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法雨林舎

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#法華経

諸法実相(3) 十二因縁法:後編

諸法実相(3) 十二因縁法:後編

この記事は前編からの続きです。

十二因縁法の内容

それでは、いよいよ十二因縁法で説かれる十二の条件について個々に見ていくことに致します。

まずは、全体像を掴むために次の表をご覧ください。

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諸法実相(3) 十二因縁法:前編

諸法実相(3) 十二因縁法:前編


前記事について

〈諸法実相(2)お釈迦さまが菩提樹下で経験された法界知見〉では、お釈迦さまの法界知見が法華三部経中、どのように説かれているかを見ました。

一番のポイントは、お釈迦さまは「法界の構造」と「仕組み(法理法則)」を観察されていたということで、記事では、まずお釈迦さま見出された〈法界の構造〉の概要に触れ、お釈迦さまが「無色界」という新たな領域を発見されたとことが画期的であったと書きま

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諸法実相(2)ーお釈迦さまが菩提樹下で経験された法界知見について

諸法実相(2)ーお釈迦さまが菩提樹下で経験された法界知見について


法華三部経は仏教の宇宙観を踏まえて読む

〈諸法実相(1)〉では、仏教の基本的な宇宙観についてみました。それは、私たちが目にしている現象世界は仮初めの世界であり、その基盤には肉眼では見えない実相世界(真実の世界)があるというものでした。

法華三部経では、無量義経説法品第二においてその宇宙観が明確に説かれており、前記事では、とりわけ重要な箇所を何箇所か引用して、内容を詳しく見ました。

無量義経

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使用している経典|記事中の引用はこちらからしております。

使用している経典|記事中の引用はこちらからしております。

私の記事をお読みいただくにあたりお知らせしておく必要がございますのでこちらに書かせていただきます。

私が愛読している経典は、『眞訓兩讀法華經并開結」(平楽寺書店版 1924年)です。引用の際はこの中の「品名」と「ページ」を記載致します。

仏教の効果・効能

仏教の効果・効能

仏教を学んだり信仰したりすることの意義とは?

「宗教」というものは体験して初めてわかるものですので、外から見ているだけですと、どこか掴みにくいものがあります。もしかすると、この文章をお読みの方の中にも、「少し興味はあるけれど何だかよくわからないなあ。」というモヤモヤを抱えている方もいらっしゃるかもしれません。

最近は、何もかもがスピーディーで、ネット上の記事も最初に「この記事を読むとわかること

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悟りへの道ー肉体苦行から三昧へ

悟りへの道ー肉体苦行から三昧へ

さて、この記事では「四門出遊」を経たお釈迦さまがどのようなことを考えられたのかを見て参ります。

四門出遊についてはこちらに書かせていただいております。

苦の原因

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仏教の世界観(1)ー仏身三種身

仏教の世界観(1)ー仏身三種身


仏身三種身(ぶっしんさんしゅしん)により表される仏教の世界観

法華三部経の内容を理解する上で押さえておきたい仏教の世界観があります。その基本構造は、本仏の三種の姿〈仏身三種身(ぶっしんさんしゅしん)〉として表されていますので、まずは仏身三種身についてみてゆくことに致しましょう。

無量義経徳行品において、本仏は「法身(ほっしん)」「報身(ほうしん)」「応身(おうじん)」が三位一体となっている存

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仏教の世界観(2)ー心の調和が取れた状態とは

仏教の世界観(2)ー心の調和が取れた状態とは


仏教が説く心の構造ー五蘊・唯識論

「精神の調和」を考えるために、仏教が人間の精神と物質的世界の関係性についてどのように捉えているのかを見てみましょう。

大本となるのはお釈迦さまが人間を分析して説かれた「五蘊(ごうん)」の考え方です。
五蘊については下記の記事に書いてあります。

この理論により明らかにされているのは、人の認識は極めて個人的で、世界をあるがままに捉えているわけでないということで

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「大乗」・「小乗」の意味

「大乗」・「小乗」の意味

法華三部経で「大乗・小乗」がどのような意味で使われているかを見ていきます

「大乗」「小乗」という言葉は仏教に関する書籍に頻出する言葉です。しかし、日常生活では馴染みがない上、漢字から意味を推測することができないため、私自身、はじめはさっぱり意味が掴めず外国語を読んでいるような感覚になったものです。

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諸法実相(1)ー目に見える世界と目に見えない世界

諸法実相(1)ー目に見える世界と目に見えない世界


水やりは根っこに

あれは私がとても幼い頃のことでした。

小さなジョウロを使って見よう見まねで鉢植えの植物に水やりをしていると、側で見ていた父がにっこり微笑んで言いました。

「水は葉っぱではなく土にかけるんだよ。」と。

当時の私は、土の下にある根っこには思いが至らず、ポカンとしておりました。記憶が定かではありませんが、恐らく、その後、父は根っこのことを教えてくれたのでしょう。

さて、なぜ

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舎利弗の名演技ー「表」のストーリーと「裏」のストーリー

舎利弗の名演技ー「表」のストーリーと「裏」のストーリー


舎利弗の役どころを探る

今回のタイトルは〈舎利弗の名演技〉。タイトルをご覧になって「何のことだろう?」と不思議に思われた方もいらっしゃるでしょうか。

私は常々、法華三部経ははっきり書かれている体裁をとりながら、実は秘密の多いお経と感じております。なぜなら、読みこむ毎に、「ああ、そういうことか。」と、それまでは気がつかなかった意味や、お釈迦さまのご意図を発見するからです。

一見、物分かりが悪

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