見出し画像

【詩】桜が幹からピンク色をもらって少しずつ色づくように、急がずゆっくり歩けばいい

サクラの花も
その幹のピンク色から
色をもらう


桜が咲く
ずっとずっと前
みんなが桜のことなんか
忘れてしまっている頃


その頃から
ピンク色の
桜の木の幹のいろを
少しずつ少しずつ
もらって

その白い身を
みんなが見るような
ピンク色に染めていく


ほんの
少しずつ



それは
見えない
聞こえない
わからない
ほどの


気の遠くなるような
準備



ちょっとでいい
進んでないくらい
ちょっとでいい


自分でも
気づかないくらい


ゆっくり
ゆっくり
歩けばいいよ



そして
また
疲れたら
やすんでも
いい



その
薄く色づく
桜の花びらが
咲く
のも


誰も
知らないほど

じっと
見ていても
わからないほどに

少しずつ

咲く



それでも
あの
美しい桜の花は
咲いている



永く
寒い冬を
超えて


凛と咲く


やわらかく
澄んだ空気のなかに




サク

この記事が参加している募集

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?