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客席からの眺め

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お箏の演奏会は楽しい! お箏の演奏会に行くといろんな曲、いろんな情景に出会うことが出来ます。 どんな物を聴いて、何を感じたのか。素人が聴きに行った演奏会の感想を、綴ります。
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#箏の波

「東京雅びの会 箏演奏会 Vol.11」

「東京雅びの会 箏演奏会 Vol.11」

1994年に新しい邦楽システムを作ろう、と旗揚げされた「雅びの会」。
その東京支部の演奏会です。

入り口でチケットを提示すると、モギリの方が「どうぞ楽しんでいってください」と声をかけてくださいました。
そのお言葉通り、たっぷり楽しませていただきました。

全14曲。
自身も箏を演奏する作曲家達の、弾いて楽しい、聴いて楽しい曲が次から次へと現れます。
演奏者は、プロアマ問わず、箏の流派も問わず

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「和と洋の響演 上下天光 其の参」

「和と洋の響演 上下天光 其の参」

バリトン・ピアノ・篠笛・箏という不思議な4人組。
音楽の玉手箱を開けたかのように、きらめく曲が次から次へと現れて、目を離す、もとい、耳を離す隙もありません。
実は超絶技巧満載らしいのですが、それを全く感じさせず、さらりと演奏されている4人をみていて、以前パーカッショニストの會田瑞樹さんがおっしゃっていた言葉を思い出しました。
「音楽の下僕たれ」
まさに、音楽の下僕たる4人組です。

前半は、二人

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「明日佳ソロ琴ライブ「明日、佳人になれ #2」」

「明日佳ソロ琴ライブ「明日、佳人になれ #2」」

明日佳さんの、待望のソロ琴ライブ。
とても良かった!面白かった!楽しかった!
美しい和室で、PAもエフェクターも無し。
目の前で演奏される箏音をダイレクトに浴びるという、とても贅沢な時間でした。
明日佳さんのまっすぐな演奏は、とても清々しくて、心が洗われるようでした。

ポイントは3つ
1.箏の生音
2.アナログ
3.お客様

プログラムは、
前半は明日佳さんオリジナル曲で「世界を駆ける、お琴

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「第9回 山本亜美 箏 二十五絃箏リサイタル ~手繰る、みちしるべ~」

「第9回 山本亜美 箏 二十五絃箏リサイタル ~手繰る、みちしるべ~」

昨年行きそびれてしまった山本亜美さんのリサイタル。
ようやく行くことが出来ました。
今年のテーマは「手繰る、みちしるべ」
様々なご縁が繋がり実現したという、貴重なプログラムを披露してくださいました。

まずは何と言っても、「太助箏」
江戸時代の名工、菊岡太助が作った箏が、100年以上の時を超えて、舞台に登場しました。
美術館のコレクションになってもおかしくない、骨董品のような楽器です。
それが、

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「下野戸亜弓 箏曲リサイタル ー山田検校作品連続演奏会Ⅲ-」

「下野戸亜弓 箏曲リサイタル ー山田検校作品連続演奏会Ⅲ-」

山田流箏曲演奏家である下野戸亜弓さん。
2019年から、古典の会と現代曲の会をそれぞれ開催されています。
本日の公演は、古典の会の3回目にあたります。
山田流は、声の表現も重視した流派で、歌も聴きどころです。
下野戸さんは、箏曲演奏家であり、かつ日本の歌唱法の専門家でもあります。
そのお歌を聴くのも楽しみに、足を運びました。
それぞれ趣向が凝らされた3曲が演奏されました。

「小督曲」
平家物

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「紀尾井町サロンホール木曜コンサート『和醸』」

「紀尾井町サロンホール木曜コンサート『和醸』」

文字通り、待ちに待った公演でした。
過去2回延期され、3度目に設定されたこの日も、開催が危ぶまれ、祈るような気持ちで当日を迎えました。
万全の対策をとって開催してくだった主催者さまと関係者のみなさまには、本当に、心より御礼申し上げます。

タイトルは「和醸 邦楽と洋楽が醸し出す和の世界へ」。
場所はアーク紀尾井町サロンホール。
こだわりの音響設計がされた、暖かみのあるサロンです。
通常は縦長に使

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「第六十二回定期演奏会 森の会」

「第六十二回定期演奏会 森の会」

「森の会」は、東京藝術大学音楽部邦楽科の箏曲生田流専攻と現代箏曲(生田流)専攻卒業生による演奏会です。
ようやく、拝聴する機会に恵まれました。
いずれの曲も素晴らしく、幕が下りてしまうのが、とてもとても名残惜しい演奏ばかりでした。

「昭和松竹梅」
大変おめでたい歌詞にふさわしい、華やかで壮大な曲です。
1曲目恒例の、新卒業生による演奏。
苦楽をともに過ごしてきた同志の連帯感、一体感がひしひしと

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一絃琴「楽仙から現代へ」清虚洞一絃琴流祖徳弘太橆没後100年記念

一絃琴「楽仙から現代へ」清虚洞一絃琴流祖徳弘太橆没後100年記念

一絃琴。
文字通り、桐の板に、絹糸の絃が1本張ってあるだけの琴です。
どうやって、どんな音楽を奏でるのだろう。
興味津々で行って参りました。

とてもとても面白かったです。
運良く前の方のお席で、演奏されている様子がとてもよく見えました。

左手の位置と押し具合で、すべての音程をコントロールします。
右手の絃の弾き方で、すべての音色を表現します。

多絃の弦楽器であれば、隣の弦を弾けばすむだ

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「二十五絃箏製作30周年記念フェスティバルコンサート」

「二十五絃箏製作30周年記念フェスティバルコンサート」

野坂操寿先生が二十五絃箏を製作されて30周年とのことで開催されたコンサートです。
二十五絃箏ばかり16組。
13時から19時(途中休憩あり)という長丁場。
聴くにも覚悟がいるなあと身構えて行きましたが、あっという間でした。

なにしろ、出演者の皆さまが、一度は聴いてみたかった演奏家の方ばかり!
コロナだったり、遠方でご活躍の方だったり、タイミングがどうしても合わなかったりして、泣く泣く諦めていた方

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「第42回 箏曲新潮会 勉強会」

「第42回 箏曲新潮会 勉強会」

箏曲新潮会は、東京藝術大学邦楽科山田流箏曲専攻の卒業生の会です。
この公演は、コロナのおかげで2年ぶりの開催だったようです。
無事に開催してくださって、本当に良かったです。

山田検校他、江戸時代の曲を前後に4曲。
間に明治の「向島八景」と昭和の「三つの断章」が並んでいます。

古典のお箏らしい音色も堪能しつつ、長唄チックな向島八景と、ドラマチックな三つの断章。
あっという間のひとときでした。

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「三曲の会」

「三曲の会」

国立劇場開場55周年記念 邦楽鑑賞会 三曲の会
「平家物語をたどる」と「源氏物語をたどる」の2公演
欲張りまして、両方行って参りました。

とても楽しかったです。
「邦楽鑑賞 三曲の会」は「斯界の流派や芸系を越えて、第一線で活躍する出演陣が一堂に会する公演」とのことで、国宝級の名手の方々がご出演されます。

今回のテーマは、平家物語と源氏物語。
いずれも、能・歌舞伎・文楽など、多くの芸能に取り入れ

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「あきつしまの夕べ」

「あきつしまの夕べ」

「あきつしまの夕べ」行って参りました。

素敵でした!
庭園の池の畔に建つ数寄屋造りのお座敷です。
紅葉した木々が水面に映る様子を眺めながらの演奏。
のはずですが、
お邪魔したのは夜の部でしたので、真っ暗でした(笑)。
しかし、逆に漆黒の闇から時々聞こえる鴨の声や虫の音(たまに電車の音も)が、一段と風情を感じさせます。

まずは箏一面で、「島の朝」そして、箏と胡弓で「夕顔」
箏の柔らかい音色。胡弓

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「池上亜佐佳 河原抄子 十七絃ジョイントリサイタル」

「池上亜佐佳 河原抄子 十七絃ジョイントリサイタル」

「池上亜佐佳 河原抄子 十七絃ジョイントリサイタル」行って参りました。

楽しかった!
十七絃箏の柔らかい低音が大好きなのですが、十七絃箏は、十三絃箏と登場すると、どうしても伴奏楽器になりがちです。
しかし、リサイタルであれば、思う存分、その音色を堪能できます。
前回2020年もお邪魔いたしましたが、久しぶりのリサイタル、しかも今回は河原抄子さんとのデュオとのことで、これは必聴!と出かけました。

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「内藤美和 二十五絃箏リサイタル」

「内藤美和 二十五絃箏リサイタル」

「内藤美和 二十五絃箏リサイタル」行って参りました。

面白かった!
リサイタルの楽しみの一つにプログラムがあります。
1回限りのコンサートで演奏出来る曲は、とても限られます。
その中で、何をテーマにどんな曲を選ばれるのか。

もちろん、事前のフライヤーにも載せてくださっていますが、実際にそれらの曲を順番に聴いていくことで、なるほどなるほど、と頷かされます。

1曲目に演奏された「津軽」は、二十五

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