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自分の事業アイデアが「成立する」かどうか確信が持てていない状態の起業や新規事業で一番考えるべきこと

どうも、KORYです。

まず、ありがとうございます

Reality Accelerator / NEXTBLUEでは最近おかげさまでたくさんの投資面談申込をいただいております。大変ありがたいことです。

一方、そうなってくると、投資家視点では「フェーズもある程度進んで、プロダクトも出来ていて、満足している顧客もおり、勝ちスジが見えてきているスタートアップ」の方が投資がしやすいために、フツーに面談していくとそちらにばかり投資をしてしまいがちです。

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僕のところに来てくれる段階で「イケる!」と言う確信がある程度ある起業家の方が増えており、逆にいうと残念ながら起業家支援を開始した時のような「イケるかどうかがまだよくわからない」状態のスタートアップを支援するケースは少なくなってきています。(と言いつつ好きなのでやってますがw)

一方、先日起業家コミュニティサービスのStartPassさんで勉強会に呼んでいただいたり、あとは新規事業創出であったり色々と最近お声がけいただき、「イケるかどうかがまだよくわからない」状態のチームに対してお話する機会をいただけています。そんな中で「イケるかどうかがまだよくわからない」フェーズのチームに言うことはほぼ同じなので、その辺りについてお話したいと思います。

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※「イケる」の定義は実は人によってバラバラです。スタートアップの文脈では「これなら世界獲れる!」が正解なのですが、起業はスタートアップだけではないですし、新規事業の規模感によっても変わってきますが、今回のお話の中では「成立する」ところまでで留めておきます。

結論ズバリ、①ターゲット ②課題(プロブレム) ③解決策(ソリューション) ④価値(バリュー) を考えろ、それだけ。

もうこれは2012年くらいからずーーーーーーーーーーーっと言ってます。この4つだけ考えてくれれば「イケる!」と言う確信が持てるところまで行くのはそんなに時間がかからないです。

①まず、ターゲットについて。

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ターゲットというのは、誰の課題を解決するのか、誰にサービスを提供するのか、の「誰」にあたるところです。

自分が課題を解決したい相手は誰なのか、サービスを提供したい相手は誰なのか、価値を提供したい相手は誰なのか。

また、ターゲットと課題はセットです。課題がない対象はターゲットになり得ません。注意してください。

個人だったら主婦がターゲットなのか、大学生がターゲットなのか、男性がターゲットなのか、東京の人がターゲットなのか。さらに、その中でどんなものに興味を持っている人がターゲットになり得るのか。

個人じゃなく企業がターゲットだったら業界だったり企業規模、社員数、あとはどんなサービスを導入しているか、などいろんな軸で具体化していくことができます。

一方、最初のターゲットは自分が身近にリーチできる人がたくさんいるセグメントの方が確信を得られるまでの時間は短縮できます。なぜなら、直接的に話をたくさんの人に聞くことが出来るからです。

あなたが大学生であれば、大学生の知り合いやその知り合いにヒアリングすることはとても早く行うことができます。あなたが社会人であれば今働いている業界の知り合い/取引先など素早くリーチできることは有利に働きます。

よく、「ペルソナを設定しましょう」、みたいな話があると思いますが、ここではペルソナ作りは一旦忘れてください。

というのも、早い段階である一定のペルソナに絞ってしまうことは本当に課題を持っている層を見失ってしまう可能性があり、危険です。(場合によっては、ペルソナを作ることが目的になってしまい、課題を持っていない人まで含めてしまっていることすらあります。)ペルソナ作りは一旦横に置いておいてください。

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課題を持っている人たちの中で、リーチしやすかったり、明確に定義して網を張れそうなグループを探しましょう。そのグループがターゲットになります。

次に、最も重要な課題についての話をしましょう。


②課題(プロブレム)

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課題、つまりターゲットユーザーが抱える、すぐに解決したいその人の問題のことです。

課題がこの4つのパートの中で一番重要です。

解決策(ソリューション)は変わる可能性があります。価値(バリュー)も変わる可能性があります。でも、(ターゲットと)課題は変わりません。

そこが変わったら、イチからやり直しです。

課題はいかにイタい課題かが重要! - ビタミン剤を売るな、特効薬を売れ!!

これはソリューションの話になってしまうのですが、シリコンバレーにビタミン剤を売るな、痛み止めを売れ(Don't Build a Vitamin, Build a Painkiller)という格言があります。

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Photo by Kayla Maurais on Unsplash

「痛み止め」よりも「特効薬」の方が個人的にはしっくりくる(痛み止めは「だましだまし」感を感じてしまう)ので、僕はビタミン剤と特効薬、という言い方をしています。

ビタミン剤 - つまり、体にいいかもしれないけど、あってもなくても生死には関係ないよね、ってやつです。

特効薬 - 自分がガンを患っていて、余命3ヶ月の末期でも効く特効薬がある、と言われたらいくらでもお金を払いたくなりますよね。しかもそれで治ったら超ハッピー。

これは極端な例ですが、とにかく強い課題を解決するものである必要がある、ということです。

課題感ないもの/弱いもの/なくても困らないものに解決しようと取り組むことほど大変なことはありません。

まずは超イタい、なのに解決されていない、そんな課題を発見することからスタートしましょう。

怒り - なぜか世の中には、社内の誰も使ってくれない顧客管理ツールとか、業者が使いたいように使えないデータシステムとか、どう考えても悪い仕組みのまま慣習になってしまっているようなものがたくさんあります。「これ、最悪だな」と思った気持ち、怒りを忘れないでください。

強い怒りを自分が感じ、それを「5年も10年もかけて解決したい」と思えた課題が、自分が起業するのに適した課題かもしれません。

③解決策(ソリューション)

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①②が出来ていれば、ここのパートは意外と簡単に出てくるはずです。めちゃくちゃ強い課題の場合はいくつかの解決策を考えられるはずで、その中からメリット/デメリットを考えてベストなものを選ベば良いだけだからです。

余談ですが、課題がそこまで強くない場合、解決策に迷いが生じます。正確にいうと、課題が特定できていないがために、解決策がこれでいいのかも特定できないのです。なので、解決策に自信がないスタートアップについては、まず課題に立ち返ることをお勧めしています。(結果、ソリューションが変わるケースもあるし、意外に変わらないケースもあります。感覚的に課題を特定し解決策を見つけられていて、言語化できていないだけのケースもあるので。)

このフェーズで考えなければいけないのは、最低限解決できる解決策と、最低限愛してもらえる解決策についてです。

③−1)何を提供すればターゲットの課題が最低限解決できる解決策(Minimum Viable Product、MVPと呼ばれます)になるのかを特定すること

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画像:Carlos Saba - The Minimum Lovable Product - UX Brighton January 2015

スタートアップのプロジェクトではいかに早く顧客からのフィードバックループを回すか、ということが重要になってくるので、「必要最低限の機能でターゲットの課題を解決する解決策」を定義することは非常に重要です。

課題が超絶イタイ場合は、MVPだけで解決されます。ガンの特効薬をあなたが作れたら、それでOKです。

③-2)どうすれば最低限愛してもらえる解決策(The Minimum Lovable Product、M❤️P)にできるかを特定すること

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画像:Carlos Saba - The Minimum Lovable Product - UX Brighton January 2015

ターゲットの課題が最低限解決できる解決策(MVP)で解決できることに確信が持てたら、より多くのターゲットに受け入れてもらうためには、その上に「こだわり」であったり、「魂」を注入する必要があります。新しい解決策が顧客に受け入れられるには、いかに顕在化している領域であっても、「代替策が一切ない限りは」ある一定のコストがかかります。

そのコストを取り払うためには、顧客に「愛される」ことが必要で、愛されるためには「こだわり」「魂」「熱量」が形になり、それが顧客にも受け入れられる必要があるのです。

そのこだわりは製品のデザインや機能かもしれませんし、人的なサポート内容かもしれませんし、追加情報かもしれません。

④価値(バリュー)

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ドリルを売るには穴を売れ、という本があります。中身を読まなくてもいい本だとわかりますね。

ここで言う価値とは、「穴」にあたるものです。

顧客はあなたのサービスや製品を買いたいのではなく、課題を解決すると言う結果が欲しいのです。

・自分のガンが一発で治る
・自分の子供がスポーツ選手になれる
・1ヶ月で10kg痩せられる
・顧客が獲得できる
・会社のメンバーが全員世界中に営業できるようになる

その課題が解決されるなら、いくら払ってもいいのか、ということを調べます。課題が大きければ大きいほど、いくらでも払って良い、ということになります。

・自分のガンが一発で治るならいくら払う?
・自分の子供がスポーツ選手になれるならいくら払う?
・1ヶ月で10kg痩せられるならいくら払う?
・顧客獲得が獲得できるなら一件いくら払う?
・会社のメンバーが全員世界中に営業できるようになるならいくら払う?

解決策そのものではなく解決策が解決した結果、あるいは課題が価値を決めているということに注目してください。

もし世の中にある既存の代替案が50の価値しか出せていなかったとしたら、あなたが100の価値、200の価値を提供すれば自ずと勝負は見えてきます。

さあ、ここまでは前フリで、ここからが本題ですよ!①ターゲット ②課題(プロブレム) ③解決策(ソリューション) ④価値(バリュー) それぞれの組み合わせをチェックし、違和感がないかどうかをチェック!

大体、組み合わせをチェックすると、このフェーズのスタートアップでは経験上、80-90%が組み合わせ異常を抱えていることがわかります。

チェックの仕方としては、以下のようにしていきます。4C2なので6通りしかないですが、

チェック①ターゲットと課題のセットでチェック

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ターゲットと課題がセットになっていなければ、それはかなりの確率で間違っています。意外に思うかもしれませんが、解決策の方からスタートして、無理やりターゲットと課題を後から付け足した場合にはよく発生します。解決策は置いておいて、まず、ターゲットとその課題について聞いてまわりましょう。

するべき質問:「そのターゲットユーザーが本当にその課題を持っているの?」「誰がそう言っていたの?」「その課題はその人にとってめちゃくちゃイタい課題なの?」

チェック②ターゲットと解決策/課題と解決策のセットでチェック

ターゲット (1)

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意外にも、課題と解決策の組み合わせが合っていないケースもあります。こちらはどちらかというとターゲットと課題はかなりクリアになっているが、解決策がうまく見つかっていないケースが該当するかと思います。あるいは、こちらも解決策から入っていて、課題が抽象的になっている、というパターンもあります。その解決策がターゲットに理解してもらえるか?使ってもらえるか?使った結果ちゃんと解決されるか?愛してもらえるのか?ということをチェックします。

するべき質問:「この解決策って本当にその課題を解決するの?」「解決策はそれっぽいけど、そもそもその課題本当にある?」「課題も解決策もちょっとフワッとしてない?」「このターゲットにこの解決策ちゃんと伝わる?」

チェック③ターゲットと価値/課題と価値の2つのセットでチェック

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ターゲット

そのターゲットが本当にその課題と解決策に対してお金を払ってくれるのか?ということをチェックします。良さそうなんだけどお金を払うほどではない、というサービスは世の中に多々あります。自分たちのサービスがそうなっていないか?をチェックします。

するべき質問:「そのターゲットってこの価値感じてくれるのかな?」「この課題に対して、この価値提供っておかしくない?」

チェック④価値と解決策のセットでチェック

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その解決策が本当にその価値を提供できているのか?ということをチェックします。MVPを小さくしすぎた結果、価値提供ができていない、と言うことになっていないかをチェックします。

するべき質問:「そもそもこの解決策って、この価値提供できてる?」「使うとしたら、もっとこっちに価値を感じるんじゃないの?」「この機能ってこの価値提供に関係なくない?」

まとめ:ユーザーヒアリングは重要だけど、このチェックは机の上で1時間考えればできること。自分の事業アイデアが「成立する」かどうか確信が持てない時にはこのチェックをやろう。

意外と出来ていないので(笑)、「いやいやウチは大丈夫でしょ」と思ってる人もやってみてください。チームでやってみてもいいと思います。

また、これをやれば検証の手戻りが発生するリスクも軽減できます。ぜひやってみてください。

余談:今回はあくまで「成立する」という最低限の話でした

この先には、ターゲットユーザーがどれくらい存在して総計でどれくらいお金を払ってくれるのか、と言った市場規模の計算であったり、どのように市場を獲っていくのか、どのように資金を投下していくのか、マーケティングはどうするのか、などを加えていき、世界を獲る算段をしていくのがスタートアップのピッチ資料・事業計画・資本政策の「資金調達の三種の神器」の話です。(資金調達の、といいつつ資金調達関係なくても作っておくと捗ります。)

「資金調達の三種の神器」の話はニーズあればまとめて書きますのでよかったらこのnoteにいいねをしていただくか、Twitterでこの記事をシェアいただければ!(シェアされたらニーズあり、そうでもなければニーズなしということでw やる気アップのためによろしくお願いしますw)

(追記:こちらのイベントで資金調達の三種の神器についてお話します!)


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