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天照大御神さまの言よさし② 神様も“失敗”して成長した ことの葉綴り。百二六

地上の豊葦原中つ国が大騒ぎ?

こんにちは。週末のお昼過ぎ、まったりしながら、「ことの葉綴り。」に向かいます。
神さまも、さまざまな“失敗”を経験されて成長されていく神話。
高天原から地上の葦原中つ国の、ご様子をご覧になっていた
天照大御神さまは、
「地上の穀物が豊かに成長する豊葦原の水穂國は、
我が御子、天忍穂耳命(あめのおしほみみのみこと)が
治めるべき国です」
と、そうおっしゃって、長男である、天忍穂耳命(あめのおしほみみの)に地上に降りるように命じられました。

母神である天照大御神さまの言よさしにより
地上の葦原中つ国を治めることを委任された天忍穂耳命さま。
任命通りに、天上界と地上界を結ぶ「天の浮橋」までやってこられした。

天の浮橋に立たれると、なぜか、ぴたっと足をお止めになったのです。

天忍穂耳命さまが、地上の葦原中つ国の様子を、じぃ~っとご覧になっています。

なんだろう? すごく騒々しいぞ。

高天原の天つ神が、葦原中つ国を治めるために、天降ることを知り、地上の国つ神たちが、「なんてことだ」「そんなことはさせまい」と、騒いでいるのです。

ちなみに、国つ神とは、一般的には、地上に追放された須佐之男命さまの、その子孫である大国主命さまの一族の神さまのように、葦原中つ国でお生まれになった神さまのことといわれます。

一方、天つ神とは、天上界の高天原に存在される神さまや、高天原から地上に降りてきて神さまのことをさします。


地上の国つ神が大騒ぎしているご様子を、
天つ神の天忍穂耳命さまが、観察しているという感じです。

母神の天照大御神さまの委任を受けたものの
今、ここで私が天降りても、
騒ぎは収まるまい。
どうしたものか……。

そこで、天忍穂耳命さまは、地上に降りることをせずに
いったん、高天原へと昇って還ったのです。

そして、母である天照大御神さまに
「地上の豊葦原の水穂國は、たいへんな騒ぎになっています」
と、今はまだ天降るのは早いのではないかと、事情を説明しました。

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八百万の神が会議で相談

その報告をうけた天照大御神さまと、
高天原の中心的役割の高御産巣日神(たかみむすひのかみ)さまは、天の安河の河原に、八百万の神々をお集めなり、
会議を開かれたのです。

天照大御神さまが、天の石屋戸にお隠れになったときも、
八百万の神々は、この天の安河の河原に集まりましたよね。
そのときも、みんなで会議をしました。
そのとき、「天照大御神さまに岩戸からおでましになるよう、お祀りをしよう」と、提案したのが、
知恵の神さま・思金神(おほいかねのかみ)さまでした。


今回も、天照大御神さまと高御産巣日神さまが
八百万の神々を招集し、思金神さまに、
どうすればいいか? を考えてもらおうとしたのです。

「地上の葦原中つ国は、我が御子の天忍穂耳命の治める国として
委任した国です。
ところが、今この国には、荒々しい暴威をふるう荒ぶる国つ神たちが多いようなのです。
さて、みなさん、どの神さまを、地上に派遣して、説得し平定すればいいでしょう?」

日本の神話では、唯一神はいません。
絶対神の命令でことがうごくこともありません。
八百万の神々、みんなも集い、みんなで会議をしている……。
なんか、ほほえましくないですか?
ちょっとユニークですよね。
しかも、“戦い”ではなく、説得し“平定”するというのもおもしろいですよね。

「どの神さまが、地上の国つ神とうまくできますかね?」
「大事な派遣ですからね、慎重にかんがえねば」


知恵の神さまの思金神さまと、八百万の神々がみんなで話し合った結果、一つの結論がでたようです。

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天菩比神(あめのほひ)が地上へ!

思金神さまは、こうおっしゃいました。

「天菩比神(あめのほひのかみ)を遣わすのがいいでしょう!」

天菩比神(あめのほひのかみ)さまは、
天照大御神さまと須佐之男命さまの「誓約(うけひ)」で
生まれた男神の第二子です。
天忍穂耳命さまの弟神にあたりますね。


この神様たちの決定を受けて、
天菩比神(あめのほひのかみ)さまが、葦原中つ国へ
向かうことになります。

高天原の神々は、天菩比神に
「天照大御神さまは、やがて地上の大八島の国へ、
そこを治めるべく、御子を降らせます。
みなさんで、お迎えしてお仕えするのですよと、
国つ神たちにいうのですよ」
と、命を授けて地上へと送り出しました。

「はい、かしこまりました! 行ってまいります」

天菩比神(あめのほひのかみ)さまは、
天つ神たちに見送られて、地上へと降りていきました。


ところが……。

な、なんと……

1年が過ぎ
2年も過ぎ
3年たっても、何もいってきません。

音信不通となってしまったのです……。

いったい、どうしたのでしょうか? なぜ?!

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―次回へ。

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