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書くことに躊躇する

定期的に立ち寄る雑貨屋さんで、
その日はなんだか新しいノートが欲しくなってお店の中をぐるぐる歩きながらこのノートにしようか、あれもいいしこれもいいしと迷う。
なにを書こうか考える。あのノートとこのノートで使い方を決めた方が良さそうだし、途中で書くことをやめることも減りそうだ。
書くことを決める。新しいノートを買う。

家には使っていないノートがいくつもあるのだけれど、
それはこうして不意にノートを買ってしまうからで、そのノートのどれもを気に入っている。使っているノートももちろんあって、家にはノートがどんどん増えていく。

まっさらなノートを開いてペンを持つ。
なにから書くかをいつもいつも決められない。
まっさらなノートに一筆目を入れるのはとても勇気がいることだ。
まだこのノートにはなにも書かれていない。
もっと簡単に考えればいいのだけれど、使い始めたら綺麗に使おう、綺麗に書こうなんていう気持ちもどんどんなくなって日常に溶け込んでいくのだけれど、いつもいつもこの最初の一文字目を書くことに躊躇して、買ってから何日もまっさらなまま机の上に置いていたりする。

そしてある日なんの気無しに使い始める。
あれだけ躊躇した一文字目をさらっと書き始める。
そんな自分に書きながら気づいて、少しの驚きと、あんなに躊躇したのにというがっかりと、一文字目を書き始めることができたことへの自信のような感情がふわっと湧きあがる。

ただそれだけの気持ち。

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