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恋煩い、という言葉が浮かんだ。 恋というもの、それ自体が病気なのだ。 恋に罹患した者…
磨き上げられた上品な木目の上で、金の天秤が鈍い光を返す。 蒼い血管の浮いた手が白銅の…
檻にいる。 僕は熊だから。 凶暴で、残忍な。 君を傷付けた、怪物だから。 檻の中…
見られている。 視線を感じる。歯磨きしていても、授業中のノートに落書きしていても、眠…
▼前の話 ▼第1話 ホウコはずっと書写をしていた。月が出てからも机に覆いかぶさるように…
▼前の話 ▼第1話 日が昇って報告を受けた天使達は機嫌を損ねていた。 「神聖なる神の花…
▼前の話 ▼第1話 「今日も疲れたな」 案山子をするぼくの足元で老人が言う。 「読めない文字を写すなんぞ、絵を描くのと同じだね。あたしゃ絵心がないんだ」 もう一人の老人が答える。 「しかも唯一の楽しみがあの食事じゃあな。二十年前に食べたきりのステーキが忘れられない」 「しっ、天使様のご厚意にそんなこと言うもんじゃない。天使様は食べ物を召し上がらないから仕方ないのさ」 「料理くらいさせてくれりゃあな……」 「刃物も火も危ないからね」 オオアカさんが老人
▼前の話 ▼第1話 「なあ、本当にこんなとこにいんのかよ」 「いるって。入ってくの見たも…
▼前の話 ▼第1話 日暮れ間近は水遣りの時間だ。 昼間の太陽で温まった水を、天井付近…
表層で溺れる日常を抜け出して 深いところへ降りて行きたい 世界の底へ潜水したい 世…
うちの子、手がかかって仕方ないの。 うちもよ。懐かないし、どこかおかしいんじゃないか…
▼前の話 祈りの声で目が覚めた。 重なり絡み合う数十の声。老人は低く、男は太く、女は…
真っ暗な空に小鳥が飛んでいる。 一羽や二羽ではない。何十羽もの白い小鳥が蛾のように、…