【わたしの夢中】発酵紀行 #00
自己紹介の、趣味を語る時間が嫌いだ
熱中していること。語れるなにか。
そんなものを欲していた、大学生活。
わたしには、趣味というものがない。
だから、自己紹介の時にいつも困る。
例えば、大学の授業でグループディスカッションがあるときの最初の挨拶とか、就活のときの自己紹介とか。
カフェ巡り、食べること、お菓子作り、、、
どれも好きだけれど、趣味というほど日常生活で触れているわけでもない…。
ぱっと印象づけられるようなエピソードもない…。
こんな風に考えていると、趣味が先なのか、自己紹介のための趣味なのか、なんだかよくわからなくなってくる。
私はもっと、“没頭してしまうような何か”を見つけたい。それをしていると、夜寝ることも忘れてしまうくらい。
それで思い出すのは、小学生の頃に通っていた、絵画教室での時間だ。
目の前のパイナップルを描いている時、私は時間を忘れた。
じっと観察して、配色を考えたり、色を何色も重ねてみたり。
その時の作品は、よく親に褒められた。
小学5年生になる頃に、絵画教室は辞めてしまった。理由は、中学受験の勉強に時間を割くためだった。中学に入ってからも、勉強と部活中心の生活になり、絵を描く機会はほぼなくなった。
今思うと、あの、雑念なく、ひたすらに手を動かしている感覚が好きだったのかもしれない。
だいぶ前置きが長くなってしまったが、これは私が就活をしながら、大学3年生の夏に、いろいろあって、就活をほっぽり、東京から鳥取県の森に囲まれた集落で、発酵にハマるまでの話。
「発酵」と引き合わせてくれた人
約1年前、大学3年生の春休み。
わたしは就活をはじめた。
コロナ禍で、どの企業も説明会やインターンはオンライン。
自宅でパソコンに向き合い、さまざまな企業を知っていった。
もともと就活は、向いていないと思っていたけど、やればやるほど・・・・思いました。
「やっぱ自分には合わないわ(笑)」。
世の中には、もっといろんな働きかた、就活の形があるはず。
私は、たくさんの働きかたの選択肢を持っておきたいと思った。
うずうず、もやもやしている気持ちを、尊敬するサークルの先輩に相談してみた。
その人は、大学4年生にして就活をせずに、授業で活発に議論をしていたり、図書館にこもって本を読み漁ったり、イラストを描いたり、写真をいろんな場所で撮っていたり、シェアスペースのおもしろい使い方を仲間と企画していたり、、、。そんなことをしているひと。
(現在、彼は岩手でビールづくりをしてるらしい。noteも書いているので、興味のある方はぜひ。私が特に好きなnoteを貼っておきます。)
彼の世界観やものの見方は、わたしにとって新鮮で、ちいさな発見があるから好きだ(彼についてはまだまだ語れるけれど、この辺で)。
そんな先輩に相談したとき、出てきたのが、自家製の天然酵母でパンとビールをつくっているパン屋さん「タルマーリー」だった。
タルマーリーは、岡山との県境、鳥取県智頭町(ちずちょう)、那岐郡( なぎぐん)にあるパン屋さん。
調べてみると、『田舎のパン屋が見つけた「腐る経済」』という本を出している。
特に、「腐る経済」ということばに、なんとなく、興味が惹かれた。
なんだこのタイトル、おもしろそう!
その日のうちにAmazonで本を注文した。
本が届いた翌日、自室にこもって半日かけて本を読み通した。
本の内容は、オーナーである渡邊 格(わたなべ いたる)さんが、パンをつくるようになるまでの過程、野生の菌を使ってパンとビールをつくる試行錯誤の日々のなかでの気づき。
特に印象に残った一文がある。
読み終わって思ったこと。
「オーナーご夫婦の考えてることが、パン屋の領域を超えてるぞ」。
スケールが大きくてなんだかよくわからない。だから、もっと知りたい。
智頭町での暮らしを体験してみたい。
そんな気持ちにさせられた。
サイトを調べてみると、、、インターン募集をしているではないか!
これは行くしかない!!!!
と、そのままの勢いで志望動機を郵送したのが、ちょうど1年前の7月末。
1週間ほど経って、一本の電話が。
「志望理由書の郵送、ありがとうございます。9月から10月の1ヵ月間、来ることはできますか?」
こうして、夏休みの1カ月間、私はタルマーリーでインターンをすることになった。
(発酵紀行 #01 へ続く)
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