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初めての就活~55歳からの挑戦~(27)戦い疲れて気がついて

写真は映画『空白』をご覧になった方の作品です。どんな映画かなと思って検索したら、この写真との対比が不思議な感じがしました。こんなに美しい印象が残ったと知って映画を見たくなりました。


準備万端やる気満ち

履歴書も職務経歴書も送付状も、

見事に出来上がりました。

あとはハローワークへ行って、

紹介状をもらってくるだけです。

明日、行こうかなと思いながら、

いつもの診察に出かけました。

「また就活を始めたんです」、

驚く先生に求人票を渡しました。

すると今度は、

こちらが驚く番でした。

確かに言われた記憶があって

これって、1日6時間っていう意味?

先生が条件の労働時間の部分を見て、

「1日6時間以上」という、

さらりと書かれた文字を復唱しました。

あ…、

そうだった。

主治医の意見書では、

一日の勤務時間は4時間から5時間です。

どうでしょうと言う前に、

これはちょっとね、と言われました。

通勤に往復2時間強、

仕事が6時間強、

合わせて8時間半くらい、

家を空けることになります。

この頃のわたしは、

家に母がひとりでいることが、

あまり良くないのではないか、

などと思い詰めていました。

自分の本心を問うと

誰かが言ったから、とか、

状況がそうだったから、とか、

思いは完全に抜きにして、

本当にわたしは働きたいのか。

これを何日間かずっと、

考えました。

結果、

すべてを仕事に捧げる生活は、

今のわたしには無理だと、

ようやくわかりました。

2年の時間が教えてくれて

簡単なアルバイトなら、

出来るんじゃないかな。

なんとなくあいまいですが、

勝手に思っていました。

でも現実は、

朝の10分間で掃除を終わらせる、

これすら精一杯です。

主治医がよく、

「こうりんさんは、

就職はすぐ出来ると思うんですよ。

でも、

続くかどうかなんですよねぇ」

と、身も蓋もないことを言って、

あっさり話を終わらせるのです。

長いつきあいです。

先生の方が、

本当のわたしをわかっていました。

心機一転、とも言えず

これで4月1日から正式に、

B型に復帰することになりました。

いま、B型にいる人で、

以前から知っている人はいません。

新しい場所のような、

いつもの場所のような、

妙な毎日がわたしを待っています。

2年という時間が、

楽観的だったわたしに、

現実を教えてくれました。

たくさんの出会いと、

切ないお別れと、

思い出を山ほど抱えて、

B型に移ることになりそうです。

思い出しました。

年長の友達がよく言いました。

「思い出は、重いでー」

つまらないダジャレのような、

しかし的を射たものです。

いくつか捨てながら、

前に進んでいきます。

今度こそ、

応援、ありがとうございました。

また違うテーマで、

お目にかかりたいです。


「完」



【シリーズ:初めての就活】でした。






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