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本日発売『いつでも転職できるを武器にする-市場価値に左右されない「自分軸」の作り方』【1章① 無料公開】

こんにちは、人事・戦略コンサルタントの松本利明です。
昨日より連載をスタートしている『いつでも転職できるを武器にする-市場価値に左右されない「自分軸」の作り方』(KADOKAWA)
発売日前ですが、出版社のご好意により、本文の一部を全文公開しています。本日は1章を全文公開します(「はじめに」の全文公開はこちら
※1章の文字数が多くて読みにくいので5分割して掲載します。

 1章「日本の転職」の前提が全て変わってしまった

現代の若手は4人に3人が転職する明確な理由を持つ時代になりましたが、転職のセオリーはアップデートされていません。給料アップ、楽しい、やりがいがあるなど、「今よりちょっといい会社」を目指すことは重要ですが、それだけでは表面的で薄っぺらいのは、あなたも気づいているでしょう。

・今の自分に市場価値はあるのか?
・自分の好きなことで稼げるのか?
・このままで世の中で認められるようになるのか?
・不安なく、自分の価値をアップデートし続けていけるのか?

といった、あなたの本音の問いに本章では答えていきます。

 あなたらしくと言われても自分の人生は今回が初めてなので判断は難しいでしょう。
 変化が激しい時代こそ、行動が全てかというと必ずしもそうではありません。
 無駄にバタバタしても意味がないからです。
行動したり、チャレンジしたりするには、その前提に「安全」が必要です。

人は「安全」がないと「チャレンジ」できない人が9割だからです。

 半端ない行動力でチャレンジし、ZOZOやSHOWROOM、メルカリといった、あっと驚くサービスを立ち上げ、成功させる人も増えてきましたが、イチかバチかの賭けではありません。ちゃんと勝算という安全が見えているから勝ちにいけるのです。
 この本では、AIやロボットに仕事が奪われるなど、あなたに恐怖を与えるつもりは1ミリもありません。

 あなたらしく、評価され、認められ、ちゃんと稼げるようになるための、これからのセオリーを書きました。転職、キャリア、働き方での「モヤモヤ」や不安を解消し、これならできそうと「いける感」を摑んでいただけることを約束します。

 わかりやすいように、現状とこれからの転職やキャリアのセオリーを比較しながら解説します。早速ページをめくってみてください。

問① 売りになる強みや実績がみつかりません

答 自分の持ち味を活かし、「向いている」ことをすると独自の強みと実績が爆発的に生まれる

「ありがとうの方程式」であなたのキャラをハッキリさせる
最初に簡単なエクササイズからはじめましょう。
 次の3名の転職候補者の中で「この人がいい!」と突き抜けている人はどなたですか?

Aさん「ソニーで25年エンジニア経験」
Bさん「パナソニックで26年エンジニア経験」
Cさん「NECで24年エンジニア経験」

どなたか突出していましたか? どんぐりの背比べで、違いがわからないのが本音でしょう。
 では次の本のタイトルの中で、一番印象に残るのはどれですか?

A:『やさしい経理入門』
B:『超経理入門』
C:『経理1年目の教科書』
D:『ドラえもんが教える、のび太君でもわかる経理』

 いかがでしょうか? 中身はともかく一番印象に残ったのは、D:『ドラえもんが教える、のび太君でもわかる経理』ではないでしょうか。A、B、Cはちょっとした違いにしか感じないので薄くしか印象に残りません。

 そう、あなたが考えている「強み」や「実績」も、他人からみれば他の人との違いは誤差の範囲なのです。違いを書く側は一生懸命に振り返り、自分を掘り下げてひねり出しても、評価する側が下す結果は想定の誤差範囲なのです。
 理由は簡単です。仕事が同じであれば誰でも同じような経歴や強みになるからです。なぜなら、仕事が同じだからです。
経理の仕事だとしましょう。評価される項目は会社の垣根を超え、業界・業種共通です。同業であれば、なおさら違いがでないので実績で差はつきにくいのが当たり前なのです。 

 「強み」もそうです。そもそも出てくる項目も共通です。新規開拓の営業であれば、元気よく、前向きで、顧客志向が高く、共感力がある。達成志向が強く、粘り強いなど、マニュアルや評価項目にありそうなことが強みとして浮かんでくるでしょう。仕事が同じだと強みも他人との違いが出しにくくなるのです。
 さらに、強みは残酷です。「強み」で勝負すると自分より強い人がでてきたら負けるので、不安は常に付きまとうのです。
「定年退職になりましたので引退します」という横綱はいません。そう、「強み」は、自分よりもっと強い人が現れたら負けるのです。なぜなら、強みの価値は相対比較できまるからです。ライバルは社内だけとは限りません。社外にもあふれているのです。   

都道府県チャンピオンでも日本チャンピオンと比べられると不利でしょう。日本で一番でもアジアなら。世界なら。とにかく上には上がいるものです。

 また、強みは永遠に保証されるものではありません。毎回トーナメントで勝ち上がるようなものです。圧倒的な強さがあっても、未来永劫続くとは限りません。強みで争うと果てしない厳しい戦いになるのです。

「同期で売上一番」でも会社全体では何番なのか? 業界や市場全体の中で先輩や後輩たちとガチで争い続け、勝ち続けるしかありません。

 強みを活かしたパーソナルブランディングは、圧倒的な強さをキープし続け、アップデートし続けることが好きでたまらない人にしか通用しません。

 普通に会社に勤めて仕事をしているだけでは、他を圧倒するレベルの強みを勝ち取れる機会は少ないものです。

 実際、あなたも「強み」を活かしてキャリアプランを考えて行き詰まってしまったことがあるのではないでしょうか。普通の人がブランディングをするなら「強み」を基本にするのは危険なのです。
では、何を武器にすればいいのか。

 それは「持ち味」です。

 先ほどの本の例では、内容を意識すると差がつきませんでしたが、「ドラえもんが教える~」とその本独自の「持ち味」を打ち出した結果、記憶に残りやすくなる本になったのと一緒です。
 持ち味を知るにはどうしたらいいかというと、あなたが普段お仕事をしていて、「どんな人」から「どんな『ありがとう』の声」を貰っているのかを集めるとわかります。同じ経理の仕事をしていても、

・「正確で」ありがとう
・「気がきいて」ありがとう
・「速くて」ありがとう 
・「みんなを引っ張ってくれて」ありがとう

など、その人の持ち味にあわせ、「ありがとう」の声は違います。
頼まれる仕事も「急ぎが多い」「ドラフトで経営会議用にまとめて欲しい」など、あなたの持ち味にあわせた傾向があるはずです。そこが、あなたの売りになるのです。「強み」で団子状態から一歩抜け出る基点になります。

 パーソナルブランディングは「強み」ではなく「持ち味」をベースにするのが正解で、方程式に示したものが図2になります。


 「ありがとう」の声が、あなた独自の持ち味であり「提供価値」になるのですが、ここで注意が必要です。この「ありがとう」の声は、「こうありたい」「こうすべき」という「べき論」ではNGなのです。

「べき論」は「こうありたいと目指す姿」であり、現時点の実績ではないので根拠になりません。
 昨日まで毎日寝坊していたのに、「明日からは心を入れ替えて遅刻しない」と言われても信用できないのと一緒です。本気度合いは関係ありません。人は、その人の過去の実績から判断するからです。

 「ありがとう」の声を支えるのは「一貫性」です。この一貫性が保証となり、個人のブランドになっていくのです。

 仕事が速いのが売りなのにA課長とB課長で仕事の速さを使い分けしていたら、周りに見透かされてブランドにはなりません。

 自分のキャラはこの「ありがとう」の方程式に沿って固めていくことで、自分軸が「ハッキリ」します。

 「ありがとう」の声が、あなたに向いていることです。向いていることは速くラクに爆発的に実績が出ます。向いていること、稼げる市場や仕事を知れば、自分をいつでも最高値で売ることができます。これが「いつでも転職できる武器」になるのです。

 「ありがとうの声」が1つでしょぼいなら、たくさん組み合わせればいいのです。
 次頁以降でこの「いつでも転職できる武器」をあなたが使えるよう解説しますので安心してページをめくってください。

ポイント 「ありがとう」を自分軸にして洗い出せば、売りになる実績がでてくる


あなたのキャラは20歳までに決まっている 

 なぜ、キャラを「持ち味」によって固めるのか。それは変わりにくいからです。
「持ち味」は正確にはパーソナリティなどと呼ばれ、いろいろ学説はあり、遺伝子や幼少期に決まるもの、20歳くらいまでの環境や経験で形成されるものがありますが、この本では資質(動機・性格・価値観)と定義します。
 資質は、生死をさまよう等、人生観が変わるくらいのインパクトがある出来事がないと変わりにくいものと言われています。(図3) 


 実際、私は6500名以上のリーダーの選抜と育成に関わりましたが、みなさん資質をベースにキャラ立ちしていました。
 資質は「心の利き手」とも言われていて、資質にあったことなら速くラクにできるようになり、逆に資質にないものはできるようになるのに苦労します。
 資質はいい、悪いではなくその人の個性です。

 人気漫画『ONE PIECE』(尾田栄一郎/集英社)の主人公・ルフィは、「海賊王に俺はなる!」と言いながら、敵と戦っては、たびたび城・牢獄などに捕まってしまいます。そして仲間が必ず助けにやってくる。そう、同じパターンの繰り返しです。

 なぜルフィは同じようなことばかり繰り返すのでしょうか。それは、彼の「ルフィというキャラ」が変わらないからです。

 ルフィの仲間、サンジにしても、自分が殺されそうになっている場面でも、プリンちゃんが可愛い表情をすると目がハートになり、鼻血を流すのと一緒です。「命が危ないのに、女の子を前に目をハートにさせるなんて」と訝しがっても詮無きことです。「キャラ」は変わらないのです。そう割り切りましょう。ルフィはサンジにはなれないし、サンジはルフィにはなれないのです。

 キャラなので変わり様がありません。逆に、「キャラだからしょうがない」と考えれば、相手の特異な言動も諦めがつきます。

 ルフィは「ゴムゴムの実」を食べたことで、ゴム人間となり、しなやかで伸縮性を持つようになった肉体から繰り出す技を使います。しかし、他のキャラの武器や技は使いこなせません。

 われわれも同じです。人にはそれぞれ持っている武器や得意技があります。しかし、他のキャラの武器や技は上手く使えません。

 今のご時世、テクノロジーでビジネスが一瞬で変化する時代です。自分の資質にないものを時間をかけて苦労しながら、ゆっくり鍛えていく余裕は本来ありません。できるようになる前に時代が変わってしまうからです。 

 中高年は特に危険です。年代的に個性を伸ばすよりも、替えがきく歯車のように平均的に誰でも同じようにできるようになる指導や教育を受けてきているからです。それがなぜ危険かというと、苦労して時間をかけてちょっとだけ成長したものには愛着が湧いてしまうのです。時間もかかり苦労もしたので逆に捨てられなくなるのです。実はその人の資質にあっていることは、本人が特に意識しなくてもスイスイできてしまうので自覚していないことも多く、余計に誤解してしまいます。

ここでキーになるのは資質の「使い方」です。いくら向いているからと全てを同じように鍛えよう、使えるように鍛えようとすると時間がかかります。

 そこで提案です。これからの時代は、『北斗の拳』ではなく、『ONE PIECE』でいきましょう。
 『北斗の拳』は北斗、南斗などのコアな流れに加え、たくさんの流派があります。その上で、たくさんの技があり、習得にも時間がかかります。一生のうちで使うかわからない技、使わない秘奥義まで習得するとなると教える方も手間と時間がかかり、一子相伝になります。
 しかし、一生の間で使うかわからない技、使わない秘奥義まで習得することは、これからの時代は無駄でしかありません。

 その点、『ONE PIECE』は近代的です。悪魔の実を食べた者は特殊な能力が身に付きます。「ゴムゴムの実」を食べると体がゴムになります。主人公のルフィは、戦いの試練を乗り越えながらゴム人間という資質をバージョンアップさせていき、今では「ギア」で身体・戦闘能力を大きく上昇させることができるようになりました。インペルダウンで毒から再起したことにより、毒物に対する強い抗体もできました。さらに、新世界編からは2年間の修行で新たに習得した「覇気」を使い、相手の動きを読んだり、技の威力を強化したりすることもできるようになるなど、持ち味に磨きをかけています。「メロメロの実」のように相手を魅了し、石にする等、他の実の力を使うことはできません。悪魔の実は一人1個しか食べることができないからです。
 ゆえに、スパッと割り切りができます。他人の実の力をうらやましがってもしょうがないのです。
 自分が食べた実の力をどう活用し、強くなるかだけを考えるしかないからです。
 変化が激しい時代こそ、そのたびに新しい技や武器を覚えていたらきりがありません。
 資質になければ習得する前に時代が変わってしまい、かけた時間や工数が無駄になります。資質を知り、キャラをハッキリさせることでそれが可能になります。

 たまたま、あなたと似たキャラがいても大丈夫です。同じ業界や仕事をしていれば、同じような資質をもった人材が集まるからです。その時はコンボを覚えましょう。

 格闘技ゲームでは、小さな技をたくさん連打した結果、相手に大ダメージを与えるものをコンボといいます。メインのキャラが一緒でも他の資質全てが被ることはありません。
資質の可視化、コンボの組み方については3章と4章で詳しく解説します。

ポイント 資質でキャラをハッキリさせ、自分の悪魔の実の力に気づこう

1章の問いは⑤あるので、続きます^^






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