小鳥美茂

小鳥美茂(ことりみも) 1977年東京都生まれ。Kotoribeach(コトリビーチ)…

小鳥美茂

小鳥美茂(ことりみも) 1977年東京都生まれ。Kotoribeach(コトリビーチ)代表。タイパンツ作家。鎌倉・由比ヶ浜のレンタルスペース『BORN FREE WORKS』の運営や、アウトドアブランドのリペアも。湘南在住。

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はじめまして、小鳥美茂です。

2004年に結婚して東京から湘南に移り住み、暇つぶしに夫婦でものづくりをするようになった私たち。暇だったのは、住んだ家にテレビのアンテナが無かったから。以上。海が好き、という理由だけで引っ越したので、新しい土地に友達もいなかった。 夫は切り絵を、わたしはミシンを踏んで布小物をつくり、鎌倉・七里ガ浜のフリーマーケットで遊び半分で売り始めたのが、2005年。名前は旧姓の『小鳥』からとり、『kotoribeach (コトリビーチ)』という屋号にした。 (※写真は2005年頃、七里

    • past

      いつか今のことを振り返ったとき、わたしはどんな風にこの経験を思い出すだろう。この2ヵ月のこと、それより前にじわじわとはじまっていた前触れのこと。どこから思い出したらいいのか、思い出す必要すらないのか。もはやもう、ほとんどのことを詳しくさかのぼるほど覚えていない。そのくらい、普遍的で変わらないものの横で、何かが確実にぐるりと入れ替わった。 6月1日。 今日、久しぶりに娘の小学校が再開。 この自粛期間中は、文字通りずーっと、娘と一緒に家にいた。壁をぶち抜いたワンルームでふたり、

      • いちばん大切なこと

        海の目の前に住んで、この春で9年になる。 2011年3月14日、鵠沼から逗子に引越してきた。震災の3日後だったし、少し延期出来ないかと業者さんに相談するも、春の引っ越しシーズンでこの後も予定がパンパんだと言う。結果、計画停電の真っ只中、信号もついていない状況で134号線を走った、引越し業者さんのあとをついて、ゆっくりと。 震災の直後、湘南から西に避難した人、引越しをした人は少なからずいた。このタイミングで引っ越しをしたので、「みもちゃんもどこかに引っ越しをしたらしい」とか、

        • 本をつくる

          ものづくりをはじめた2005年くらいから、ずっと日記のような文章を書いてきた。ホームページ、ブログ、最近ではInstagram、時代は変われどやっていることはだいたい同じで、いちど本にしてみようかなと思いついた。 冊子のようなものをつくることが好きなのは昔からで、一番最初は中学生の頃。卒業時に、アルバムだけではつまらないからと、当時仲の良かった友人達に冊子をつくらないかと提案した。中学時代を振り返って、詩や文章を書こうよ、と。 そんなことを急に言われて困っていた友人達に、例

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        はじめまして、小鳥美茂です。

          ちいさなお話し会のこと

          毎月1回、ゲストをお呼びしてちいさなお話し会を開催すると決めた。初回は三輪舎の代表、中岡祐介さんしかいないと決めていた。去年、ここで校正者の牟田都子さんと共に、お話し会を開いてくれた。素晴らしい時間だった。そのきっかけをくれた人だからだ。 中岡さんのお話し会は、とても中岡さんらしく、いたるところに優しさが散りばめられていた。そのおかげで、わたしもわたしらしくいられた。笑いと真面目が入り混じる、あたたかな時間。参加してくれた友人達からも、「楽しかったー」と感想のメールがいくつ

          ちいさなお話し会のこと

          贅沢ってなあに?

          昨日、打ち合わせで三輪舎の事務所へ。三輪舎は中岡さんが代表をつとめるひとり出版社。場所は妙蓮寺、はじめて降り立つ駅だ。 駅周辺にちいさくまとまった商店街があり、少し歩くと大型のスーパーもあり、池のある公園や、屋外の市営プールもある。お出汁のかおりにそそられる、ちいさなおでんの練り物屋さん、和菓子屋さん、そのそばに昔ながらの本屋もあり、その2階に、三輪舎の事務所はあった。 中岡さんとは、今年の2月にボーンフリーワークスでおこなった「本を贈る展」で出会った。あれから10カ月の間

          贅沢ってなあに?

          工夫することはできる

          「ソファがほしい」、「ビーズクッションでもいい」としつこく懇願していた娘。ソファはいらないと一点張りの夫に対して、体が沈み込むようなビーズクッションを見てみたいのぉ〜と言い続けるので、「ちゃんと見てからね」と言う夫と、3人でお買い物へ。 実物のビーズクッションは本人が期待していたほどの沈み込みではなかったらしく、「じゃあこっちにしようかな」とそばにあったクッションを撫でたりしていた。食パンやマカロン、バナナなど、どうして? と思うようなおかしな柄のプリントのクッションカバーを

          工夫することはできる

          きらいなときは、きらいなままでいい

          通っていた小学校は、転校生が多かった。 近所の公務員住宅が取り壊されたとき、たくさんのお友達が郊外に転校していき、その跡地に、当時タワーマンションのはしりだったのか、数棟の高層マンションがそびえ立ち、タワーマンションの完成と共に一気に転校生が増えた。又、三原山の噴火があっときは、避難してきた人達が一時的にたくさんやってきたこともあった。 親の転勤にともなって、海岸から転校してきた帰国子女の子も何人かいて、彼女はそのひとりだった。当時担任だった女性の先生は、いつもなんだかつま

          きらいなときは、きらいなままでいい

          「本を贈る展」が、わたしに贈ってくれたもの

          ギャラリーの運営をしていて幸せだなと思うことは、「これをやりたい!」と思ったときに、いつでも場所があることだ。 今年の2月に、「本を贈る展-それぞれの仕事にまつわることやもの」という企画展を、ボーンフリーワークスでおこなった。本作りに携わる10人の著者の仕事を伝える一冊の本、『本を贈る』(三輪舎)を読み、とても興味がわいたからだった。版元の三輪舎代表の中岡祐介さん、著者のひとりで友人でもあった校正者の牟田都子さんにお声がけをして、実現の運びとなった。閃いたのは、去年の今頃のこ

          「本を贈る展」が、わたしに贈ってくれたもの

          仕事ってなんだろう

          パタゴニアのリペアで働かせてもらうようになり、3年が過ぎた。当初は3ヶ月の短期で、データ入力のはずだった。きっかけは、パソコンが使えて、多少の縫製の知識もあり、近所に住んでいたわたしに、「面接を受けてみたら?」と声をかけてくれた人がいたのだ。 その頃のわたしは、引き継ぐことになったギャラリーの運営がいよいよはじまり、しかし素人ゆえにノープラン、「企画展ってなんですか?」みたいな人が、果たして場所をまわしていけるのか、金銭面のことももちろん、取り巻く状況は不安な要素しか見当た

          仕事ってなんだろう

          カットイン隊長

          昨日の夕方、バスを降りると町を包み込む夕焼けがあんまりにもきれいだったので、思わず「これ、なんて言うの! これをなんて言ったらいいんだろう!」と高揚したわたしに、いつもと変わらず普通のトーンで「夕焼けでしょ?」と夫が言うので、「そうじゃなくて、この美しさをなんて表現したらいいんだろうって意味に決まってるじゃん!」と言って呆れて笑う。 家に近づくに連れて、夫は少し早足になった。部屋に入るや否や、冷蔵庫からビールを取り出し、ベランダに干したままの洗濯物を手際よく取り込み、プシュ

          カットイン隊長

          好きなことってなんだろう?

          わたしは今、3つの仕事を掛け持ちしている。 ひとつはタイパンツ作家として、2つ目はアウトドアブランド・パタゴニアのリペアマンとして、3つ目は鎌倉・由比ヶ浜にあるレンタルスペース、BORN FREE WORKSの運営。わらじ、脱いだり履いたり。 「好きなことだけやっていていいなぁ」とよく言われるのだけど、そのたびに考える。この3つの仕事、きっかけは全て人から「やってみたら?」、「やらない?」、「やったほうがいい」と言われて、「そうかな、じゃあやってみる」とはじめたことなのだ。

          好きなことってなんだろう?