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小さな個人商店が広告費をほとんど使わず2年半かけて月約8万pvのHPを作るまで

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はじめまして。コスナサイクルオーナーの小砂恵三と申します。
コスナサイクルは神奈川県小田原市にある店舗面積約10坪と小規模な自転車店です。

祖父の代から私で3代目。現在の店舗所在地と変わらぬ場所で、80年以上、地域密着型の営業を続けています。

取り扱い車種は、電動アシスト自転車・クロスバイク・ロードバイク・折り畳み自転車・一般自転車・キッズバイクなど、なかには農機具用のリヤカーの修理の持ち込みまで、さまざまな車種に対応しています。

このたび、ようやく弊社HPが月約8万PVほどのアクセスをいただけるようになりました。

おそらく、大きなメディアの運営者や企業の広報部、さまざまな編集者の方から見たら小さくて鼻にもかけないような数字でしょうが、広告出稿もせず、SNSも活用せず、本業と平行しながら運営をしてきた経験から「HPの更新がうまくいかない」もしくは「HPを持っていない」という、同じような小規模な商店の方の役に立てたらと思い、何回かに分けて、これまで行ってきたことを書き留めていけたらと思います。

さて、さきほど創業から約80年と書きましたが、実は、HPを導入したのは約2年半前。
これだけWEBマーケティング導入が叫ばれるなかで、非常に遅い参入です。

・公式ホームページを導入した理由

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なぜこれだけ長くHPを導入しなかったのか。
それは、自転車の購入・修理はほとんどの場合、居住地の近くで行われるものだからです。

平成30年度公表の一般社団法人自転車産業振興協会の報告書によれば、調査対象者の自転車購入先は、自転車専門店が52.6%、ホームセンターが15.3%、スーパー・ショッピングセンターが14.1%、そしてインターネット販売が10.1%、etc・・・(少数な購入先は割愛します)。

と、この数字を見ても分かるとおり、これだけECサイトの利用が活況とする社会であっても、自転車業界においては8割以上の人が実店舗での購入をおこなっています。そしてこれは、実際に店舗を運営していても実感することです。

修理に関しても、購入店舗よりも自宅や職場に近いお店へ持ち込みをすることが多いという印象は前から抱いていました。

実際、ネット通販で購入された自転車は輸送時の振動による不具合での持ち込みが多く、実は修理の中でもかなりやっかいなものだったりもします…。

とにもかくにも、実店舗での営業だけでも大きな問題がない、もしくは、大きな問題を起こさないためにWEBなどを活用せず、実際に目の前に自転車を置き、対面のみの営業をしていた、とも言えるかもしれません。

とくに、弊社の場合はお客様の“自転車使用に求めるもの”を聞きだし、オーナーの私が車種やタイプを選定、ご提案をするコンサルティング販売を主力としていたために、特にWEB上での一方通行な情報提供を必要としていなかったということもあります。

そして、もっとも気になっていたのが、お客様にとってどのようなことが一番欲しい情報なのかWEB上に散らばる大量の情報の中で、お客様自身が迷われるケースが多々あるということに私自身不満を感じていたからです。

自転車と一口に言っても種類は豊富です。

スポーツ自転車は趣味の世界に近く、WEB上や修理などのセミナーでも過剰な専門知識を提供することも多い世界です。

その一方で、より身近な使用をされる一般自転車(シティサイクル、ママチャリなどとも呼ばれます)や電動自転車などについては、ほとんどの場合、店舗側から十分で正しい知識をお客様に提供していることはあまりありません。

こういった齟齬を、自身のHPにてしっかりとフォローすることができれば、たとえ私の店舗での購入や修理をされていない離れたエリアの方であっても、自転車にまつわるランニングコストを下げ、過不足のない出費で日常の移動手段を利用できるようになるのではないか。

また、もしもコスナサイクルまでご来店可能な距離であれば、ぜひご来店いただきたいという思いでコスナサイクル公式ホームページを開設します。

・HP開設で気にしたこと

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HP開設にあたり、前提条件として、いわゆるコーポレートサイトを作成して検索を待つのではなく、ブログ記事の更新を主体としたものにすることで、先述の正しい知識を公開していくこととしました。

動きのないHPは、私自身もチェックすることが少なく、そもそも見るメリットを感じません。自分たちにメリットがあるものではなく、読者にメリットがあるものを更新するという、かなり初歩的な部分をとにかく重視するというのが念頭にあります。

そして、本来であれば、SNSの活用やグーグルのアドネットワークなどへの広告出稿など、さまざまな方向からアプローチをする必要があると思いますが、店舗スタッフは私のみ、通常業務はこれまで通り実施していく必要があるため、あまり過分な手間はかけられない。

そこで、HP更新以外ではSNSなどは活用せず、地道に、お客様のためになると考えた記事を1年間ほぼ毎日更新(フェイスブックだけは昔からアカウントを持っていたので継続しました)。

HPの運用にかかる費用は、広告をどこにも出稿せず運営していますので、レンタルサーバー代の月/約500円、ドメイン代の年/約1,800円のみが経費です。

・HPでの集客にはSNSも広告も、高い一眼レフカメラもいらない。経験が最大級発揮できる場所にするだけ

自分で言うのは憚られるのですが、コスナサイクルでは、他店よりも圧倒的に丁寧な自転車組み立て・修理をしているという自負があります。

自転車というのは屋外で使用するものであるため、設計の段階からある程度丈夫に作られています。

しかし、一方で金属パーツへの風雨の影響、タイヤチューブへのエアーの供給頻度、初期調整の狂いからの長期使用によるトラブルなど、使用にいたっては細かな部分で気をつけなければいけないことが多々あります。

そして、これらは特に他店購入者様のなかに伝わっていないということがほとんどでした。そのため自身の経験を主体にした自転車を長く愛用していただくためのノウハウ系記事を、惜しみなくブログ記事として掲載することにしたのです。

こういう部分に気をつけたほうがいい、もしもリペアをするならこうするといい、工具の扱いではここに気をつけて、など、掲載情報は新人に指導するように細かく記載することに注意して更新していきます。

サイトを見た人からは、これだけ細かく公開してはお客さんが自身で真似てしまって、来店数が少なくなるのでは、というご意見もいただきました。

ただ、実際にユーザー自身が実施することは少ないように感じます。記事を読んで、パーツの動き方などの原理を理解し、いつ自転車店に修理を持ち込むか、そういった判断基準に使用されているな、という印象です。

また、場合によってはこの部分については自分で修理をしないで欲しいという要望も記載しました。

なぜなら、自転車の公式説明書に記載されるようなトルクレンチなどの数値管理よりも、手にあたる感覚や車両の使用頻度にあわせたケミカル商品の使用量(グリスやチェーンルブ、シリコン溶剤の量)など、経験がないと分からない細かい部分も出てくるからです。

まとめ


そうして、バズることもなく、どこかのサイトに劇的に取り上げられることもなく、広告費も出さずに、地道に自分の経験から「お客様のためになる」と感じることをアップしつづけて、ようやく、月約8万PVほどになりました。

ただし、HPはPV数を増やすことが目的ではありません。

多くの方がご存じのように、PV数は少なくても多くてもたいした違いはありません。

実際に掲載内容に共感していただき、お客様自身がコスナサイクルを通して自転車の使い勝手のよさを体感していただく、実際に店舗に車両を持ち込んでいただき整備の行き届いた車両の乗り心地を経験してもらう、こういった体験をご提供することがHP開設の目的です。

今は、店舗所在地近隣のお客様もHPをご覧いただき、少し離れたエリアから購入や修理のお持ち込みをいただけるようになりました。

店頭へのご来店者様が増加したため、現在はHPの更新頻度を落としていますが、そこまで大きな変化はないというのも新たな発見でした。

経験や技術は数年では培われません。

そして、本来注目を浴びるべき高い技術力を持つ方ほど、広く自分の技術力を広めることに注力していません。

これらは、HPを運営する、商品の取り扱いや購入を検討するお客様への最も価値のある情報となります。

今後は同じように、情報発信力がまだ弱い人々と協力していきたいと考えていますが、それはもう少し先のことになりそうです。

初回は自己紹介を含めた現状のご報告でした。
次回は、リアルな営業が交錯しない、地方ならではのWEBサイトの運用方法について記してみます。

よかったら、また読んでみてくださいね。


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