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パパッと見るブックレビュー『幕末史/佐々木 克』

はじめに

 今日は『幕末史』という本のブックレビューをしたいと思います。


パパッと見るブックレビューのコンセプト

 レビューをパパッと見て、紹介した本が見た方の今の自分の課題にマッチしているかどうか、欲しているものかどうかをパパッと判断できることをコンセプトとしています。


今月のフォトギャラリーはchoroさんのイラスト

 月が変わりましたのでフォトギャラリーのイラストを変更します。今月は『choro』さんのイラストを拝借します。ありがとうございます!

 それではブックレビュースタートです。


ブックレビュー『幕末史』

本の紹介・読んだ目的など

【タイトル】幕末史
【著者(敬称略)】佐々木 克
【発行日】2014/11/10
【発行所】筑摩書房
[読んだ目的]
 明治維新について学ぶ
[何でこの本を知ったか]
 明治維新とは何だったのか、にて紹介されていた
ブクログでつけた★の数]
 ★★★★


この本はこんな人にオススメ

  • 明治維新について知りたい人

  • 明治維新について見識を深めたい人

  • 攘夷の意味を知りたい人


著者:佐々木 克さんって? 

 Amazonから引用します。(当時のプロフィール)

佐々木 克(ささき・すぐる)

 1940年秋田県生まれ。1970年立教大学大学院文学研究科博士課程修了、京都大学教授、奈良大学教授を経て、現在京都大学名誉教授、京都大学博士(文学)。歴史学者、専門は明治維新史。主な著者に『戊辰戦争』(中公新書、1977年)、『日本近代の出発』(集英社、1992年)、『大久保利通と明治維新』(吉川弘文館、1998年、吉田賞受賞)、『志士と官僚』(講談社学術文庫、2000年)、『幕末政治と薩摩藩』(吉川弘文館、2004年)、『幕末の天皇・明治の天皇』(講談社学術文庫、2005年)、『坂本龍馬とその時代』(河出書房新社、2009年)など。

幕末史


私が読み取ったこの本のメッセージ

「 色々な角度から歴史を知ろう 」


私が感じたこの本のポイント(私の理解の上での要約)

  • 幕府による開国の決断

    • 江戸幕府が鎖国をしていたけれども、唯一付き合いのあるオランダを通して海外の情報を知っていた。そうした中で、欧米列強がアジア各地を植民地化しているということを知っていた。ペリーが来航した際、欧米と日本の国力、武力の違いから開国は避けられない、という決断があった。

  • 半開国のレッテル

    • 当時の国際社会では、日本は欧米などの文明国には及ばない『半開の国』という認識をされていた(文明国・半開国・未開国の3つがあった)。(この考え方があるので欧米による植民地化があったとも言える)

    • アメリカからは半開国前提で条約などの条件を提示され、締結した(不平等条約)。この本では屈辱という表現をされている。

  • 攘夷 = 外国による不平等をなんとかしようという動き

    • 不平等をなんとかしたいという動きが『攘夷』。対話による交渉から武力によるテロ行為まで幅広く攘夷ということになる。条約改正 = 破約攘夷 と呼ばれていた。

    • 攘夷=暴力、だけではないということ。

  • 挙国一致の気運

    • 欧米による日本への圧力、また不平等条約をなんとかするには。天皇・公家・幕府・民が一つになって(挙国一致)ことにあたる必要があるという気運があった。

  • 情報伝達インフラの不備

    • 当然ながら当時は整っていないので、情報の伝わりが遅い、ニュアンスが伝わらない。これが意思の齟齬を産んだ部分もあった。ここは致し方ないとは言え大事だなぁと思った。

  • 登場人物(この本を読んで持った印象)

    • 孝明天皇

      • 攘夷思想。その観点で行動をされていた。戦争は避け、破約攘夷で外国と対等な立場になることを希望されていた。

    • 朝廷

      • 長い歴史の中で決断力不足になっていた。政争が激しく都合に合わない人を辞めさせていたというのが原因。岩倉具視や三条実美なども失脚させられる。

    • 幕府

      • 阿部正弘、井伊直弼などの大老や四候(松平慶永(春嶽)、伊達宗城、山内豊信(容堂)、島津斉彬(後に島津久光に替わる))などの開国派の実力者がいた。当時の将軍は家慶、家定、家茂、慶喜。

      • 徳川家茂(慶福)と一橋(後の徳川)慶喜の将軍継嗣問題があった。

      • 長年の歴史から基本的な政治進行は朝廷優先ではなく、大政を委任されている幕府主体で進める方針。その思想もあり、朝廷の勅許(承認)を得ずに日米修好通商条約を締結した。

    • 徳川慶喜

      • 失った幕府の威厳を取り戻そうとした。エネルギーがあり物事を進める力もあるが、意見や考えをすぐ変え、独断で物事を進めた面もある。

    • 薩摩藩

      • 当時の幕府と朝廷ではダメだと見切りをつけ、新しい政府を作ろうと奔走。密貿易や武力行使など過激な面もあるが、慎重に見定め、行動していた印象。島津斉彬、島津久光、西郷隆盛、大久保利通、小松帯刀。

    • 長州藩

      • 主に武力による攘夷を推進。独断で突っ走り過ぎ、京都から朝敵として追い出されてしまう。情報が入ってこなくなりつつも独自に活動を行う。坂本竜馬きっかけにより薩長盟約を結ぶ。桂小五郎(木戸孝允)。


チャプター紹介

はじめに
第1章 屈辱の出発 1853-1859
第2章 尊皇攘夷運動 1860-1863
第3章 遠のく挙国一致 1863-1865
第4章 日本を立ち直らせるために 1865-1866
第5章 新政府の創設 1866-1867
第6章 明治国家の課題 1868-1890
あとがき

幕末史


読後ひと言感想(読んだ直後にブクログに投稿したもの)

 とても勉強になりました。

 佐々木さんとしての幕末史が書かれています。調査して、自分を通して文章にされているので、大事と思われるところの濃淡や主観的な表現があるのは当然ですが、それでも客観をベースに書かれていて、幕末・維新を知るための本としてはとても参考になる本だなと思いました。

キーワードは
・挙国一致
・攘夷(破約攘夷)
の2点。

 挙国一致。ペリー来航当時の欧米列強の勢いを危惧し、このままでは日本は欧米列強に飲まれてしまう、という危惧から、天皇、公家、幕府、民、全ての心を一致して取り組み日本を守っていくということが重要である、という考え方。

 攘夷(破約攘夷)。攘夷のイメージは外国人を成敗するというイメージでしたかそれだけではなく、外国と交わした不平等な条約の改正など武力だけではなく諸外国との不平等を打破する取り組み。その手法として武力もあるということ。最たるものはテロめいたものにもなる。

 この2つのキーワードをベースに各人が各人の立場や考えをもって活動していた時代が幕末・明治なんだなと実感できました。

 その根底にあるのが「国を想う心」であると思いました。「このままでは日本がダメになる」「何とかしないといけない」そう言った日本人としてのアイデンティティ、誇りがあったからこそ、そしてその想いが強かったからこそ、命をかけてまで活動したんだなと思いました。


私の読後行動

  • 明治維新をもっと勉強する


その他メモ

  • なし


おわりに

 いかがでしたでしょうか。パパッと自分の課題にマッチしているか・欲しているものかどうか判断できましたでしょうか。

 以上、パパッと見るブックレビュー『幕末史』でした!


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