葬儀の準備 天照大御神さまの言よさし⑥ 神様も“失敗”して成長した 其の百三十
天若日子の死
おはようございます。豪雨が列島に降り続いていますが、皆さまご無事でしょうか? 私は今日も「ことの葉綴り。」に向かいます。
神さまも“失敗”を経験されて成長されていく神話。
天照大御神さまは、「地上の豊葦原の水穂國は、我が御子が治めるべき国」と、言向けをされ、地上へ2柱の神を遣わせますが、
音沙汰のないまま、10年以上が過ぎていました。
大国主神さまの娘の下照比売(したてるひめ)を嫁にもらい、
我こそ地上の王にと野心を持った天若日子(あめのわかひこ)は、
高天原からのお使いの雉の鳴女(きざしのなきめ)を、
天照大御神さまから賜った弓矢で射殺しまいます。
雉の鳴女を突き抜けた血の付いた矢は、高天原まで飛んでいき…。
天照大御神さまと、高御産巣日神さまは、
天若日子の、裏切りをお知りになったのです。
天若日子が、邪な心を抱いているのであれば、この矢が当たり、天若日子が死んでしまうがよいと
高御産巣日神さまは、その矢を地上へと射返します。
この還し矢は、豊葦原中つ国の出雲の天若日子に
突き刺さり、絶命したのでした。
夫の突然の死に、妻である下照比売(したてるひめ)の
悲しみは深く、慟哭し、その泣き声は、風に乗り
天上の高天原にまで届いたといいます。
この鳴き声を耳にした天若日子の父である
天津国魂神(あまくにたまのかみ)と、
天若日子の高天原の妻子でした。
地上で亡くなったことを知ると
いそぎ、家族で、葦原中つ国の出雲へと降りていきます。
葬儀と奉仕する鳥たち
しばらく音沙汰もなく、還し矢で亡くなってしまった。
その悲しみに泣き崩れました。
そして、葬儀をおこなうまで天若日子さまのご遺体を安置する
ための仮屋の喪屋(もや)をおつくりになりました。
そして鳥たちに、葬儀での役目を分担して与えます。
まず川の雁(かり)を「岐佐理持(ささりもち)」という、
葬送のときに、死者の食べ物を頭にのせていく係を。
鷺には、「掃持(ははきもち)」と、箒で喪屋の掃除する係に。
翡翠(かわせみ)は、「御食人」(みけびと)と、死者にお供えをする御饌(みけ)をつくる料理係。
雀は、碓女(うすめ)という米を搗(つ)く係。
そして雉は、葬儀のときに声を出して泣き悲しむ哭女(なきめ)と、それぞれの役割を決めて、日八日夜八夜(ひやかよやよ)と
何日もにわたり、歌い踊り葬儀をおこなって、天若日子を弔ったのでした。
この葬儀の役割をなぜ、鳥たちが担ったかというと……。
死者の魂は、鳥になって天に昇りゆく……。
また、鳥たちが、死者の霊魂を、死者の眠る国へ運んでいく……
そう信じていたからだそうです。
―次回へ
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