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芥子菜とヘルメットの話

5月18日 雨のちくもり

本日のBGM Paul Desmond

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一昨日 近所の人からもらった
芥子菜(からしな)を祖母が一夜漬けにしたようで
それがお昼の食卓に登場しましたが
これがまた どえりゃ〜うみゃーのです。

この類の漬物は 私の食べ物ランキングの中で
いつも上位にいるので、
そんな食べ物が簡単な手間で
食べられるというのはとても嬉しいですね。
まあ私が漬けたわけではないんですけど。
ご飯何杯でもいけるやつでした。

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今日は朝から雨が降っていたので
主に室内での作業でした。
昨日に引き続きろくろ修行ですね。


そのろくろ台の真正面にある乾燥棚に
これまた一昨日くらいに陶芸体験にきた人が
作っていった丼が乾かしてあって、
それがヘルメットを利用して手びねりで作ったもので
これはいいアイデアだなあと。

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このヘルメットはうちのではないと思うから
あらかじめ丼を作る算段を立てて
ヘルメットも持ってきたということなのでしょうね。
陶芸体験では自分たちでは思いつかない角度からの
発想があるからなかなか面白いです。


このヘルメットの曲線を利用した作り方というのは
もうそれだけで企画展として成り立つと思います。
ゴミ捨て場に行って
いろいろなタイプのヘルメットを拾ってきて
その形を利用して器を作るというのは、

企画として食いつきがいいと思うし
実際に作るものは
ヘルメットの形にそれほど縛られない、
むしろ元になったヘルメットの形から離れた方が
見る人ごとに感想を持ちかけることになって
より面白くなるのではないでしょうか。

中には丼の形からヘルメットを作ったりとか、
黒田官兵衛の丼カブトを再現してみるとか、
異種なものを組み合わせると、制限があるからこそ
作られるもののアイデアは広がりますね。


「思いついたけど実現はしなさそうな個展の企画」
でした。そんな思いつきだけはけっこうあります。

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夕方、うつわの方が ある程度乾いたので
ヘルメットから外したようです。
ヘルメット自体なかなかオシャレですね。
工事現場用っぽかったです。

ヘルメットで思い出したのは
オハイオ州の空軍基地にある
人間有効性局というところが、
ヘルメットに微弱な電磁場を作って
それを脳の特定の部位に当てることで
どえりゃー集中状態を持続するという
研究をしておるそうで、

主な用途としてはスナイパーの集中力の持続や
長時間のドローンの操縦などになるそうですが、
それを取材に行った記者の女性の体験では
ノーヘル状態で射撃シミュレーターに入った時
次から次に出てくる標的達にパニックになって
スコアはダメダメだったのが、

そのヘルメットをかぶって同じ訓練をやると
頭の中から余計な感情が消えて
淡々とやるべきことをこなして
あっという間にミッションを
クリアしてしまったそうです。


その実験後の数日間、
彼女は自分の頭の中から
自己不信の雑音が消えて
完全な静寂に包まれていることに気づき、
しばらくの間、またあのヘルメットを
かぶりたくてしょうがなかったとか。
うーんドラッギー。


どうもこのヘルメットによる脳力向上の研究は
個人差が大きく危険性もわかっていないそうですが、
私もそのヘルメットをかぶれば
一日中集中してろくろ作業できるんじゃないかしら。


私の頭の中は常に雑音が流れてて、
自己否定と自己肯定の反問が渦を巻いておるので
(だいたい肯定で終わる)
そんなヘルメット 効果絶大なんでないかい
人間有効性局さーん
ここにいいサンプルがおりますよー


まあこれもどちらがいいのかはわかりません。
ここまでも ろくろを回してる時の雑音で
思いついたことだし。
ろくろ中は雑音だらけでございます。
私の集中状態は頭の中で余計なことを次々考えて
手の方は勝手に動いてくれている時ですね。
その状態は疲れるのであまり長続きはしませんが。


その研究が進んで、もし市販されたら
その集中状態というものがどんなものか
是非とも試してみたいです。
もうそのヘルメットなしでは
いられなくなるんじゃないかしら。

集中力や感情をコントロールできるようになったら
労働が快楽に変わって、
一方で娯楽の定義がかわりそうですね。
でも会話とかはつまんなくなりそうな気がします。
ユーモアは不平不満から生まれると言いますから。

おれ

高鶴裕太 コウヅルユウタ
陶芸家
1991年生まれ
2013年横浜国立大学経済学部卒業
上野焼窯元 庚申窯3代目

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