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目先の利益にとらわれず、自分にとって本当に大事なことに取り組もう(『韓非子』十過篇)

今回取り上げるのは『韓非子』十過篇からの言葉。

小利を顧みるは、則ち大利の残なり
(読み:ショウリをカエリみるは、スナワちダイリのザンなり)

『韓非子』十過篇

小さな利益にこだわるのは、大きな利益を得るための障害になる、という意味。

つまり、目の前の利益にこだわることで、かえって大きな利益を逃してしまうということですね。


先日、『エッセンシャル思考』という本を読みました。

有名な本で私も名前くらいは知っていたのですが、読んだのは今回が初めてです。

内容としてはシンプルで、

  • 自分にとって本当に重要なことに集中しなさい

ということを述べています。

特に印象に残ったフレーズは「より少なく、しかしより良く」という言葉。

自分が行う物事はできる限り少なくすべきだけれど、その代わり、自分がやると決めたことはとことん追究しなさい、といった感じの意味です。

人生には誘惑がいっぱいで、目の前の機会を逃すともう二度と手に入らないような錯覚に襲われます。

これは人に備わっている「損をしたくない」という性質によるものです。

ですが、その「損をしたくない」という思いが、かえって自分の貴重なお金と時間を奪うことになります。

「今買っておかなきゃ損をするかも」
「この機会を逃したらもうこんな良い話はこないかもしれない」

そんな風に思って行動した結果、

「勢いで買ったけど、実はそんなに欲しくはなかったな・・・」
「もっとよく考えて動いていれば、こんなことにはならなかったのに・・・」

と後悔することになってしまうのです。

そういった後悔をしないために重要なのが「エッセンシャル思考」、つまり必要不可欠な本質的な思考です。

自分にとって本当に大事なことは何か。
それは自分の人生の貴重な時間を使うに値するのか。

そういったことを考えて、自分にとって重要ではないことは思い切って捨てていく。

そして、一見魅力的に見える色々な物事を評価・分別し、最後に残ったものが自分にとって本当に大事なことになるのです。

そうすれば、あとは全力で取り組むだけ。

評価・分別する過程でさまざまな機会を切り捨てることにはなりますが、その痛みを経て最後に残ったものは、きっとあなたが心の底からやりたいことになるはずです。

「より少なく、しかしより良く」

目先のメリットに惑わされず、本当に大事なものに全力を注ぐ。

それこそが、自分の人生をコントロールし、より良いものにするための秘訣なのだと学びました。

小利を顧みるは、則ち大利の残なり
(読み:ショウリをカエリみるは、スナワちダイリのザンなり)

『韓非子』十過篇

目の前の小さな利益に飛びつくと、自分が本当に手に入れたい大きな利益を逃すことになります。

人生の時間は有限ですが、私たちの意志力を奪う魅力的なものは無限にあります。

それらの誘惑に負けずに自分にとって必要不可欠な物事を成し遂げようとするならば、小さな利益は意識的に切り捨てていかなければなりません。

自分にとって本当に大事なことは何か考えてみましょう。

私も『エッセンシャル思考』をきっかけに、今一度自分のやりたいことを見つめ直そうと思います。


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