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“恐し” 吉志比女と吉彦との出会い    元伊勢五五  ことの葉綴り三八三

一粒万倍日+寅の日、明日は春分の日


こんにちは。今日もお仕事の合間に「ことの葉綴り」でもう夕暮れになりました。
今日は一粒万倍日と寅の日が重なり、金運祈願に最適日ですね。
そして、明日は、春分の日! お彼岸の中日ですね。
また今年は、「風の時代」になって初めての春分の日で、宇宙のエネルギーがもっとも強くなる開運日
さぁ何をしましょうか?(^^)

さて、神話の物語を続けます。
倭姫命(やまとひめのみこと)さまが、天照大御神さまの御杖代(みつえしろ)となり、伊勢の神宮にお祀りするまでの「元伊勢」物語。

※これまでの1~343回までの、神代~13の神話の物語のまとめはこちらです。お好きな神様の物語をご覧になってください。


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阿佐加の海の出会い

然(しか)して度(わた)り坐(ま)つときに、
阿佐加の加太(潟かた)に、多気(たけ)の連等(むらじら)が祖(おや)、宇賀乃日子(うかのひこ)が子吉志比女(こよしひめ)、次に吉彦(よしひこ)、二人参り相(あ)ひき。


倭姫命さまは、四年間、伊勢国の阿佐加の「藤方片樋宮」(ふじかたかたひのみや)で天照大御神さまをお祀りされて、荒ぶる神をお鎮めになり「宇礼志(うれし=嬉しい)」と、喜ばれましたよね。
そして、次の地へとご巡幸されるときのお話です。

こちらを、ゆっくりみていきましょう。

倭姫命(やまとひめのみこと)さまご一行が、天照大御神さまをの御こころのままに、次のところへとお遷りになるときのことです。阿佐加の海辺で、出会った二人がいました。
多気(たけ)を司る連(むらじ)等の有力な豪族の祖先となる、宇賀乃日子(うがひこ)のたちが、倭姫命(やまとひめのみこと)さまのもとに参上してきたのです。
名前を、吉志比女(よしひめ)と、吉彦(よしひこ)といいました。そして二人は、海で何か漁(あさ)っているようでした。

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皇太神(すめおほかみ)さまのために赤貝を

此れに問ひ給はく、「汝等が阿佐留(あさる=漁る)物は、奈尓曾(何そ)」と白(まお)しき。
答えて白さく、「皇太神(すめおほかみ)の御贄(おほにへ)の坏(つき)に奏上(たてまつらむ)と、伎佐を阿佐留(あさる)。」と白しき。

そこで、倭姫命さまは、「あなたたちは、この海や、浜辺で採集しているものは何すか?」と、お尋ねになりました。
すると、吉志比女(よしひめ)と、吉彦(よしひこ)は、
はい、私たちは、皇太神(すめおほかみ)さまに、献上して召し上がっていただこうと、赤貝を採っているのです!」
そう、嬉しそうにこたえるのです。

この皇太神(すめおほかみ)とは、天照大御神さまのことです。
御贄(おほにへ)とは、ご神前に奉納したり、お供えする、その土地土地の産物のことです。
(つき)は、この産物などを載せる器のことです。
で、伎佐は、赤貝のことです。

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“恐し”の吉志比女(よしひめ)と吉彦(よしひこ)

阿佐加の有力豪族の子の二人は、天照大御神さまのご神前に「新鮮な阿佐加の海の赤貝を献上したい」と、それは、それは一生懸命に、海や海辺を漁っていたのですね
愛らしいですね~。
その、吉志比女(よしひめ)と吉彦(よしひこ)二人の姿を見た倭姫命様は……。

ときに、「白(まお)す事恐ろし。」と、詔(の)りたまひて……

あら? 「恐(おそろ)し」、なんてありますね。「白(まお)す=いうこと」
これ、「言うことも恐ろしい」??

では、ありません!!
その、真逆なんです。

この吉志比女(よしひめ)と、吉彦(よしひこ)が、あまりにも純粋で懸命に皇太神(すめおほかみ)さまのために」と、赤貝を漁るひたむきさなことに深く、深く感動されたのです。

ですから、こうなるのです。

倭姫命さまは、
「天照大御神さまのために、一生懸命に赤貝を採集してくれているとは、なんと、言葉にすることも、畏れ多いほど、ありがたいことです」と、心から深い謝意を述べたのです。

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恐しは、かしこみ、畏み

恐ろしい(おそろしい)ではなく、祝詞にも「恐(かしこ)み、恐(かしこ)み白す」とでてきますが、この「恐(かしこ)し」は、畏みとも書き、畏れ多い、慎みと敬いをもっています、ということ、なのでした(^^)。

赤貝を採る吉志比女(よしひめ)と、吉彦(よしひこ)の兄妹(もしくは姉弟)に、本当に素晴らしいと感じられた、驚きと感謝が脇でた言霊だったのですね。

赤貝といえば、ハマグリや、アサリ、春の旬のものを頂きたくなりました(笑)。

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―次回へ

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