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本をつくる

ものづくりをはじめた2005年くらいから、ずっと日記のような文章を書いてきた。ホームページ、ブログ、最近ではInstagram、時代は変われどやっていることはだいたい同じで、いちど本にしてみようかなと思いついた。

冊子のようなものをつくることが好きなのは昔からで、一番最初は中学生の頃。卒業時に、アルバムだけではつまらないからと、当時仲の良かった友人達に冊子をつくらないかと提案した。中学時代を振り返って、詩や文章を書こうよ、と。
そんなことを急に言われて困っていた友人達に、例えば今の気持ちにフィットしている歌の歌詞でもいいし、お手紙を書くような気持ちでもいいからと言うと、みんな「それなら」という感じで筆をすすめてくれた。集まった原稿をセブンイレブンでコピーし、穴あけパンチで穴をあけて、紐を通してリボンを結ぶ。タイトルは「plainly」ありのままに、とした。卒業式の前日に渡すと、翌日「泣きすぎて目が腫れた」と言われて、胸が高鳴ったことを鮮明に覚えている。

結婚して東京から湘南に移り住み、暇つぶしに、夫とものづくりをはじめた。鎌倉・七里ヶ浜のフリーマーケットで月に1度、切り絵や布小物を売りはじめ、2年間はやると決めて続けたのだ。その当時のことも日記に書いていたので「フリーマーケットが教えてくれたこと」という展示をし、冊子にも同じタイトルをつけ、販売した。フリーマーケットで繰り広げられたあれこれを綴ったもの。

その後、夫の切り絵を散りばめてつくった「はなうた」というわたしの詩集や、美術作家の永井宏さんのワークショップでは、仲間と文芸誌をつくって売ったり、振り返ると、わたしは言葉を紙に残すことが好きみたいだ。

仲間とつくった文芸誌をのぞけば、全部自分で印刷、製本、販売をした。だいたいどれも60部くらい。若かったし、あまりお金もかけらなかったから。
今回、Instagramに書いてきた日記のような散文を本にするにあたり、あの頃よりは少し大人になったし、周りにはデザイナーも校正者も、プロとして活躍している友人がいる。それぞれに見積もりを出してもらい、お仕事として依頼することにした。わたしは原稿選びに注力し、それ以外の時間は、それ以外の仕事をすると決めた。

製作費はかさむけれど、本を自分ひとりでつくることはもう何度かしてきたし、お金と時間をかけてつくる、ということをしてみたいと思ったのだ。責任? 挑戦? なんだろう。実験なのかもしれない。かかる費用に対して部数を考え、上代を考え、売り方を考える。こういうリスクが、いつかのなにかの力になると信じている。

4月、ボーンフリーワークスで本を販売します。「本をつくろうよ!」と誘った仲間の本とわたしの本、それぞれ2冊、同時に販売します。お話し会のゲストはその仲間である、小栗誠史さん。きっと楽しい時間になる。今からもう、とても楽しみ。

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