生き返り?別人?! 天照大御神さまの言よさし⑦ 神様も“失敗”して成長した 百三一
天若日子が生き返った?
こんにちは。しばらく雨が続きそうですが、皆さまご無事でしょうか?今朝の地震も気になりますね。今日は夕方から「ことの葉綴り。」に向かいます。毎日定時間の更新じゃなくて、すいません!(ぺこり)
神さまも“失敗”して成長したという日本の神話。
高天原を治める天照大御神さまは、「地上の豊葦原の水穂國は、我が御子が治めるべき国」と、2柱の神を遣わせましたが、
地上を気に入り大国主神様に取り入られてしまいました。
しかも、天若日子(あめのわかひこ)は、高天原からのお使いの雉の鳴女(きざしのなきめ)を弓矢で射殺しまいます。
この矢は、雉の鳴女を突き抜けて高天原まで飛んでいきました。
高御産巣日神さまが、地上へと「還し矢」を射ると
天若日子に突き刺さり死んでしまいます。
妻の下照比売(したてるひめ)の泣き声が、高天原にまで届き、
天若日子の父と高天原の妻と子の家族も、死んだことを知り、
急いで、地上の出雲に天下り、喪屋を建て、葬儀の準備をして、鳥たちに奉仕をさせて、
八日八夜にわたり、天若日子の葬儀をとりおこなったのです。
突然の死、しかも音沙汰のなかった8年間……。
悲しみの深さはどれほどでしょう。
地上の妻で大国主神の娘の下照比売も泣き悲しみました。
そのとき、一人の弔問客の神がお悔やみに訪れました。
その神を目にした、天若日子の父の天津国玉神(あまつくにたまのかみ)と、天若日子の高天原の妻と子供たちは、息を呑み驚きます。
次の瞬間、弔問客の神に駆け寄り、手や足に取りすがって大泣きして泣き崩れたではありませんか!
そして、泣きながら父や家族は、こう言葉にしました。
ああ~我が息子は死んでいなかった~生きていたのだ~
天上界の妻も、子も
あ~~あなた、生きていたのですね~
お父さま~お会いしたかった。死んでいなかったのですね!
天若日子は、死の世界から蘇ってきたのでしょうか?
走り去った神は誰?
天若日子の父、妻、子どもたちが、“天若日子”の手足に取りすがり、泣いています。
死んでいなかった!!
会いたかった~!!
その時です。抱きつかれていた“天若日子”と思われた神は、
ものすごく超絶怒り狂い、父や家族の手を振りほどくと、
こう怒鳴り出したのです。
やめろ! 私は天若日子が愛しい親友だからこそ、
お悔やみに来たのだ!“
それをこの私を、穢れた死人と間違えるなど!縁起でもないわ!許せん!!
そう激怒しながら、十掬剣(とつかのつるぎ)を抜いて、
喪屋を切り倒し、足で、蹴飛ばしたのです。
あまりの怒りの強さに、その蹴とばされた喪屋は、
美濃の国(岐阜県)の藍見河(長良川の上流)まで飛んでいき、
河上の喪山という山になったといわれています。
そして、そのままその神は、怒ったままものすごい勢いで
飛ぶように走り去っていきました。
ただ茫然と立ち尽くす、天若日子の父と家族たち。
なんだったのだろう?
息子の天若日子ではなかったのか?
名前も告げずに行ってしまった……。
天若日子の親友のこの神は、見た目も風貌も容姿が、天若日子と見間違うほど、とても似ていたのです。
父や妻、子どもが見間違えても仕方なかったのです。
ではなぜ、その神は、親友と間違われたことで、
それほど激高したのでしょうか?
それは、古来、死や死者は、「穢れ」たものとされて、
とても忌み嫌われていたからです。
幾ら親友とはいえ、「死者」とされたことが
許せなかったのです。
その神は、実は地上の妻である、下照比売(したてるひめ)。別名高比売命(たかひめのみこと)の兄だったのです!!
―次回へ
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