見出し画像

ルナ、火葬

我が家の愛猫、ルナが亡くなった。
2023年10月17日(火)のことだった。

保護猫シェルターから引取ってきて2年と1カ月。2022年6月の右肺切除の手術以来、毎日必死に看病していたので、長いように感じていたが、実はほんの短い間だった。

悲しみと混乱の中で葬儀の手配をするのは辛いことだったが、3年前、実家の猫が亡くなった時、葬儀の手配をした経験が役立った。おそらくその経験がなく、一からネットで検索し、料金なども比較しながら選んでいたら、ストレスは比較にならないくらい大きかっただろう。

ペットの葬儀

最近は、ペットの葬儀にも様々な会社やサービスがあるが、大別すると以下の3種類が主流だった。

  1. 合同供養: 自宅まで遺体を引き取りに来て、火葬場に運び、他の遺体と一緒に合同火葬をして、その会社が提携する霊園に埋葬する(遺骨は戻らない)

  2. 個別火葬: 自宅まで遺体を引き取りに来て、火葬車にて近隣で火葬を済ませ、骨壷に収めて自宅へ届ける。

  3. 家族立合い火葬: 自宅まで遺体を引き取りに来て、火葬車にて近隣で火葬を済ませて自宅付近に戻り、家族が自ら拾骨して骨壷に収め、自宅へ持ち帰る。

2と3の価格の差は、おそらく火葬に要する時間の差だ。2の場合、火葬の所用時間は約30分だが、3の場合は2時間。きれいにお骨を残すため、ゆっくり時間をかけて焼却するのだろう。

こうした商業的なサービスとは別に、人間同様、各自治体の公的サービスもある。たとえば名古屋市では、死亡動物の火葬を公共の斎場で行っている。他の動物は重さにより料金が変わるが、猫の場合は重さにかかわらず1頭1,100円にするという条例があり、一律だ。猫は数が多いからだろうか。

※名古屋市内に生息する「のら猫」は1万3千頭と推計されており、そのうち毎年5,000~6,000頭もの猫が路上死している。→ 猫の路上死

このように公的サービスは安価だが、斎場の稼働日時に合わせて自分で遺体を持ち込む必要がある。また、他の動物とまとめて行われるため、立会いや拾骨はできない。段ボールなど紙製のものに入れなければならず、副葬できる品も限られる。

たまに、私がボランティアをしている保護猫施設が『亡くなった猫を段ボール箱に入れて放置している』などと、さも悪いことのようにSNSに書く人がいるが、それはお門違いだ。

遺体を段ボール箱に入れるのはそれがルールだから、そして、しばらく置いてあるのは斎場が24時間365日営業ではなく、休業日があるからだ。

ルナの火葬

ルナの場合、お骨上げをしてやりたかったし、多少、疑心暗鬼かもしれないが、骨が骨壺に入った状態で渡されると、それが本当にルナの骨なのかどうか、100%完全には信用できないという不安があったので、火葬には3の「家族立ち合い葬」を選んだ。

時間は19時開始とし、当日、ほぼ予定通りに火葬車が到着した。電話をもらってすぐに階下に降りようとしたところ、『説明があるので』ということで、担当者がマンションの自宅まで上がって来た。

何かと思ったら、遺体を乗せる布製の布団や、陶器製のものよりカビがつきにくいという紙製の骨壺、遺骨の一部を収めるペンダントホールダーなど、追加サービスの説明だった。ちょっと、現実に引き戻された気がした。

納骨して骨壺が手元になくなった後、遺骨の一部(尻尾の骨など小さなものを入れる人が多いとのこと)をペンダントに入れて身近に置くのもいいかなと一瞬思ったが、結局、やめた。

ただ、カビがつきにくい骨壺だけは、もしかすると納骨まで時間がかかるかもしれないと思ったので、追加で購入した。

ルナの骨壺

その上で、マンション前の駐車上に止められた火葬車までにルナを連れて行った。遺体を置くスペースは白くてきれいだった。

そこにルナを横たえ、最後のお別れをした。焼却炉の扉が閉められ、ルナが永久に視界から消えた・・・。

火葬に1時間半ほど必要とのことだったので、その間、今まで撮り貯めた写真や動画を見ながら、遺影に使う写真を選んで過ごした。

ルナは黒猫で、元々写真映りが良くない上に、両目の眼球もないため、一体、どこが目でどこが鼻なのか、良く分からない写真が多い。いつも見ていたルナの顔立ちが分かる写真は非常に少なかったが、何とか「これは、ルナの顔が良く分かる!」という写真が1枚だけ見つかったので、それを遺影に決めた。

ルナの帰還

そうこうするうちに車が戻ってきた。駐車上に下りていくと、すでに焼却炉の扉は開かれ、ルナの骨が整然と並べられていた。

火葬前に『この猫ちゃんのように若いと、骨が柔らかくて溶けてしまい、キレイに残らないことがありますが、どうぞご了承ください。』と言われていたのだが、細かい尻尾の骨までキレイに残っていた。

『心配してましたが、骨がしっかりしていたようで、キレイに残ってました。』という担当者の説明を聞いて、「あぁ、それは運動の成果だな。」と思った。

ルナが患っていた気管支拡張症という病気には、喀痰(気管、肺などから痰を吐き出すこと)が非常に重要だったので、様々な方法を試した。その結果、「階段を下りる」運動療法が最も効果があることが分かったので、毎日、4段の階段から100回降りる運動をさせていた。

階段上のルナ

ルナ自身はこの運動を嫌がっていたが、いつも「あなたのためだから」と言いながらやらせていた。きっとそのお陰で骨がしっかりしていたのだろう。

そして、すべてのお骨を骨壺に入れ、ルナの葬儀が終了した。

ルナ、安らかに。

小さな丸い箱に入って、ルナが家に帰ってきた。

骨壺は本棚の奥に入れ、骨壺の前に遺影を置いた。ハンサムなルナの顔立ちが分かる写真だ。

ルナの遺影

生きている間、ずっと息が苦しいかったルナ。
虹の橋の向こうでは、痰を詰まらせることなく、楽に息ができ、目も見えて、元気に走り回っていてほしい。

ルナ、どうか安らかに。

生まれつき両目の眼球がなく盲目だった猫のルナ。保護猫シェルターから里子に来て2年1カ月。 気管支拡張症という病に苦しみながらも、いつも明るく喜びを与え続けてくれた。 そんなルナの猫生を書き記していきます。

この記事が参加している募集

ペットとの暮らし

猫のいるしあわせ

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?