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会計ネタ

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今と昔の「内部留保」の意味するところを調べてみた

しばしば「企業の内部留保が過去最高。設備投資や賃金へ還元を。」「内部留保に課税を」「内部留保は純資産である繰越利益剰余金であって現預金とは限らない」のようなやりとりが行われる。

「内部留保」とは何かの認識が人により違う(そしてしばしば発端になるニュースはあえてその点を曖昧にする)ことに起因しているやりとりであるが、現在の「内部留保」が何を示しているか、どう解釈すべきかは多くの情報があるが、「内部

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法務と経理の対立しがちな関係と歩み寄り方

法務と経理の対立しがちな関係と歩み寄り方

※ヘッダー画像はStable Diffusion Onlineで生成しました。

本記事は会計系Advent Calender 2023の記事です。
blanknoteさん立ち上げありがとうございます!

自己紹介(なぜ法務が会計ネタ?)コウモリIT法務と名乗っているとおり、普段は法務職をしています。
ああ!石を投げないで!

ときどき法律と会計にまたがるnoteを書いています。

私自身は経理担

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収益認識会計基準の「法的所有権」に噛みつくだけの記事

「法的所有権」という語収益認識会計基準で、筆者が最も嫌いなフレーズの1つがある。

この「所有権」という言葉であるが、明らかに民法的な意味での所有権ではない。
また「法的」とつけているが、「法的でない所有権」というのも存在しない。
つまり、この語は、契約(≠契約書)を基礎とする収益認識において、正確でない法律用語を用いてしまっている。

この原因はIFRSをそのまま和訳したことにある。
IFRSと

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アジャイル型ソフトウェア開発契約と収益認識についての考察

一時点で認識すべき収益か、一定の期間にわたって認識すべき収益か。
個人的収益認識会計基準で特に迷いやすいものランキング第1位のこのテーマ、いろいろ考えたものをメモしておく。

従前は受注制作ソフトウェアの契約や会計処理に悩むことは少なかった受注制作のソフトウェア開発は成果物であるソフトウェアの開発と引渡しを目的とする請負契約が主流であった。
このパターンにおいては、
①ソフトウェアの開発と引渡し

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法務から見たしっくりこない契約資産と契約負債(簿記会計の話)

2021年4月から適用開始になった収益認識会計基準は、収益の認識になにかと契約を持ち出すので、人によっては経理の人から相談や要請を受けた法務担当者もいるのではないだろうか。
(といっても、経理は契約がわからず、法務は会計がわからない事が多いので、どうやって歩み寄れというのか、という感があるが)

そのなかで、「契約資産」「契約負債」というものが新たに登場したため、じゃっかんメモしておく。

引渡し

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