない

 自治体系ではとくに、なじみやすく、万人ウケする作品が選ばれやすい。審査員も役場の職員だったりするので、斬新すぎる作品は選びきれないことが多い。
 ネーミングほどではないが、キャッチフレーズにも同案多数があり、入選には運の要素もある。

標語

例年似たものが選ばれる傾向

 大半が五七調で、公募の趣旨は毎年変わらないので、例年似たような作品が選ばれがち。しかし、似た中にも違いがあり、そこをどう表現するかで当落が決まる。
 作品募集であることは間違いないが、第一義は目標や運動の趣旨を普及させることにある。

強いネーミング・キャッチフレーズの作り方

  • 数字を入れる:数字を入れると説得力が増す。「しじみ70個分のちから」「100年プリント」「伝え方が9割」。

  • 造語する:別軸の言葉と言葉を組み合わせる。「草食男子」「妖怪ウォッチ」「クールビス」「こども店長」。

  • ダブルミーニング:造語した言葉に二重の意味がある。「グッスリープ」は、good+sleepの中に「ぐっすり」がある。

  • ギャップを作る:反対の言葉を入れて落差をつける。「これは私の勝利ではない、あなたの勝利だ」「考えるな、感じろ」。

  • 赤裸々に書く:体の反応など、赤裸々な感覚を言葉にする。「くちびるが震えてる。あなたが好き」。

  • 注目させる:重要な話が始まると思わせる。「ここだけの話」「実は」などで始め、集中力をこちらに向かわせる。

(参考資料:『伝え方が 9割』(佐々木圭一著・ダイヤモンド社))

川柳・俳句・短歌

川柳:笑いの解釈で、3つに分けられる

川柳公募は、

  1. 詩としての川柳を求めるもの/

  2. 標語的な作風を求めるもの

  3. ダジャレ的な川柳

の3つがある。
 ①は川柳家が審査員になっている。②は自治体主催が多い。③は川柳=笑える句という理解で企画されたものが多い。

俳句:審査員を立てた硬い公募が多い

 企業PR系、協会作句奨励系、俳人顕彰系、新人発掘系がある。
 内部選考で済ますことは少なく、審査員を立てた硬い公募が多い。
 俳句大会かどうかという線引きで分けると、俳句大会は句集を作り、出品料がかかるものが多いが、その分、応募数は少ない傾向。

短歌:企業系ではお手軽な三十一文字公募も

 分類については俳句と同じ。企業PR系は「短歌=恋愛。女性に人気」ということから、女性を意識した公募もちらほら。
 俳句より審査員の影響が強く、審査員が変わると作風がまったく違う応募作が増えたり。審査員の熱狂的ファンも俳句より多い。

審査と入選のポイント:パッと見た瞬間、はっとさせる。

 平凡、まね、冗漫、陳腐な作品は落ちる。変に流行語を入れた品のない作品もアウト。分かち書きはしないほうがよい。俳句、短歌は専門家が審査することが多い。内部審査の場合は無難な作品が選ばれやすく、高度な内容にしても選ぶ側が気づかない。

短詩型文学に共通する作法:

川柳・俳句・短歌に共通する作法をあげる。文章にも通じる!

省略と余情

 1を書いて2や3、あるいは10を思わせる。省略しながら示す。全部言いきらず、余情を残す。

詰め込み過ぎない

 短い中にいろいろな思いを凝縮して込めたいが、詰め込みすぎると伝わらない。〝主語〞を明確に。

写生

 写生文は正岡子規が提唱したものだが、川柳や短歌でも基本。目を働かせて、ありのままに写す。

冗漫とむだ

 1語で言えることを2語、3語で書いたり、定型にするためだけに不要な言葉を足したりしない。

事物に託す

 感情などを直接的に書かない。情景や言動を書くことで、そこに込められた心情をあぶり出す。

リフレインと対句

 「山又山山桜又山桜」(青畝)がリフレイン。「菜の花や月は東に日は西に」(蕪村)が対句。リズムがいい。

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※本記事は「公募ガイド2018年11月号」の記事を再掲載したものです。